3 / 3
宝物を求めて 下
しおりを挟む
「本当にあった」
島に上陸してから宝の隠されている洞窟までは簡単だった。
いままでの情報と地図を組み合わせれば。
そして僕の目の前には夢にまでみた宝箱があった。
僕ははやる気持ちを抑えながら、震える手で宝箱に鍵を差し入れた。
カチャリと何かが外れる音がした。
心臓が飛び出るんじゃないかと思うほど、大きな音を響かす。
「まだ、誰も開けていませんように」
勢いよく宝箱を開けた手とは裏腹に思わず目をつぶる、そしてまるで怖いものでも見るようにそっと薄目で中を覗き込んだ。
そこにはヘッドライトの光を反射する眩い黄金や、色とりどりの宝石。古いコインなど、まさに夢に思い浮かべた宝の山があった。
「やった! 僕は見つけたんだ! 宝物を見つけたんだ!」
ピョンピョンと一人洞窟内を飛び回り、いままで経験した出会いや冒険の数々を思いだしながら、僕は泣いた。
そして気持ちが落ち着いた時に、宝箱の蓋の裏に張り付けられていた手紙に気がついた。
それは宝の地図と同じぐらい古い紙だった。
” おめでとう。
この手紙を読んでいる君(君たち)は、真のトレジャーハンターだ。
ここまでの冒険は楽しかったかい?
それとも辛かったかい?
でも、君(君たち)は、いかなる困難も乗り越えいまここにいる。
この宝箱の中身は全て君(君たち)のものだ。
この島の所有者である私がそれを許可する。
さてこの宝物を使って次はなにをする?
死ぬまで遊び暮らす?
それとも新しい事業を始めるかい?
何に使ってもそれは君(君たち)の自由だ。
ただ、願わくは、君(君たち)が感じたであろうワクワクやドキドキ。
不安や葛藤、その全ての先にある希望と喜び。
それらを次の子たちにも味わってもらいたいと思わないか?
ここまで夢を追って、そしてその喜びを知っている君(君たち)ならきっと私のこの気持ちがわかるだろう。
願わくは、私の、冒険者たちの、夢が未来永劫続くことを。 ”
僕は手紙を胸に抱きながらギュッと目をつぶった。
そして二枚目の手紙に目を落とす。
しかし僕はそこで首を傾げた。
二枚目は手紙ではなかった。それに紙質もだいぶ違う。
「暗号?」
僕の目が最後に書かれたそれを見つけた。
そして大きく息を吸い込むと、僕はここにきて一番の大笑いをした。
「なんだよ。爺ちゃんも、父さんも、なんて役者なんだよ」
暗号かと思ったものは色々な国の文字で、そしてここに記されているものは名前だったのだ。
僕は祖父と父を見習って、最後の行に今日の日付と自分の名前をサインする。
そして多分その横に書かれた数字は、この宝箱から拝借した金額だろう、そして次の日付は利子をつけてそれを戻しに来た日なのだろう。
「そういえば。爺ちゃんも父さんも、僕ぐらいの年にいきなり事業を立ち上げたり拡大させたって話だったな」
僕は金の延べ棒を二つほどリュックに入れる。
僕の次の目標はもう決まっていた。
※ ※ ※
それから数年。
小さな町の少年が、宝の地図と日記の入った瓶を拾った。
島に上陸してから宝の隠されている洞窟までは簡単だった。
いままでの情報と地図を組み合わせれば。
そして僕の目の前には夢にまでみた宝箱があった。
僕ははやる気持ちを抑えながら、震える手で宝箱に鍵を差し入れた。
カチャリと何かが外れる音がした。
心臓が飛び出るんじゃないかと思うほど、大きな音を響かす。
「まだ、誰も開けていませんように」
勢いよく宝箱を開けた手とは裏腹に思わず目をつぶる、そしてまるで怖いものでも見るようにそっと薄目で中を覗き込んだ。
そこにはヘッドライトの光を反射する眩い黄金や、色とりどりの宝石。古いコインなど、まさに夢に思い浮かべた宝の山があった。
「やった! 僕は見つけたんだ! 宝物を見つけたんだ!」
ピョンピョンと一人洞窟内を飛び回り、いままで経験した出会いや冒険の数々を思いだしながら、僕は泣いた。
そして気持ちが落ち着いた時に、宝箱の蓋の裏に張り付けられていた手紙に気がついた。
それは宝の地図と同じぐらい古い紙だった。
” おめでとう。
この手紙を読んでいる君(君たち)は、真のトレジャーハンターだ。
ここまでの冒険は楽しかったかい?
