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突然の訪問者
婚約破棄が終わってから1ヶ月。慌ただしく時間が過ぎていった。学園ではエリック様の素行が悪かった事もあり、周囲の反応は同情的。ただ、家に婚約の申し込みが多数届いたけど、その全てに同じ返事をしていた。
『魔獣の習性上、お受け出来ません。詳しくは獣騎士団に問い合わせ下さい』
その後、獣騎士団は見学者や問い合わせが殺到していたが、私が訓練に参加している姿を見せたらほぼ無くなった。
『……つ……強い』
そんな声が回りから聞こえていたけど、魔獣は賢いから弱いと従いませんよ?これで陛下の目的の一つでもある、魔獣の習性や強さが少しは広まったらしい。
その後、婚約者の申込みしてきた男性から怯えられた私は、辞退続出で婚約者がいないまま。このまま決まらなかったら、獣騎士に入団しようかと本気で考えていた。
そして、今日は、後処理の済んだ大公様が我が家にやってくる。
何の話か分からないけど、大公様が我が家に来るのは夕方の予定。まだお昼前の今は、いつもの様に魔獣の世話をしている。
「マリーのブラッシングはお仕舞い。次はライトよ」
マリーが不満げに私を見詰めるけど、他の子も順番待ちをしている。後でねと声をかけて頭を撫でると、渋々次の子と交代した。
「ロゼッタ~お客様よ」
リンデ姉様の呼ぶ声に顔を上げると、私に向かって大きく手を振って歩いて来る姿が見える。その後ろをキャスバル殿下とタイニーが続いて歩いていた。
「殿下……急に、どうされましたか?」
「ごめんね。どうしても君と話がしたくて、今日を逃すと暫く時間が取れないんだ」
驚きながらも承諾すると、困った様に笑っている。リンデ姉様は仕事の途中だったからと、その場に殿下と私だけが残して戻って行った。時間が取れないって、学園で会えるのに一体どうして?
「獣騎士団の討伐遠征に一緒に行くことにしたんだ」
「遠征にですか?」
おうむ返しした私を見て、苦笑いしながら頷いた殿下は、この数日にあった事を教えてくれた。
私との婚約を本気で考えてくれた事や、陛下に相談したら弱いから無理だとハッキリ言われた事も。
「父上から言われたけど、自分でもケジメをつけたいんだ」
「ケジメを……ですか……」
驚き過ぎて自分の言葉がたどたどしい。何となく普段と雰囲気の違う殿下に、違和感を覚えた。
「私と結婚して欲しい」
ヒュッと自分の息を呑む音がやけに大きく聞こえる。殿下は真剣な表情で、私の返答を待っていた。
あぁ、前回の告白とは違う。私も、ちゃんと答えなきゃ。
「ごめんなさい。好きな人がいるので、お断り致します」
頭を下げた私には殿下の表情は見えない。ここまで想ってくれた殿下に、何も返せない事が申し訳なくて顔を上げられなかった。
「……ありがとう。出来れば友人とし、これからも話はさせて欲しいけど良いかな?」
そう言った殿下に返事をするため顔を上げると、少し寂しげだけどスッキリした表情が見えた。殿下の隣にいたタイニーが、慰める様に彼の脚にしがみついていた。
「っ……はい……こちらこそ、ありがとうございます」
私がそう言うと殿下は、笑顔で別れを告げて帰って行った。
『魔獣の習性上、お受け出来ません。詳しくは獣騎士団に問い合わせ下さい』
その後、獣騎士団は見学者や問い合わせが殺到していたが、私が訓練に参加している姿を見せたらほぼ無くなった。
『……つ……強い』
そんな声が回りから聞こえていたけど、魔獣は賢いから弱いと従いませんよ?これで陛下の目的の一つでもある、魔獣の習性や強さが少しは広まったらしい。
その後、婚約者の申込みしてきた男性から怯えられた私は、辞退続出で婚約者がいないまま。このまま決まらなかったら、獣騎士に入団しようかと本気で考えていた。
そして、今日は、後処理の済んだ大公様が我が家にやってくる。
何の話か分からないけど、大公様が我が家に来るのは夕方の予定。まだお昼前の今は、いつもの様に魔獣の世話をしている。
「マリーのブラッシングはお仕舞い。次はライトよ」
マリーが不満げに私を見詰めるけど、他の子も順番待ちをしている。後でねと声をかけて頭を撫でると、渋々次の子と交代した。
「ロゼッタ~お客様よ」
リンデ姉様の呼ぶ声に顔を上げると、私に向かって大きく手を振って歩いて来る姿が見える。その後ろをキャスバル殿下とタイニーが続いて歩いていた。
「殿下……急に、どうされましたか?」
「ごめんね。どうしても君と話がしたくて、今日を逃すと暫く時間が取れないんだ」
驚きながらも承諾すると、困った様に笑っている。リンデ姉様は仕事の途中だったからと、その場に殿下と私だけが残して戻って行った。時間が取れないって、学園で会えるのに一体どうして?
「獣騎士団の討伐遠征に一緒に行くことにしたんだ」
「遠征にですか?」
おうむ返しした私を見て、苦笑いしながら頷いた殿下は、この数日にあった事を教えてくれた。
私との婚約を本気で考えてくれた事や、陛下に相談したら弱いから無理だとハッキリ言われた事も。
「父上から言われたけど、自分でもケジメをつけたいんだ」
「ケジメを……ですか……」
驚き過ぎて自分の言葉がたどたどしい。何となく普段と雰囲気の違う殿下に、違和感を覚えた。
「私と結婚して欲しい」
ヒュッと自分の息を呑む音がやけに大きく聞こえる。殿下は真剣な表情で、私の返答を待っていた。
あぁ、前回の告白とは違う。私も、ちゃんと答えなきゃ。
「ごめんなさい。好きな人がいるので、お断り致します」
頭を下げた私には殿下の表情は見えない。ここまで想ってくれた殿下に、何も返せない事が申し訳なくて顔を上げられなかった。
「……ありがとう。出来れば友人とし、これからも話はさせて欲しいけど良いかな?」
そう言った殿下に返事をするため顔を上げると、少し寂しげだけどスッキリした表情が見えた。殿下の隣にいたタイニーが、慰める様に彼の脚にしがみついていた。
「っ……はい……こちらこそ、ありがとうございます」
私がそう言うと殿下は、笑顔で別れを告げて帰って行った。
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