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第6幕 計画は入念に、愛情込めて
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沢山のプレゼント。近しい人達からのは受け取ってくれたのだとホッとする。流石に家族や友人からも受け取らないと言い出したらどうしようかと、夕方見た悠斗の様子に心配になっていた。
「プレゼント、いっぱいだな」
「うん、色々貰ったよ? お財布に腕時計、チケットに……薄い本もあった!」
「ははっ……薄い本は三浦さんのか。みんな豪華だな」
「ふふっ、ありがたいよね。でも俺はやっぱりあれが一番お気に入り」
そう言うと制服のジャケットと一緒に壁に掛けられた、ブルーマリーヌのマフラーに悠斗は目をやった。悠斗の視線に合わせて俺もマフラーを見つめる。編み込みの不格好なマフラー。悠斗が嬉しそうに微笑んでいる姿に、俺も心が温かくなる。
「あっ、そうだ悠斗」
「ん? なぁに?」
「これ、俺からもう一つのプレゼント」
「えっ……?」
悠斗の前に四角い箱のリボンを掛けたプレゼントを差し出す。躊躇いながら受け取った悠斗は、そっとリボンを解いて中身を取り出した。
『history』
クリアケースに入った長方形のパステルブルーの表紙には、英語でヒストリーとスペルが並ぶ。表紙を開くと色々な悠斗の写真と、写真の横に手書きのメッセージ。十五年分の成長と一緒に過ごした日々の想い出。俺の悠斗への気持ち。
ページを捲るたびに笑ったり、照れたりを繰り返す悠斗は十五年目のページを見終わると、涙ぐんだ瞳でヘラリと顔を綻ばせ俺を見つめて微笑んだ。そんな悠斗に意地悪くニヤッと口角を上げると、アルバムに手を伸ばす。
「はい、没収~~♪」
「えっ……? いやだよ! もう貰ったから俺のでしょ! それにもう一回見たいし!」
子供のように取らないでとギュッと胸にアルバムを抱え込んでいる悠斗が、涙目で瀬菜でも許さないよ渡さないからねと訴えている。そんな悠斗の行動に俺はキュンキュンと胸が高まってしまう。
悠斗が俺の言うことに駄々を捏ねてる……なんか新鮮だな。
その行動マジやばいんだけど……。
お前、尻尾と耳が垂れてるぞ……。
ワンコな悠斗をまだ見ていたいが、あまりいじめるとあとが怖そうなのでほどほどにしておく。
「取らないよ。ちょっと貸して?」
「貸すだけだよ⁉︎」
「うん。借りるだけ。それまだ完成していないから……」
「まだ……? 完成じゃない?」
自分の元に戻って来るのと安心したのか、悠斗は素直に渡してくれた。俺は十五歳目のページを捲り、まだ真っさらなページに先ほどみんなで撮った写真を貼り付けた。その横に西暦で日付とメッセージを書き足す。
自分で書いていて恥ずかしくなる。パタリとアルバムを閉じると悠斗の胸に押し付けた。
「……ほら、できたぞ! また一年後に更新だ。俺、ケーキ食べる!」
言いたいことを一方的に伝えると、俺はケーキを貰いにおばさんの元へ行く。山盛りのケーキをソファーに座りムシャムシャと食べ始める。
悠斗は立ったまま新しく追加したページまで捲ると、目を見開き直立不動で固まっていた。そんな悠斗の反応を横目で見ながら、甘いフルーツいっぱいのケーキを堪能する。大好きなケーキ。それに大好きな悠斗の姿。俺の胸の中はポカポカと陽だまりにいるように温かくなる。
「プレゼント、いっぱいだな」
「うん、色々貰ったよ? お財布に腕時計、チケットに……薄い本もあった!」
「ははっ……薄い本は三浦さんのか。みんな豪華だな」
「ふふっ、ありがたいよね。でも俺はやっぱりあれが一番お気に入り」
そう言うと制服のジャケットと一緒に壁に掛けられた、ブルーマリーヌのマフラーに悠斗は目をやった。悠斗の視線に合わせて俺もマフラーを見つめる。編み込みの不格好なマフラー。悠斗が嬉しそうに微笑んでいる姿に、俺も心が温かくなる。
「あっ、そうだ悠斗」
「ん? なぁに?」
「これ、俺からもう一つのプレゼント」
「えっ……?」
悠斗の前に四角い箱のリボンを掛けたプレゼントを差し出す。躊躇いながら受け取った悠斗は、そっとリボンを解いて中身を取り出した。
『history』
クリアケースに入った長方形のパステルブルーの表紙には、英語でヒストリーとスペルが並ぶ。表紙を開くと色々な悠斗の写真と、写真の横に手書きのメッセージ。十五年分の成長と一緒に過ごした日々の想い出。俺の悠斗への気持ち。
ページを捲るたびに笑ったり、照れたりを繰り返す悠斗は十五年目のページを見終わると、涙ぐんだ瞳でヘラリと顔を綻ばせ俺を見つめて微笑んだ。そんな悠斗に意地悪くニヤッと口角を上げると、アルバムに手を伸ばす。
「はい、没収~~♪」
「えっ……? いやだよ! もう貰ったから俺のでしょ! それにもう一回見たいし!」
子供のように取らないでとギュッと胸にアルバムを抱え込んでいる悠斗が、涙目で瀬菜でも許さないよ渡さないからねと訴えている。そんな悠斗の行動に俺はキュンキュンと胸が高まってしまう。
悠斗が俺の言うことに駄々を捏ねてる……なんか新鮮だな。
その行動マジやばいんだけど……。
お前、尻尾と耳が垂れてるぞ……。
ワンコな悠斗をまだ見ていたいが、あまりいじめるとあとが怖そうなのでほどほどにしておく。
「取らないよ。ちょっと貸して?」
「貸すだけだよ⁉︎」
「うん。借りるだけ。それまだ完成していないから……」
「まだ……? 完成じゃない?」
自分の元に戻って来るのと安心したのか、悠斗は素直に渡してくれた。俺は十五歳目のページを捲り、まだ真っさらなページに先ほどみんなで撮った写真を貼り付けた。その横に西暦で日付とメッセージを書き足す。
自分で書いていて恥ずかしくなる。パタリとアルバムを閉じると悠斗の胸に押し付けた。
「……ほら、できたぞ! また一年後に更新だ。俺、ケーキ食べる!」
言いたいことを一方的に伝えると、俺はケーキを貰いにおばさんの元へ行く。山盛りのケーキをソファーに座りムシャムシャと食べ始める。
悠斗は立ったまま新しく追加したページまで捲ると、目を見開き直立不動で固まっていた。そんな悠斗の反応を横目で見ながら、甘いフルーツいっぱいのケーキを堪能する。大好きなケーキ。それに大好きな悠斗の姿。俺の胸の中はポカポカと陽だまりにいるように温かくなる。
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