王子×悪戯戯曲

そら汰★

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第6幕 計画は入念に、愛情込めて

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 副会長の橋口先輩が悠斗の質問に答える。

「うちの学校は生徒会選挙制ではないよ。次期役員は前役員の指名制。成績優秀それも確かに必要だけど、どちらかといえば協調性とかカリスマ性が重要。会長が君達を入れた意味、少しは理解できるかな?」

 橋口先輩はそう説明をしてくれたが、俺は全く意味が分からなかった。そんな俺とは違い悠斗は納得した様子で頷いていた。

「それで陰で隠れて窺っていた」
「うん、そんなところ~♪ 僕、意外と人を見る目あるけどね。それはそうと役割なんだけど、王子は橋口、多澤は沢渡、村上は野上に付いて流れから覚えて」

 それぞれに役割を環樹先輩は伝えるが、待てど暮らせど俺の名前が提示されない。

「えっと……俺は?」

 名前を呼ばれなかった俺は、誰に付くのだろうかと環樹先輩を見つめるとニッコリとして呟いた。

「そんな捨てられた子みたいな顔で見ないでよ~♪ 姫乃ちゃんはね……なんと! 僕だよ~♪」
「瀬菜、やっぱり生徒会入るのはやめよう」
「一度受けたこと放り投げるのか⁉︎ 俺が会長のお手伝いできるかそりゃ分からないけど、仕事だろ⁉︎ 先輩と付き合う訳じゃないんだからな!」

 正論を真面目にぶつけると、悠斗は膨れた様子で環樹先輩に「瀬菜に手出さないでくださいね」と、釘を刺し渋々折れてくれた。悠斗の独占欲にも困りものだなと俺達は苦笑いだ。今回のことが逆にいい刺激になって、俺が誰かと接することに悠斗も免疫を付けてくれるかもしれない。そう切実に思う。
 今日の招集は顔合わせで終了らしく、特になにをするでもなく解散となった。中間テスト終了後から本格的に業務を始めるようだ。


 解散の合図と共に俺達だけ生徒会室をあとにすると、四人揃って深いため息を漏らす。

「なんか……緊張した……。てか悠斗のせいで、俺みんなに変な目で見られたじゃん」
「そう? いつものことでしょ? それに瀬菜は俺のってアピールしとかないと、また変な虫付いちゃうでしょ?」
「誰もかれも瀬菜をそんな風に見る訳じゃないだろうが」
「だよねー。本当に王子は心配性なんだから」
「なにかあってからじゃ遅いからね。何事も先手必勝って言うでしょ?」
「だからって、サラッとカミングアウトみたいなことはやめろよ」

 同性同士の付き合いは最近では理解を貰えるようにはなって来たが、まだ不快に思う人もいることは確かだ。今日メンバーがどう思ったのか不安でならない。偏見を持つなとは言わないが、せめて普通に接してくれれば嬉しい。それでも新しい挑戦に、テスト明けの活動も楽しみといえば楽しみだった。

「じゃ、早く終わったし今日もみんなで勉強会しよー♪」
「村上君、頑張り屋さんだったんだね。来週からだしラストスパートは必要だね」
「そうだな。今日はどこでやる?」
「ワックがいい! お腹も減ったし!」

 駅前まで向かい夕飯がてら勉強会を開催した。こんだけ頑張っているのだ。目標点には近付けるはずと、イチゴシェイクを自分へのご褒美に購入し嫌いな英語に専念した。
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