婚活をがんばる枯葉令嬢は薔薇狼の執着にきづかない~なんで溺愛されてるの!?~

白井

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敵だらけのお茶会

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ステラは招待状とにらめっこしていた。

(どの家に行けばいいのか、まったく分からないわ)

 日を追うごとにステラ宛の手紙と招待状は増えていく。ステラの向こう側にいるハウンドに、だ。

「手紙を読んでいる感じ、ハウンドは社交界に出ていないみたいなのよね。本当に貴族ならそんなことないだろうから詐欺師には違いないのだろうけれど……」

 どの家が我が家に有利でどの家と敵対しているのか、まともに社交界に顔を出していないステラには難しい問題だった。
 ブリジットはいつも同じ人と関わっていたはずだが、その家の人達はブリジットから話を聞くのか手紙は来ていない。
 友人を差し置いてその妹を招待すればブリジットの機嫌を損ねるのは火を見るより明らかだ。

「えっ……?」

 ひときわ品の良い手紙には、なんと侯爵家の名前で招待状が入っていた。
 送り主は侯爵の娘にあたるらしいが、これを断るのは良くないというのはステラでも分かる。
 ハウンドを連れてこいとも書いていない。

 一応両親にも確認を取る。
 二人共なぜステラに? といぶかしんでいたが、絶対に参加しなさいとなぜかきつく叱られた。
 今のドレスで行くわけにもいくまいと、ブリジットが飽きたドレスを渡されたが当然のようにサイズが合わなかった。
 もちろん、ステラはそのドレスを使う予定もなかった。



 お茶会当日、さすがに両親も馬車を手配してくれた。
 庭園の中では着飾った少女たちが花のように咲き誇っている。

(ドレス、買ってもらえてよかったわ)

 普段着のドレスでここへ来ていたら浮いているどころではない。
 あの日のパーティーの二の舞だった。

「はじめまして。本日はお招きいただきありがとうございますステラ・グレアムです。」

「あら、あなたが! 待っていたのよグレアム嬢……と言ったらお姉さんと被るものね。ステラさんとお呼びしても?」

「もちろん」

 主催者の少女が迎えてくれた。
 ステラが一歩庭園に足を踏み入れると、全少女たちがその新顔に注目した。
 髪の一筋からつま先まで、容赦のない品定めの視線が体中に突き刺さる。 
 ステラを見とめた瞬間ざわめき、扇の下で何か言葉を交わす。

(まるで珍獣になった気分だわ)

 その中の一人が進み出て、ステラさん? と声をかける。ステラははい、と微笑んだ。

「まあ、それもしかして、『マリオン』のドレスかしら?」

 でもみたことないドレスだわ、とざわめく。

「縁あって譲っていただいたのです。私ではこのドレスに不相応だと思うのですが、大切に着たいと思っておりますわ」

 ステラが微笑むと羨望と嫉妬と好奇心の混じる視線が向けられる。
 やはりマリオンはかなり有名な人らしい。
 どうして一介の詐欺師がそんな人と人脈を持っているのかは謎だが、モデルでもしていたのだろうとステラは考えた。

(でもその人脈のおかげで初めてのお茶会でも恥をかかずに済んだどころか一目置かれたのは、感謝すべきね)
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