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魔法使いミレイ
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魔法使いのミレイさんがグリムを直してくれるというのに、グリムが怯えている。
『主……』
「どうしたんだい? いつもの元気がないじゃないか」
「ねぇ、どうしたの? 早く魔剣を貸してよ」
「いや! なんでもないですよ。はい、どうぞ。グリムって名前です」
俺は魔剣をミレイさんに手渡す。
すると、彼女は両手で優しく魔剣を持った。
「ふぅん……。これは、かなり強力な魔力を感じる魔剣ね……」
「やっぱりすごい剣なんですか?」
「ええ……。おそらく、魔王が持っていた剣の1つだと思うわ……」
その通りだ。
事実は言わないほうがいいのかな……。
「あなた、名前はなんていうの?」
「あ、俺はハヤトです」
「そう……。私はこの剣を直せるわ。しかもすぐにね」
「ええ? 本当ですか?」
「ええ、私に任せなさい」
「ありがとうございます!」
よかった。
これで魔剣の問題は解決する。
『主! 油断しないでください! 彼女は……危険かもしれません!』
怯えているグリムの声が聞こえてきた。
「大丈夫だ。俺は彼女を信じるよ。それとも、俺を信じられないかい?」
『いや、その言い方はズルいですよ。彼女が信じられないと言っているのに、主を信じているかどうかを確認するなんて。主を信じてはいるけど、主だって完璧じゃないですよね? 騙されそうになることだってあるはず……って、先ほどは聖騎士に騙されてましたよね?』
「グリム……俺が悪かったよ。すごい勢いで論破しないでくれ」
「どうしたの? 魔剣と話しているのかしら?」
「はい。話はつきました。直してください」
俺は彼女にグリムを預けた。
『主? 話はついていない……あああああっー!?』
ミレイさんが魔力を込めている。
「ほら、もう直った」
「え……こんなに早く?」
「短剣になっちゃったけど」
『あああああああ!? 主! 折れた破片を持ってきていないのですかあぁー!!』
「あ……ごめん、グリム。なんか色々あって……主にアリアさんだけど。どこかに落としちゃったみたいだ」
『これでは私は……魔短剣になってしまいます!』
「お! 新しい用語だね? それもいいじゃないか。じゃあ、シャルルリープを手に入れに行こう」
「魔剣とモメてるの? 大丈夫かしら?」
「問題ありませんよ!ありがとうございます」
「じゃあ、報酬をちょうだい」
「報酬?」
あ、当然そうなるか……。
いくら自由奔放な生き方を目指していても、報酬はあげなきゃな。
「おいくらでしょうか?」
「えっとね、その魔剣をね……」
「いや、グリムは魔短剣です」
『主! まだ私は認めてませんよ!? 自分が魔短剣であることに!!』
「えっと、その魔短剣をね……私にちょうだい」
「ええっ!? ちょっと、ミレイさん! グリムを直した報酬が、グリムを貰うことなんて……報酬って言わなくないですかぁ!?」
グリムに論破されたので、ミレイさんを論破することにした。
「嫌なのね?」
「はい。なんでグリムを欲しがっているんですか?」
「もっとふさわしい魔剣騎士にあげるの。偉大な魔剣をこんな姿にしてしまうなんて……あなたじゃ役不足よ」
「ええっ!? こんな姿にしたのはミレイさんじゃないですかぁ!? あと、役不足の使い方が間違ってませんかぁ!?」
俺の論破熱が冷めない。
いや、ただの訂正かもしれないが。
『主……こんな姿って言っちゃってるじゃないですか』
ごめん、グリム。
今はグリムとの話に付き合っている場合じゃないんだ。
むしろグリムを守るために口論しているんだ!
「いや……偉大な魔剣を折ってしまうような実力じゃ役不足という意味よ?」
「役不足の使い方が間違っていて、何を言いたいのか分かりません!!」
「だったら……実力行使よ!」
ミレイさんが襲いかかってくる!
またこのパターンか!!
