154 / 716
第5幕 噂の姫乃ちゃん
17
しおりを挟む
校門の前には大きな文字で『白桜祭』と書かれた看板が出ており、始まったのだとドキドキと緊張してしまう。クラスメイトも、どこかテンション高めで落ち着きがない。
ひとりで衣装を着てメイクできる子や、メイクを必要としない人が先に着替えを済ませ、準備を進めてくれた。
辻や奥井はワイシャツに黒のパンツと長めの黒いエプロンを着け、オシャレなウェイター風でカッコ良く頭をワックスで固めていた。流石に執事服は予算が足りなかったらしく、ラフな感じになったとか。それでも俺や村上よりは断然決まっている。
三浦さんは自前の衣装でしっかりとした執事服に身を包み男らしく、まるで執事長のような貫禄がある。
今日の午前中は女子のメイドと男子の執事を多めにし、女装と男装組は少数でやるらしく、女装は俺と村上だけとのことだった。準備に時間が必要な俺と村上は、開店準備が終わるまで裏で待機しながら用意を進めていた。
村上が着替えて試着室から出ると、その姿に思わず吹き出してしまう。
「ちょっと……柳ちゃん笑い過ぎでしょ!」
「だって……あはは! お前ゴツ過ぎだろ!」
「うるさいわね! これからお化粧して化けるのよ!」
「本当にオネェみたいだな!」
「ほら、瀬菜っちも笑っていないで着替えて! やば~、結構時間ないじゃん~~」
そう言われ試着室に押し込まれる。
服を脱ぎ、フリルいっぱいな紐パンに履き替える。裸で女性物の下着を着けるというのはなんとも滑稽だ。心配になり試着室から顔だけ出して村上を呼ぶ。
「ねぇ村上~ちょっと見て? これでいいの?」
「……ちょっと! 柳ちゃん! 裸じゃん! 朝から悩殺しないでよ! 取り敢えずワンピ着て‼」
なぜか顔を真っ赤にし慌てる村上に「男同士だろ? 変なやつだな」と言い首を傾げる。
そんな俺にお構いなく、頭にポスっとワンピを被せ、背中のチャックをご丁寧に上げてくれた。背中にあるチャックを上げるのは結構大変だ。丁度良かったと思いながらスカートの裾を持ち上げる。
「なぁ、パンツはこれで大丈夫?」
「──ぅっ! ちょ、ちゃんと履けているよ‼︎」
大して見てもいないのに、勢い良くスカートの裾を下げれてしまう。真っ赤になったり青くなったりする村上は、手のひらで顔を覆いながら「お願いだから王子にはこのこと絶対に黙っていてね」と、泣きそうな顔で釘を刺してきた。
黒いワンピの下にパニエという白い色のフワフワしたものを履くと、ゴワゴワして動きにくい。首に白色のフリルのあるチョーカーを巻き、真ん中にある黒色の大きめなリボンを首横でリボン結びにする。
自分でできることはここまでだと試着室を出ると、村上はすでにお化粧も完了しており、前下りのボブの黒髪ウイッグを装着していた。
「ぶはははっ‼︎ 村上……ククッ、お前、中々可愛いな!」
「柳ちゃんに言われても嫌味なだけよ! もう私先に出勤するわね!」
村上はオネェ風の設定を続けるらしく、クネクネと腰を大袈裟に振りながら表に出て行く。しばらくすると表のほうからどよめきと笑いが沸き起こっていた。
ひとりで衣装を着てメイクできる子や、メイクを必要としない人が先に着替えを済ませ、準備を進めてくれた。
辻や奥井はワイシャツに黒のパンツと長めの黒いエプロンを着け、オシャレなウェイター風でカッコ良く頭をワックスで固めていた。流石に執事服は予算が足りなかったらしく、ラフな感じになったとか。それでも俺や村上よりは断然決まっている。
三浦さんは自前の衣装でしっかりとした執事服に身を包み男らしく、まるで執事長のような貫禄がある。
今日の午前中は女子のメイドと男子の執事を多めにし、女装と男装組は少数でやるらしく、女装は俺と村上だけとのことだった。準備に時間が必要な俺と村上は、開店準備が終わるまで裏で待機しながら用意を進めていた。
村上が着替えて試着室から出ると、その姿に思わず吹き出してしまう。
「ちょっと……柳ちゃん笑い過ぎでしょ!」
「だって……あはは! お前ゴツ過ぎだろ!」
「うるさいわね! これからお化粧して化けるのよ!」
「本当にオネェみたいだな!」
「ほら、瀬菜っちも笑っていないで着替えて! やば~、結構時間ないじゃん~~」
そう言われ試着室に押し込まれる。
服を脱ぎ、フリルいっぱいな紐パンに履き替える。裸で女性物の下着を着けるというのはなんとも滑稽だ。心配になり試着室から顔だけ出して村上を呼ぶ。
「ねぇ村上~ちょっと見て? これでいいの?」
「……ちょっと! 柳ちゃん! 裸じゃん! 朝から悩殺しないでよ! 取り敢えずワンピ着て‼」
なぜか顔を真っ赤にし慌てる村上に「男同士だろ? 変なやつだな」と言い首を傾げる。
そんな俺にお構いなく、頭にポスっとワンピを被せ、背中のチャックをご丁寧に上げてくれた。背中にあるチャックを上げるのは結構大変だ。丁度良かったと思いながらスカートの裾を持ち上げる。
「なぁ、パンツはこれで大丈夫?」
「──ぅっ! ちょ、ちゃんと履けているよ‼︎」
大して見てもいないのに、勢い良くスカートの裾を下げれてしまう。真っ赤になったり青くなったりする村上は、手のひらで顔を覆いながら「お願いだから王子にはこのこと絶対に黙っていてね」と、泣きそうな顔で釘を刺してきた。
黒いワンピの下にパニエという白い色のフワフワしたものを履くと、ゴワゴワして動きにくい。首に白色のフリルのあるチョーカーを巻き、真ん中にある黒色の大きめなリボンを首横でリボン結びにする。
自分でできることはここまでだと試着室を出ると、村上はすでにお化粧も完了しており、前下りのボブの黒髪ウイッグを装着していた。
「ぶはははっ‼︎ 村上……ククッ、お前、中々可愛いな!」
「柳ちゃんに言われても嫌味なだけよ! もう私先に出勤するわね!」
村上はオネェ風の設定を続けるらしく、クネクネと腰を大袈裟に振りながら表に出て行く。しばらくすると表のほうからどよめきと笑いが沸き起こっていた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
231
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる