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レイクガーデンの攻防
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ハウンドは積極的に社交界に顔を出していた。
本人は今まで顔を出せなかった分を取り戻したいと語るが、その割になかなか正体を明かさない。
「花嫁を探しているのだとか」
ハウンドの活躍と同時に、社交界ではまことしやかにそんな噂が広まる。
「家柄に囚われずに愛し愛される相手を探しているっていうこと? 珍しいくらいロマンチストね」
「私は素敵だと思いますわ。こんな時代ですもの。愛を追い求めるんなんて余裕があるからこそできることではなくて?」
「逆にあの方のお家柄は低いのかもしれませんわね。あの容姿ですもの。家柄を隠し、よっぽどの名家とご令嬢を捕まえて縁談を結ぶのを狙っているのかも」
「どちらにしても行ける美術品のような方であればお相手が羨ましいかぎりですわね」
「あら、あなた婚約者が決まっていないからって狙っているんじゃなくて?」
「当たり前ですわ。可能性はないわけではありませんもの」
「まあ、抜け駆けはいけませんわよ」
婚約が決まっている者や既に結婚している者も、幸運な花嫁を想像しては噂話に花を咲かせる。
(ハウンドが結婚相手探し……。いえ、私には関係ないわね)
せっかく家の近くなのだからとステラはめかし込んでレイクガーデンに足を運んでいた。
しかしエスコート役もつけず一人で降り立ったステラはやや浮いており、誰の輪にも入れずずっと一人のままだ。
分かってはいたものの先日のパーティーで注目を浴びていたのはやはりハウンドのおかげだったのだろう。
だとしても、ハウンドのいない隙に婚約者を探さなければならない。
積極的に声をかけるものの、結果は芳しくない。
ハウンドも結婚相手を探しているという噂もあるが、彼の方は相手はより取り見取りだろう。
同じ探している者同士でも立場がまるで違う。
「おいあの枯葉色の髪って……」
「あ、ああ。例の子だろ」
ステラを見かけた男性たちは顔を見合わせてそそくさと距離を取る。
取り残されたステラは公園の中にある湖の周辺をぶらついていた。
(ハウンドの言っていることを信じたわけじゃないけれど、最近褒められすぎていたから、チャンスがあるはずだと無意識に勘違いしちゃっていたのかも。……でもショックを受けている場合じゃないわ)
ハウンドの思惑は分からないものの、ステラのおかれた立場は変わらない。
婚約者を見つけなければならないのだ。
「あら、ステラ! ここに来るなら声をかけてくれればよかったのに!」
「セシリア! アーノルドさん! どうしてここに」
「……ご存じないの? 今日は色んな人がここに来るから丁度いいと思って私達も来たのよ」
「そ、そうなんですか。知りませんでした……。でも、人が集まるなんてどうしてでしょう。天気が良いからかしら」
「ふふっ。いつもだったらそうなんだけど今日は……ああ、来たわね。今や社交界の注目の的。ここのいる人達は大体彼目当てか、彼目当てに集まった人間に用事があるの」
セシリアが目配せした先に見覚えのある大きな馬車が止まる。
中から降りてきたのは、遠目にも人並み外れて目立つスタイルの男だった。
「ハウンド? どうして」
「今日は彼がここに顔を出すって話だったのよ。その様子だと知らなかったみたいね。私たちも知り合いに軽く通しておきたい話がいくつかあって来たの。ああいう誘蛾灯みたいな男がいると一気に済んで楽なのよね」
「誘蛾灯……」
かなり強烈な例えだが、そう言われるとハウンドが現れた瞬間に近寄っていく淑女たちがそのドレスの派手さもあってそう見えてくるから不思議だ。
セシリアがステラと話があるからアーノルドへ外すよう頼むとアーノルドは穏やかに了承する。
交わす視線だけでも二人が信頼と愛情を育んできたことが分かってステラには眩しい。