俺は女性に戦いを挑まれる!!
『主……』
「どうしたんだい? いつもの元気がないじゃないか」
「ねぇ、どうしたの? 早く魔剣を貸してよ」
「いや! なんでもないですよ。はい、どうぞ。グリムって名前です」
俺は魔剣をミレイさんに手渡す。
すると、彼女は両手で優しく魔剣を持った。
「ふぅん……。これは、かなり強力な魔力を感じる魔剣ね……」
「やっぱりすごい剣なんですか?」
「ええ……。おそらく、魔王が持っていた剣の1つだと思うわ……」
その通りだ。
事実は言わないほうがいいのかな……。
「あなた、名前はなんていうの?」
「あ、俺はハヤトです」
「そう……。私はこの剣を直せるわ。しかもすぐにね」
「ええ? 本当ですか?」
「ええ、私に任せなさい」
「ありがとうございます!」
よかった。
これで魔剣の問題は解決する。
『主! 油断しないでください! 彼女は……危険かもしれません!』
怯えているグリムの声が聞こえてきた。
「大丈夫だ。俺は彼女を信じるよ。それとも、俺を信じられないかい?」
『いや、その言い方はズルいですよ。彼女が信じられないと言っているのに、主を信じているかどうかを確認するなんて。主を信じてはいるけど、主だって完璧じゃないですよね? 騙されそうになることだってあるはず……って、先ほどは聖騎士に騙されてましたよね?』
「グリム……俺が悪かったよ。すごい勢いで論破しないでくれ」
「どうしたの? 魔剣と話しているのかしら?」
「はい。話はつきました。直してください」
俺は彼女にグリムを預けた。
『主? 話はついていない……あああああっー!?』
ミレイさんが魔力を込めている。
「ほら、もう直った」
「え……こんなに早く?」
「短剣になっちゃったけど」
『あああああああ!? 主! 折れた破片を持ってきていないのですかあぁー!!』
「あ……ごめん、グリム。なんか色々あって……主にアリアさんだけど。どこかに落としちゃったみたいだ」
『これでは私は……魔短剣になってしまいます!』
「お! 新しい用語だね? それもいいじゃないか。じゃあ、シャルルリープを手に入れに行こう」
「魔剣とモメてるの? 大丈夫かしら?」
「問題ありませんよ!ありがとうございます」
「じゃあ、報酬をちょうだい」
「報酬?」
あ、当然そうなるか……。
いくら自由奔放な生き方を目指していても、報酬はあげなきゃな。
「おいくらでしょうか?」
「えっとね、その魔剣をね……」
「いや、グリムは魔短剣です」
『主! まだ私は認めてませんよ!? 自分が魔短剣であることに!!』
「えっと、その魔短剣をね……私にちょうだい」
「ええっ!? ちょっと、ミレイさん! グリムを直した報酬が、グリムを貰うことなんて……報酬って言わなくないですかぁ!?」
グリムに論破されたので、ミレイさんを論破することにした。
「嫌なのね?」
「はい。なんでグリムを欲しがっているんですか?」
「もっとふさわしい魔剣騎士にあげるの。偉大な魔剣をこんな姿にしてしまうなんて……あなたじゃ役不足よ」
「ええっ!? こんな姿にしたのはミレイさんじゃないですかぁ!? あと、役不足の使い方が間違ってませんかぁ!?」
俺の論破熱が冷めない。
いや、ただの訂正かもしれないが。
『主……こんな姿って言っちゃってるじゃないですか』
ごめん、グリム。
今はグリムとの話に付き合っている場合じゃないんだ。
むしろグリムを守るために口論しているんだ!
「いや……偉大な魔剣を折ってしまうような実力じゃ役不足という意味よ?」
「役不足の使い方が間違っていて、何を言いたいのか分かりません!!」
「だったら……実力行使よ!」
ミレイさんが襲いかかってくる!
またこのパターンか!!
俺は女性に戦いを挑まれる!!
応援ありがとうございます!
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