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第11幕 王子の憂鬱と無鉄砲な俺
07
しおりを挟む由良りんが帰ると、悠斗が玄関先でうしろからギュッと抱きしめてくる。俺も悠斗の腕に手を重ねて、悠斗に包まれる幸せを感じた。悠斗のフワフワな髪が頰を擽ぐると、首筋に唇が触れキスを落とされる。しばらく無言で触れ合うと、悠斗はボソリと呟いた。
「今日は一日中、心配で堪らなかったんだよ?」
「ごめん……ひとりで楽しんじゃって」
「たまにはこうしてモヤモヤしてるのも、瀬菜に対しての愛情を思い知らされていいけどね?」
「へへっ……それじゃ、また誰かと出かけて募らせてもらわないとな」
首筋に悠斗が笑う吐息が吹きかけられる。
「そんなに俺を夢中にさせてどうするの?」
「えへへっ……少しは俺のこと、信用してくれる?」
「うん、けど今日みたいなことがあると、どうしてもダメって言いたくなっちゃう。けどね、ダメばっかりも良くないなって、俺なりに反省したんだ」
珍しく物分りのいい悠斗に首を傾げる。
「今は学生だし嫌でも近くに居られる。でも、社会人になったら目の届かないところで、それぞれ生活しなきゃいけない訳だし……」
悠斗の言葉にドキッとしてしまう。今後のこと。それは、遠いようで近い未来。今は考えられなくても、あっという間に訪れる。
離れて生活する……別れる訳ではないけど、想像すると胸が締めつけられて切なくなってくる。想像よりも遥かに寂しいのだろうと、振り向いて顔を隠すように悠斗に抱きつき、腕に力を込めてしまう。
「俺……悠斗と別れたくないよ」
「──ッ、ごめん。不安にさせるような言い方しちゃった……」
「先のことはまだ分からないけど……、離れて暮らすことになっても、俺は恋人で居たい」
「うん……俺もだよ? 離れて暮らすつもりもないけどね? 一番いいのは、卒業したら瀬菜がお嫁に来てくれることかな」
「うぅ~~っ、それはダメ!」
「クスッ……振られちゃった」
背中を撫でながら笑う悠斗の顔を見つめると、俺から悠斗に口付けをする。何度もチュッチュと唇を当てたり舐めたりするが、中々口を開けてくれず、深いキスができずに焦れてしまう。
「口……開けてよ……」
「啄むキス、可愛いけどな……」
クスクスと笑う悠斗が、後頭部を包み貪るような深いキスを仕掛けてくる。望んだキスに自らも積極的に舌を絡めると、すぐに力が抜けていき、口腔に甘い痺れが駆け抜けていく。
「……んっ、悠斗っ、したい……」
「……ん? なにをしたいの?」
「……意地悪」
「クスッ、言って? 瀬菜……」
甘く囁かれ足をすり合わせる俺を、悠斗は余裕な顔で見つめてくる。
「……やっぱり今日のこと少し怒ってる?」
「怒ってるというか……嫉妬してる。いつか他人に奪われるんじゃないかなってね」
「俺、悠斗にしか……こんなにならない……」
少しの戯れですでに勃ち上がったペニスを、悠斗に押し付けて主張する。悠斗の太ももに押し上げられたペニスは、些細な刺激に喜ぶようにズボンの中でもビクビクと震えている。
それは俺だけでなく、悠斗自身も同じだ。太ももで押し上げられれば、悠斗の勃起したものが俺の太もも当たり、その形状が伝わってくる。
「ンッ、瀬菜……悪戯っ子だね。ちゃんと教えて?」
「悠斗、して……。セックス……しよ。お尻に悠斗のこれいっぱい注いで……滅茶苦茶にして」
欲情した吐息を漏らし、小声で伝えると、ギラリと雄の顔で唇を舐め取る悠斗に期待で鼓動が跳ね上がる。悠斗の仕草にガクンと腰が砕けそうになると、抱え上げられ二階に連れて行かれた。
そのまま互いに性急に服を脱がし合うと、絡まるようにベッドへもつれ込んだ。
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