それとも辛かったかい?
でも、君(君たち)は、いかなる困難も乗り越えいまここにいる。
この宝箱の中身は全て君(君たち)のものだ。
この島の所有者である私がそれを許可する。
さてこの宝物を使って次はなにをする?
死ぬまで遊び暮らす?
それとも新しい事業を始めるかい?
何に使ってもそれは君(君たち)の自由だ。
ただ、願わくは、君(君たち)が感じたであろうワクワクやドキドキ。
不安や葛藤、その全ての先にある希望と喜び。
それらを次の子たちにも味わってもらいたいと思わないか?
ここまで夢を追って、そしてその喜びを知っている君(君たち)ならきっと私のこの気持ちがわかるだろう。
願わくは、私の、冒険者たちの、夢が未来永劫続くことを。 ”
僕は手紙を胸に抱きながらギュッと目をつぶった。
そして二枚目の手紙に目を落とす。
しかし僕はそこで首を傾げた。
二枚目は手紙ではなかった。それに紙質もだいぶ違う。
「暗号?」
僕の目が最後に書かれたそれを見つけた。
そして大きく息を吸い込むと、僕はここにきて一番の大笑いをした。
「なんだよ。爺ちゃんも、父さんも、なんて役者なんだよ」
暗号かと思ったものは色々な国の文字で、そしてここに記されているものは名前だったのだ。
僕は祖父と父を見習って、最後の行に今日の日付と自分の名前をサインする。
そして多分その横に書かれた数字は、この宝箱から拝借した金額だろう、そして次の日付は利子をつけてそれを戻しに来た日なのだろう。
「そういえば。爺ちゃんも父さんも、僕ぐらいの年にいきなり事業を立ち上げたり拡大させたって話だったな」
僕は金の延べ棒を二つほどリュックに入れる。
僕の次の目標はもう決まっていた。
※ ※ ※
それから数年。
小さな町の少年が、宝の地図と日記の入った瓶を拾った。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。
猫菜こん
児童書・童話
小さな頃から、巻き込まれで絡まれ体質の私。
中学生になって、もう巻き込まれないようにひっそり暮らそう!
そう意気込んでいたのに……。
「可愛すぎる。もっと抱きしめさせてくれ。」
私、最強の不良さんに見初められちゃったみたいです。
巻き込まれ体質の不憫な中学生
ふわふわしているけど、しっかりした芯の持ち主
咲城和凜(さきしろかりん)
×
圧倒的な力とセンスを持つ、負け知らずの最強不良
和凜以外に容赦がない
天狼絆那(てんろうきずな)
些細な事だったのに、どうしてか私にくっつくイケメンさん。
彼曰く、私に一目惚れしたらしく……?
「おい、俺の和凜に何しやがる。」
「お前が無事なら、もうそれでいい……っ。」
「この世に存在している言葉だけじゃ表せないくらい、愛している。」
王道で溺愛、甘すぎる恋物語。
最強不良さんの溺愛は、独占的で盲目的。
ぼくの家族は…内緒だよ!!
まりぃべる
児童書・童話
うちの家族は、ふつうとちょっと違うんだって。ぼくには良く分からないけど、友だちや知らない人がいるところでは力を隠さなきゃならないんだ。本気で走ってはダメとか、ジャンプも手を抜け、とかいろいろ守らないといけない約束がある。面倒だけど、約束破ったら引っ越さないといけないって言われてるから面倒だけど仕方なく守ってる。
それでね、十二月なんて一年で一番忙しくなるからぼく、いやなんだけど。
そんなぼくの話、聞いてくれる?
☆まりぃべるの世界観です。楽しんでもらえたら嬉しいです。
クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました
藤永ゆいか
児童書・童話
中学2年生になったある日、澄野星奈に許嫁がいることが判明する。
相手は、頭が良くて運動神経抜群のイケメン御曹司で、訳あって現在絶交中の幼なじみ・一之瀬陽向。
さらに、週末限定で星奈は陽向とふたり暮らしをすることになって!?
「俺と許嫁だってこと、絶対誰にも言うなよ」
星奈には、いつも冷たくてそっけない陽向だったが……。
「星奈ちゃんって、ほんと可愛いよね」
「僕、せーちゃんの彼氏に立候補しても良い?」
ある時から星奈は、バスケ部エースの水上虹輝や
帰国子女の秋川想良に甘く迫られるようになり、徐々に陽向にも変化が……?
「星奈は可愛いんだから、もっと自覚しろよ」
「お前のこと、誰にも渡したくない」
クールな幼なじみとの、逆ハーラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる