いつか会えると信じてる

桃華

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 今にも暴発しそうな魔力。それを、何とか抑えながら、足早にホテルの部屋に向かった。

 大嫌いなサキュバスに手を引かれながら。

 ーーもう少しなんだ。

 ガーディアンのクラス2nd以上じゃないと認められないイーターの討伐。
 それよりも、もっと強いと言われている人型の人語を操るイーター。ようやくその参加が認められた。
 ここまでくるのに、3年という時間を費やした。
 ユリアと離れてからもう5年も経ってしまっている。

(魔力の暴発なんてさせてしまったら、おしまいだ…)

 毎日のキツイ魔力強化の鍛錬で血反吐を吐いたことも、上級魔法の早撃ちで身体がボロボロになったことも、どうでもいいと思えた。

 ユリアと再会できるなら…。もう一度、あの笑顔をそばで見ることができるのなら。キツイ鍛錬も、キツイなんて思ったことはなかった。

(やっとここまで来た)

 こんな時に魔力を暴発させてしまったら、また振り出しに戻ってしまう。
 そしたら『セイレーンのガーディアン』への道も遠のく。

 それだけは何としても避けなければならない。

(早くユリアに会いたい…)

 そう思いながら、サキュバスに手を引かれた。

 魔力の高い俺は、簡単にサキュバスを捉えることが出来る。
 魔王種の血を引く俺の魔力は、サキュバスにとっては『蜜』そのもの。
 どれだけ逃げようとしても、簡単に見つけ出して虫のように俺に群がる。

 サキュバスは、自分で魔力を作り出すことができない。だから、魔力が切れそうになると、本能的に魔力を欲して吸収する相手を探し回る。

 虫以下の気持ち悪い存在。そんな存在のサキュバスと、俺はいまホテルに向かっている。
 それは…魔力を暴発させない為だ。高過ぎる魔力は俺の体を蝕み、炎となって溢れ出し、ありとあらゆるものを焼き尽くす。

 ここ数年は抑えられていた魔力。それが、成長と共に身体を超えてしまい、外へと溢れ出す。

 それを防ぐ為にはサキュバスによる『吸収』が、一番手っ取り早い。

 学校帰りに駅で声をかけて来た、適当なサキュバスに誘惑されたフリをしてホテルへと向かった。

「一応聞くけど…何歳?」

「……15歳」

「ふぅ~ん。それで、その魔力なんだ…すごいね?」

 早速俺の魔力に当てられた、サキュバスの切れ長の赤い瞳は、恍惚と輝いている。

 サキュバスにとって年齢は関係ない。俺がまだ15歳だとしても、魔力値が高ければ、そんなことどうだっていいんだろう。

 部屋に入った途端に、我慢できないとでもいうように、俺をベッドに押し倒した。

(ケダモノみたいだ…)

 身体に跨り、ギラついた赤い瞳を見上げると吐き気がする。

 もう決めたことだと強く目を閉じた。
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