Sugar & Cacao〜甘さの比率〜

そら汰★

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第4章 甘い砂糖には裏がある75%

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 糖質制限は至って順調だった。それと比例するように性生活も順調だ。
 あれから幾度互いを慰め合ったか……数えるのも躊躇われる。
 毎日毎日製造される精液に、砂糖依存症とは別の病に掛かってしまったのではと心配する郁哉に対し、尾鷹は「普通じゃない?」と驚く様子もなく平然としていた。


「あのさ、二人ってどれぐらいの頻度でオナニーしてる?」

 大学内にある学食で、郁哉は真っ昼間からプライベートを唐突に尋ねていた。
 なんの前触れもないストレートな質問に、竹田と砂川は食べていたものを華麗に吹き出す始末。

「……うわ~……汚いな」
「うぉ、鼻に入ったじゃん! イッてぇ~」
「あ、あほぉ~! なんつーこと質問してんだ! 吹くのもお前のせいだろが!」
「なんだよ、お前らだってしょっちゅう下ネタ言ってるくせに」
「俺らとお前じゃなんか違うんだよ!」

 竹田は短髪の頭をガリガリ掻きながらそう言うと、目を泳がせ目元を赤く染めている。
 違うと言われたことに郁哉は二人に除け者にされたような気がし、口を尖らせ不機嫌になる。

「まぁまぁ、ほら注目されちゃってるしさ、こういう話題はやっぱ居酒屋に限るっしょ」

 しっかり者の砂川が二人を仲裁するように宥めると、学校終りに会合という名の飲み会が決定した。

 夜の外出自体郁哉にとっては久々だった。
 尾鷹のマンションで合宿を始めてからは真っ直ぐ家に帰り、規則正しい生活を送っていたからだ。
 約束をしている訳ではないが、当たり前のように食事を共にし何気なく夜を過ごしていた。

(そうだ、連絡しとかなきゃ)

 スマホを取り出しメールを打つ。
 尾鷹に連絡を入れるのは、これが初めてのことだった。
 メールを送るなど簡単なことのはずなのに、郁哉はたった一通に悩んでいた。
 先日の自分と同じように、尾鷹も郁哉の帰りを待つのではないだろうか……と。

(……流石にそれはないか)

 簡潔に文字を打ち込むと送信をタップする。
 暫くすると尾鷹から返事を受信し『分かった』とだけの文面に、杞憂に過ぎなかったかと苦笑いを溢した。


 砂川が郁哉に合わせ野菜をメインにした創作ダイニングの居酒屋を選んでくれていた。砂糖依存症はほぼ完治しているが、郁哉にとってはありがたい。
 尾鷹が作る料理はどれも絶品だが、たまには気分を変えるのも悪くはない。一緒に過ごす相手も多いほうが気が紛れるというものだ。
 どうにも尾鷹と過ごしていると、おかしな空気になってしまう。駄目だと思っていても誘われれば身体が逆らえず、貪欲に求めてしまう夜の日課。

(いいタイミングだったのかもな。遅くなればそんな気分にならないだろ……)

 大学近くの駅から少し離れた場所にひっそりと佇む隠れ居酒屋。小洒落た店内はサークルで良く使う大衆居酒屋とは違い、個室で仕切られており気兼ねなく会話ができる。
 ガタイのいい竹田がひとりで座り、郁哉と砂川が隣り合って座る。ソファータイプの長椅子は座り心地も良く、ゆっくり話をするには丁度いい。
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