婚活をがんばる枯葉令嬢は薔薇狼の執着にきづかない~なんで溺愛されてるの!?~

白井

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パーティーの開始2

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「こんなの嫌よ!」

「で、でもれっきとしたマリオンのドレスなのよ? きっと皆可愛いっていってくれるわよ」

「嘘! だとしたらみんなおかしいしマリオンは耄碌ババアよ! こんなの持ってくるなんて正気じゃない! マリオンに二度と私の前に顔を出すなって言っておいて!」

 パーティーまでかなり急だったため、ドレスは当日に出来るがそれでもいいかとマリオンから確認は最初にあった。
 ドレスを一から仕立てるのは時間がかかり、急な依頼なのも自覚はあったのでそれで了承した。
 マリオンのドレスなのだから、失敗はハナから頭にない。
 出来上がりが間に合うかどうかだけ気になっていた。

 しかしマリオンが当日笑顔で持ってきたのは、おばあちゃんが着ているみたいな古い型のドレスだった。
 色もぼやけて、端的に言えばダサく、変だった。
 マリオンの新作と言っても誰も信じないだろう。

 こうなれば元々もっていたドレスを着るしかないが、来客には「マリオンに特注したの」と言いまわっている。
 俯いて爪を噛んだまま黙り込んだブリジットは、やがてにやりと笑った。

「……いえ、目的を間違えていたわね」

 ブリジットは心配する母親を置いて自室に戻った。
 カーテンを閉め切り特別に飾り付け甘い香を充満させた部屋は、昼だというのに退廃的な印象すらある。

「ドレスは最悪だけれど、ステラが盗んでだめにしたってことにするわ。それより、本当の目的はハウンド様を落とすこと」

 ブリジットはマリオンから渡されたドレスを脱いで豊満な身体を晒した。
 控えている使用人に命令する。

「ハウンド様が来たらすぐここに連れてきなさい。そのあとは扉の前で待機よ。誰も入ってこないようにね」

「あ、あのブリジット様……。お客様がたくさんいらっしゃって私どもでは手が回りません。せめてブリジット様がお出迎えなさらないと皆様ご不信に思われるのでは……」

 使用人の横で重い金属音が響く。
 ブリジットが時計を投げつけ、扉に当たったのだ。
 使用人は慣れた様子で時計を拾い、静かに頭を下げた。
 喋るな、ということだ。こうなったブリジットは自分のしたいようにしかしない。
 使用人はブリジットの部屋を出て散々な状況になった階下を見渡してため息をついた。
 客でごった返し、ぶつかり合っている。
 案内しようにもどこへ案内したらいいのか分からず、庭に溢れている始末だ。

「そもそもこの様子ではハウンド様がいらしても分かるかどうか」

 グレアム家の当主、つまりブリジットとステラの父親は妻に「お前の責任だ」と言い放って早々に自室に引っ込んだ。
 母親はおろおろしているばかりで全く役に立たない。
 地下室のステラでもいいから手を借りたいくらいだが、勝手に出せば叱責は免れない。
 そもそもまだ生きているのだろうか、と使用人は考えて、自分は関係ないと忘れるように頭を振った。
 もうひと月程度経っているのだ。


 そんなとき、玄関口から一際甲高い歓声があがった。
 それだけで誰もが確信した。ハウンドが来たのだ。
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