[完結]私を巻き込まないで下さい

シマ

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番外編

昼下がりに

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「お母さん!また、髪を引っ張ったー」

「あら、ダメじゃ。自分がされて嫌な事は相手にもしない。そのお約束はどうしたの?」

「……だって!」

「なに?」

「だって!僕のおやつ食べたんだもん!」

 ワーっと泣き出す二人の子供達に苦笑いしながら二人同時に抱き締めた。お父さんに似てよく食べる二人は、毎日、食べ物で喧嘩をしている。でも可笑しいわね。沢山、おやつは作ったはずなのに……まさか!

「ねぇ、おやつは二人で全部食べたの?」

「違うよーお父さんが食べたんだよ」

「あちゃー、ごめんね。お母さんがお父さんを叱っとくから二人は別のお菓子食べて遊ぼうか」

「「うん!」」

 私は腰に着けていたポーチから二人に一つづつお菓子を渡すと、木陰に三人で並んで座り話をしながら食べた。

「あー、いたいた。三人で隠れて何やってんだ?」

「「あ!お菓子泥棒だ!!逃げろー」」

「へ?」

 急に逃げた子供達を目で追いながらも、意味が分からないと彼は首を傾げた。

「子供のおやつは食べないでって言ったよね?」

「子供のおやつだったのか?」

「もう、呆れた。貴方の分は棚の上にあったじゃない」

 うーん、と空を見上げて考える仕草をした彼は、ポンと掌を叩いた。何を思い出したの?

「それも食べた」

「ちょっと!まさか食べ尽くしたの!?」

 笑って誤魔化す彼に注意しようとした時、逃げたはずの子供達が戻ってきて今度は私に向かって鬼がでたーなんて言う。

「こら!そんなことは言わないの!」

「プンプン鬼だ、逃げろー」

「逃げろー」

「待ちなさーい!」

「「キャー」」

 面白半分で逃げる子供達を追いかけて鬼ごっこをする。家の庭を走り回り、子供達を捕まえた頃には汗だくになっていた。

「……子供だからって……体力あり過ぎ……」

「さぁ、二人ともお昼寝の時間だ。寝かしつけてくるから休んでてくれ」

 まだ遊びたい子供達が暴れるけど、軽々と左右の肩に担ぎ上げ彼が歩き出した。

「はぁ……体力はお父さんに似たなぁ」

 子供達は瞳は私と同じオレンジ。髪はディーと同じハニーブラウン。一目で私達の子供と分かる二人は元気一杯。木陰て休んでいると頬を撫でる風が気持ち良い。

 あー、今日の夕食は何にしよう。昨日、狩ってきてくれた鹿肉で煮込みハンバーグにしようかなぁ……ぼんやりと考えていると寝かしつけが済んだのか彼が戻って来た。

「疲れただろう。夕食は俺が作るから休んだらどうだ?」

「ふふ、じゃあ、お願いするね」

 初めて会った頃の酷い料理を思い出したら笑いが止まらなくなった。塩だけで焼いたお肉の塊とかね。

「昔は、料理が下手だったのにねー」

「あれは……師匠が悪いだろう?」

「そうね、お腹に入れば一緒なんて言ってたもんね」

 少し不貞腐れた表情を浮かべた彼が無意識に、もう無くなった剣を触ろうとして手が止まった。ドラゴンさんは魔石に残っていた魔力を使い果たして眠りについた。ドラゴンさんの希望で魔力を注ぐ事はせず、オーウェンさんの住む森の奥に納められた。来週には代わりの剣が届くけど、人が作った剣は彼の魔力に耐えきれずすぐに折れてしまうから今は剣が無い。オーウェンさんが新しく作ってくれる事になったけど、すぐには出来ないから今は無職?

「おーい」

 家の影から顔を出したのはお義父様だった。呼び鈴を鳴らしても返事が無いから庭に回って来たらしい。今日、来る予定無かったよね?

「ナダルがたまには全員で顔を出せって煩いからお前らも来い」

「「え~面倒」」

「えぇい!この似た者夫婦が!!諦めろ。今日の晩飯を皆で食いに行くぞ」

 仕方ないなぁ、せっかく寝た二人を起こすのは気が引けるけどねぇ……その前にお風呂入らなきゃ。

「ねぇ、ディーお風呂沸かしてくれない?」

「風呂?なんで」

「子供達をお風呂に入れないと汗臭いよ」

 あーと言うと彼はお風呂の準備をする為に立ち上がった。私も立ち上がると、子供達を起こすために家の中へと歩き出しその後をお義父様がついてくる。

「何時になったら静かに暮らせるのかなぁ」

「お前らには一生無理な話しじゃないか?」

「……その通りかも……」




 きっと皺だらけのお爺ちゃんお婆ちゃんになっても、賑やかな家なんだろうな。


お父さん、お母さん。

私は今、幸せだよ。




end

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