【完結】夢と冒険の旅に出よう!

トト

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宝物を求めて 下

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「本当にあった」
 
 島に上陸してから宝の隠されている洞窟までは簡単だった。
 いままでの情報と地図を組み合わせれば。

 そして僕の目の前には夢にまでみた宝箱があった。

 僕ははやる気持ちを抑えながら、震える手で宝箱に鍵を差し入れた。
 カチャリと何かが外れる音がした。
 心臓が飛び出るんじゃないかと思うほど、大きな音を響かす。

「まだ、誰も開けていませんように」

 勢いよく宝箱を開けた手とは裏腹に思わず目をつぶる、そしてまるで怖いものでも見るようにそっと薄目で中を覗き込んだ。

 そこにはヘッドライトの光を反射する眩い黄金や、色とりどりの宝石。古いコインなど、まさに夢に思い浮かべた宝の山があった。

「やった! 僕は見つけたんだ! 宝物を見つけたんだ!」

 ピョンピョンと一人洞窟内を飛び回り、いままで経験した出会いや冒険の数々を思いだしながら、僕は泣いた。
 そして気持ちが落ち着いた時に、宝箱の蓋の裏に張り付けられていた手紙に気がついた。
 それは宝の地図と同じぐらい古い紙だった。

 ” おめでとう。
 この手紙を読んでいる君(君たち)は、真のトレジャーハンターだ。
 ここまでの冒険は楽しかったかい?
 それとも辛かったかい?
 でも、君(君たち)は、いかなる困難も乗り越えいまここにいる。
 この宝箱の中身は全て君(君たち)のものだ。
 この島の所有者である私がそれを許可する。
 
 さてこの宝物を使って次はなにをする?
 死ぬまで遊び暮らす?
 それとも新しい事業を始めるかい?
 何に使ってもそれは君(君たち)の自由だ。

 ただ、願わくは、君(君たち)が感じたであろうワクワクやドキドキ。
 不安や葛藤、その全ての先にある希望と喜び。
 それらを次の子たちにも味わってもらいたいと思わないか?

 ここまで夢を追って、そしてその喜びを知っている君(君たち)ならきっと私のこの気持ちがわかるだろう。

 願わくは、私の、冒険者たちの、夢が未来永劫続くことを。 ”


 僕は手紙を胸に抱きながらギュッと目をつぶった。
 そして二枚目の手紙に目を落とす。

 しかし僕はそこで首を傾げた。
 二枚目は手紙ではなかった。それに紙質もだいぶ違う。

「暗号?」

 僕の目が最後に書かれたそれを見つけた。
 そして大きく息を吸い込むと、僕はここにきて一番の大笑いをした。

「なんだよ。爺ちゃんも、父さんも、なんて役者なんだよ」

 暗号かと思ったものは色々な国の文字で、そしてここに記されているものは名前だったのだ。

 僕は祖父と父を見習って、最後の行に今日の日付と自分の名前をサインする。
 そして多分その横に書かれた数字は、この宝箱から拝借した金額だろう、そして次の日付は利子をつけてそれを戻しに来た日なのだろう。

「そういえば。爺ちゃんも父さんも、僕ぐらいの年にいきなり事業を立ち上げたり拡大させたって話だったな」

 僕は金の延べ棒を二つほどリュックに入れる。
 僕の次の目標はもう決まっていた。

 ※ ※ ※

 それから数年。
 小さな町の少年が、宝の地図と日記の入った瓶を拾った。
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