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本編
魔力の痕
しおりを挟む「グッ……」
呻き声と共に元侯爵の身体が前に傾く。お義父様が横に動いたかと思うと、脇腹にもう一度、拳がめり込んだ。
「さて、遊びの時間は終わりだ」
膝をついて何も出来ない元侯爵に、お義父様は魔力封じの枷が手に付けた。金属の様な色をしたその枷は、今まで見たことの無い紋様が刻まれていた。
「これはオーウェン殿特製の封じだ。人間には外せない」
殴られた所を押さえながら顔を上げた元侯爵の前に移動したオーウェンさんが、フードを外して隠していた顔を見て一瞬、その場が静かなる。
「エルフが……何で……」
最初に言葉を話したのは少年だった。マスターは目が点になり、元侯爵は体の力が抜けた様にその場に座り込んだ。まぁ……エルフが人間と一緒に居るだけでも珍しくのに、人間に協力しているんだもんね。
「魔眼の主よ。この魔具と先程の魔具の製作者は同一人物だ」
オーウェンさんの言葉に黙って頷いたお義父様が、座り込んだままの元侯爵の前に膝をついて視線を合わせた。
「オーウェン殿に魔具の鑑定を依頼した。この意味が分かるだろう?」
ウッと小さな声が漏れた後、元侯爵は俯いた。マスターの横にいる少年は、意味が分からないと言って彼に質問していた。
「エルフの鑑定は絶対なんだよ。人間には分かんねぇ、魔力痕ってのを視るからな」
「魔力痕?」
「あぁ、魔具には製作者の魔力が残ってんだ。人によって違う魔力の痕をエルフは視るんだよ」
理解してない様子で首を傾げる少年の横でマスターが苦笑いしていると、団長が紙の束を手に持って駆け寄って来た。
「カイン様、関係者全員の捕縛が完了いたしました」
「そうか。ゲーリー、ご苦労さん」
団員から紙の束を受け取ったお義父様が、元侯爵の顔の前に紙を差し出す。無言で紙を眺めていた元侯爵の肩が徐々に震え出した。
「お前の協力者は全員捕縛した。勿論、お前の息子と娘もだ」
お義父様の合図で団長の後ろに控えていた団員が、両側から腕を掴み元侯爵を立たせるとフラフラと覚束ない足取りで外へと連れ出された。これで全て終わったのかな?
「まだ、捜査の裏付けが残っているが、一先ず終わったな」
"終わった"の一言にやっと肩の力が抜けた気がした。これで事件に巻き込まれる事も無いんだよね?
「マスター、俺は役にたてましたか?」
「うん?大丈夫だ。一端の男になったじゃねぇか」
不安気な表情だったら少年が満面の笑顔に変わる。マスターに背中を叩かれて痛いと涙目で文句を言う姿に、自然と笑みが溢れた。
「あー、やっと終わった~」
腕を上げて背伸びすると軽い眩暈がして後ろにふらつく。ランバートさんに受け止められて笑って誤魔化した。
さて、これからどうしようなぁ?
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