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第5幕 噂の姫乃ちゃん
04
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きっとなにかの間違えだ。四月の身体測定で俺は百七十三センチという数値を書面でも貰っていた。測定器を使う測定と、メジャーを使用しての測定では今が採寸ミスだと異議を唱えてもおかしくはない。
「瀬菜っち、私の測定を疑っているの⁉︎」
「そういう訳じゃないけど……けど、やっぱおかしい‼」
服飾系のまとめ役、三浦さんに異義ありと言う。三浦さんは渋々といった様子で再度測定をする。そのやり取りを何度繰り返したことか……。
もう一回測ってを三度行っても数字は変わらず、三浦さんが呆れた様子で「もう瀬菜っち、何度測っても変わらない‼」と、俺を宥めながら破壊力抜群な爆弾を投下した。
「私の身長、百六十七センチ! ほら、あんまり目線も変わらないでしょ‼」
「うそ……三浦さんよりも俺ちっさいの⁉」
ガーンと青ざめる俺に、三浦さんは若干見下し気味で現実を叩きつけてくれました。
渋々諦め採寸を終え教壇からトボトボ自分の席に戻ると、机に突っ伏しショックに項垂れる。そんな俺に村上は心配そうに声をかけてきた。
「柳ちゃん……どした? ずいぶん長かったよね」
「俺の十センチ……どこに消えた?」
「もしかして身長?」
シクシクとしながらコクリと頷く俺に、村上が十センチの行方を教えてくれる。
「四月の体重測定から測っていなかった? あれね、測定したのおじいちゃん先生と、おばあちゃん看護師さんだったっしょ? どうやら数字ぐちゃぐちゃだったみたいだよ? デジタルじゃない測定器だったから見間違えていたらしいけど、全校生徒やり直すの大変だし、高校生は成長早いからってことでそのままにしたみたい」
「そんな~~! いい加減にもほどがあるだろ! 教育の場がそれでいいのか⁉」
「まぁダメだろうけど? 申請者だけはデータ書き換えしたらしいよ?」
「俺、絶対申請しない!」
「あはは~。来年の四月までに伸びるといいね」
夏休み明け初日は、そんなこんなで最悪なスタートとなった。
今日は午前中で帰宅できるのが幸いでした。
午後から授業があったのなら、俺のダメージ的には大変しんどいことが予想されます。
みなさんどうぞ傘を持ってお出かけください。
「瀬菜? どうしちゃったの?」
「柳ちゃん、今日はダメージデカかったみたい」
「初日でこの調子って、コイツ学校生活大丈夫かよ……」
駅前のワックでいつものメンバー四人で昼飯を食べているが、俺ひとりだけテンションだだ下がり。背中にドロドロとした淀んだオーラが漂っています。
「俺の十センチ……十センチだぞ? ぐすん……」
「今日文化祭の採寸があったんだけどさ、柳ちゃんの身長、どこかに出掛けたらしいよ?」
「なんだよそれ。戻って来るみたいな言い方すんなし。うちも今日採寸したけどよ、悠斗もなくなっていたよな?」
「うん。でも四センチね。百八十はあると思っていたんだけど、微妙になかったみたい」
それでも十分長身な悠斗を恨めしく見つめる。
「瀬菜っち、私の測定を疑っているの⁉︎」
「そういう訳じゃないけど……けど、やっぱおかしい‼」
服飾系のまとめ役、三浦さんに異義ありと言う。三浦さんは渋々といった様子で再度測定をする。そのやり取りを何度繰り返したことか……。
もう一回測ってを三度行っても数字は変わらず、三浦さんが呆れた様子で「もう瀬菜っち、何度測っても変わらない‼」と、俺を宥めながら破壊力抜群な爆弾を投下した。
「私の身長、百六十七センチ! ほら、あんまり目線も変わらないでしょ‼」
「うそ……三浦さんよりも俺ちっさいの⁉」
ガーンと青ざめる俺に、三浦さんは若干見下し気味で現実を叩きつけてくれました。
渋々諦め採寸を終え教壇からトボトボ自分の席に戻ると、机に突っ伏しショックに項垂れる。そんな俺に村上は心配そうに声をかけてきた。
「柳ちゃん……どした? ずいぶん長かったよね」
「俺の十センチ……どこに消えた?」
「もしかして身長?」
シクシクとしながらコクリと頷く俺に、村上が十センチの行方を教えてくれる。
「四月の体重測定から測っていなかった? あれね、測定したのおじいちゃん先生と、おばあちゃん看護師さんだったっしょ? どうやら数字ぐちゃぐちゃだったみたいだよ? デジタルじゃない測定器だったから見間違えていたらしいけど、全校生徒やり直すの大変だし、高校生は成長早いからってことでそのままにしたみたい」
「そんな~~! いい加減にもほどがあるだろ! 教育の場がそれでいいのか⁉」
「まぁダメだろうけど? 申請者だけはデータ書き換えしたらしいよ?」
「俺、絶対申請しない!」
「あはは~。来年の四月までに伸びるといいね」
夏休み明け初日は、そんなこんなで最悪なスタートとなった。
今日は午前中で帰宅できるのが幸いでした。
午後から授業があったのなら、俺のダメージ的には大変しんどいことが予想されます。
みなさんどうぞ傘を持ってお出かけください。
「瀬菜? どうしちゃったの?」
「柳ちゃん、今日はダメージデカかったみたい」
「初日でこの調子って、コイツ学校生活大丈夫かよ……」
駅前のワックでいつものメンバー四人で昼飯を食べているが、俺ひとりだけテンションだだ下がり。背中にドロドロとした淀んだオーラが漂っています。
「俺の十センチ……十センチだぞ? ぐすん……」
「今日文化祭の採寸があったんだけどさ、柳ちゃんの身長、どこかに出掛けたらしいよ?」
「なんだよそれ。戻って来るみたいな言い方すんなし。うちも今日採寸したけどよ、悠斗もなくなっていたよな?」
「うん。でも四センチね。百八十はあると思っていたんだけど、微妙になかったみたい」
それでも十分長身な悠斗を恨めしく見つめる。
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