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第9幕 王子と王子
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しおりを挟む快感に素直に従うと、より身体中が満たされ幸福感が増していく。立て続けの挿入に、後孔はすっかり柔らかく濡れそぼっていた。
一体どれだけ注がれたのだろうか。蕾からビチャピチャと鳴る音と共に溢れる精液が泡立つ。
「ゆ、とぉ……あん、も……むぃ……」
「ん……瀬菜、中グチャグチャ……でも、まだ足りない……瀬菜が恋しいよ……離れたくない」
「俺もッ、ああっ、おしり……ふやけちゃうよぉ……あうぅ……」
「ヤバ……またイきそう……瀬菜、瀬菜……ッ」
俺も不安でいっぱいだった。けれど悠斗も不安だったのだろう。俺達は互いの不安を言葉とセックスで埋めあった。
「ああッ! も、オレ……れなぃ……ゴリゴリ……イヤぁッ‼」
「可愛い……中までシコってるよ? ほらっ、もう一回ッ一緒にッ!」
悠斗の楔がこれでもかと、前立腺を抉りチカチカと目の前に火花が散り弾け飛ぶ。
「ひゃッイッあぅ‼ らめぇ──ッ‼ あああぁ、いくいぐっひっあッああッ、ぅぅいぐぅっっ──ッ‼」
「瀬菜ッ、ク──ぅッ‼」
どろりと白濁に濡らされる。身体の中まで溺れてしまいそうだ。一体どこに溜め込んでいるのか……。驚きは感じるが、俺はそれどころではなかった。悠斗の悪戯は止まない。
「ふふっ……ドライでイっちゃったね? おちんちんピクピクしてる」
「やめッ……さわっちゃっ……らめっっ……あああっ」
「ん? 気持ちいい? 我慢しないでいいんだよ?」
「っうふぁっ……、あっっひぃっ……で、でるぅぅぅうっっ……やっ、らっめらっらめっ、でうぅぅ──ッ‼」
キラキラと弧を描くように、放たれる透明な液体。サラサラと粘り気のない雫が胸にまで飛び散り、肌を濡らしていく。白い肌が真っ赤に染まり、瞳の焦点が定まらない。
全く引かない快感に、力が入らずくたりとし、開いた口からだらしなく涎が零れる。潮吹きしたあとは快感が半端なく、思考が全く動かない。指先さえ動かすのも億劫だ。
悠斗のペニスがゆっくりと抜かれ、口腔をくすぐるような甘いキスを送られる。十分快感を与えられた。これ以上はやめてと首を横に振る俺に、悠斗はクスリと笑い慈しむようなキスを落としていく。そのぬくもりにスッと意識が遠のいていった──。
***
ふと目を覚ますと、ガバリと起き上がりキョロキョロと辺りを見渡す。これは夢か現実か。不安に陥る俺の隣で眠る悠斗の存在に、そっと息を吐いた。
さらりとした身なりに、また悠斗に後処理をさせてしまったと苦笑い。パリッとしたシーツも情事のあとを感じさせない。セックスをした形跡が残るとすれば……。
「うっ、……イタ……っ」
腰を上げあまりの重だるさと腰の痛みに、前屈みになりながら腰を摩ると、背後からフワリと抱きしめられた。
「瀬菜……まだ横に……夜も明けていないよ?」
「悠斗? あ……俺……」
「声も枯れちゃったね? 腰痛い? 無理させちゃった」
「ん……大丈夫……じゃないかも? 腰痛い……」
「クスッ……愛情の印……ほら、横に……」
ベッドに寝転ぶと、抱きしめながら腰に手を回し、優しく撫でてくれる。悠斗の温かい手のひらが痛む腰に癒しを与えてくれる。
この痛みも今は喜びに変わる。手に入れた勲章のようなものだ。スリスリと悠斗の胸に頰を寄せると、肺いっぱいに悠斗の匂いを吸い込んだ。
諦めないで良かった。
待っていて良かった。
夢に見た現実。
夢に見た抱擁。
「瀬菜……愛してるよ……おやすみ……」
「うん……愛してる……悠斗……おやすみ……」
次に目覚めたときも、どうか現実でありますように。
愛しい人がまた、名前を呼んでくれますように。
そう願いながら悠斗のぬくもりを肌で感じ、また深い眠りに落ちていった──。
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