長年デリックと父親しか知らなかったステラは、頼みごとをして怒らない男性というものに内心驚いていた。
本人は今まで顔を出せなかった分を取り戻したいと語るが、その割になかなか正体を明かさない。
「花嫁を探しているのだとか」
ハウンドの活躍と同時に、社交界ではまことしやかにそんな噂が広まる。
「家柄に囚われずに愛し愛される相手を探しているっていうこと? 珍しいくらいロマンチストね」
「私は素敵だと思いますわ。こんな時代ですもの。愛を追い求めるんなんて余裕があるからこそできることではなくて?」
「逆にあの方のお家柄は低いのかもしれませんわね。あの容姿ですもの。家柄を隠し、よっぽどの名家とご令嬢を捕まえて縁談を結ぶのを狙っているのかも」
「どちらにしても行ける美術品のような方であればお相手が羨ましいかぎりですわね」
「あら、あなた婚約者が決まっていないからって狙っているんじゃなくて?」
「当たり前ですわ。可能性はないわけではありませんもの」
「まあ、抜け駆けはいけませんわよ」
婚約が決まっている者や既に結婚している者も、幸運な花嫁を想像しては噂話に花を咲かせる。
(ハウンドが結婚相手探し……。いえ、私には関係ないわね)
せっかく家の近くなのだからとステラはめかし込んでレイクガーデンに足を運んでいた。
しかしエスコート役もつけず一人で降り立ったステラはやや浮いており、誰の輪にも入れずずっと一人のままだ。
分かってはいたものの先日のパーティーで注目を浴びていたのはやはりハウンドのおかげだったのだろう。
だとしても、ハウンドのいない隙に婚約者を探さなければならない。
積極的に声をかけるものの、結果は芳しくない。
ハウンドも結婚相手を探しているという噂もあるが、彼の方は相手はより取り見取りだろう。
同じ探している者同士でも立場がまるで違う。
「おいあの枯葉色の髪って……」
「あ、ああ。例の子だろ」
ステラを見かけた男性たちは顔を見合わせてそそくさと距離を取る。
取り残されたステラは公園の中にある湖の周辺をぶらついていた。
(ハウンドの言っていることを信じたわけじゃないけれど、最近褒められすぎていたから、チャンスがあるはずだと無意識に勘違いしちゃっていたのかも。……でもショックを受けている場合じゃないわ)
ハウンドの思惑は分からないものの、ステラのおかれた立場は変わらない。
婚約者を見つけなければならないのだ。
「あら、ステラ! ここに来るなら声をかけてくれればよかったのに!」
「セシリア! アーノルドさん! どうしてここに」
「……ご存じないの? 今日は色んな人がここに来るから丁度いいと思って私達も来たのよ」
「そ、そうなんですか。知りませんでした……。でも、人が集まるなんてどうしてでしょう。天気が良いからかしら」
「ふふっ。いつもだったらそうなんだけど今日は……ああ、来たわね。今や社交界の注目の的。ここのいる人達は大体彼目当てか、彼目当てに集まった人間に用事があるの」
セシリアが目配せした先に見覚えのある大きな馬車が止まる。
中から降りてきたのは、遠目にも人並み外れて目立つスタイルの男だった。
「ハウンド? どうして」
「今日は彼がここに顔を出すって話だったのよ。その様子だと知らなかったみたいね。私たちも知り合いに軽く通しておきたい話がいくつかあって来たの。ああいう誘蛾灯みたいな男がいると一気に済んで楽なのよね」
「誘蛾灯……」
かなり強烈な例えだが、そう言われるとハウンドが現れた瞬間に近寄っていく淑女たちがそのドレスの派手さもあってそう見えてくるから不思議だ。
セシリアがステラと話があるからアーノルドへ外すよう頼むとアーノルドは穏やかに了承する。
交わす視線だけでも二人が信頼と愛情を育んできたことが分かってステラには眩しい。
長年デリックと父親しか知らなかったステラは、頼みごとをして怒らない男性というものに内心驚いていた。
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