王子×悪戯戯曲

そら汰★

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第5幕 噂の姫乃ちゃん

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 家に戻ると悠斗は自分の家に一旦帰っていった。俺達の荷物を、多澤が悠斗の家に届けてくれているようだ。俺の家に泊まると言う悠斗は女装姿にデレデレとしていたので、またエッチな展開になるんじゃないかとヒヤヒヤした。けれど流石に俺の状況を察してくれたようだ。
 悠斗が家に戻っている間に女装を解き、部屋着に四苦八苦しながら着替えてベッドにダイブした。明日まで少し時間があるのでひとりで歩くために安静にする。

 途中で抜けたけど、文化祭無事終わったかな。
 明日の全校集会で順位が発表だよな。

 片付けもせずクラスメイトにも迷惑をかけてしまった。詳細を話すことはできないが、明日は謝ろうと心の中で呟いた。


「瀬菜、荷物ここ置くね? 村上君も一緒に持って来てくれたみたい」
「サンキュー。そっか……村上と多澤にも迷惑掛けたよな」
「みんな好きでやってることだから。けど明日、一緒にお礼言おうね」
「うん、そうだな。なぁ、文化祭のこととか、その……あの二人ってどうなったのかな?」
「詳しい話は聞けていないけど、明日学校行ったら聞いてみよう? 取り敢えず瀬菜はゆっくり休んで?」

 頷く俺の額にちゅっとキスをして布団を掛けてくれる。

「姫乃ちゃんバージョン、俺が戻る前に脱いじゃったんだね。写真撮りたかったのにな。今度デートで着て欲しいな。手も繋げるしイチャイチャできるから」
「ん……考えときます……」

 クスッっと笑う悠斗も俺の横に入り込むと、ギュッと抱きしめてくる。話をしていると、途中から悠斗の返事がなくなった。

 アレ……悠斗、寝たかな?
 やっぱ昨日あんまり寝てない?
 俺のせいで……疲れているんだよな……。

 悠斗の閉じた瞼を見れば、薄っすらとクマがあり心配を掛けてしまったことにジワリと目頭が熱くなる。普段見られないそんな悠斗の寝顔をひとりで楽しむ。
 悠斗はなにをしても俺を優先する。悠斗が俺を心配するように、いつだって俺も悠斗が心配だ。ひとりでも変な奴から身を守る方法を考える必要がある。

 なにかないかな……もっと男らしくなれる方法。

 温かな悠斗の胸の中でそんな風に考えているうちに、俺も眠りの中に誘われていった。


***


 朝早めに悠斗に起こされる。まだ若いからか睡眠で体力は復活だ。
 気になる学校へ登校すると、教室に入るなり村上が駆け寄って来た。村上や多澤には乱れた姿を見られてしまった。それでも気さくに話しかけてくれる友人。そんな態度が嬉しくて、沈んだ気持ちを奮い立たせた。普段通りに生活することが、友人達に心配を掛けない唯一の俺のできること。

「柳ちゃんーー! 心配してたんだよ。元気そうで安心した」
「おはよう村上。土曜日は色々ごめんな? お前達のおかげで助かった」
「僕からもありがとう。あれからどうなったの?」

 気になっていたことを悠斗が村上に聞いてくれる。

「まぁ、あの二人のことは取り敢えず生徒会に引き渡して、事情を聞かれたけど、最終的には理事会で協議するらしいよ。だから俺らも詳しくは聞かされていないんだよね」
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