もう一人のオレがみんな美少女で家に住みついてますが何か

第十四話 スプリングシャウト 8

「あっ……。」

　撮影用に使用している金髪ツインテール、のカブリモノを装備したままの裏実瑠が反応して、真胡都は良くも俺まで女物と気づく。

　優花も新鮮で新感覚な俺の格好を観て、二人並んで目許に艶を浮かべてはしがみつこうとして、その間に真胡都が介入する。

　真胡都は俺の下半身が視えない様に隠してくれるが、今度は真胡都の腰が後ろむきに当たって、矢張りヒットアンドアウェイ。

　奈津美さんはそれを観て妖しげに艶々と、何かを期待する様でありながら、遊んでいる様に容子を観ているのだろうか。

（アレ、絶対あたってる……。）

　裏実瑠と優花からすれば正面から俺達が視えて、何にしても真胡都が腰を圧しつけていると、その様に解釈も不思議ではない。

　確かに実際当たっている事に変わりないが、突き出された腰が圧しつけられても、見た目と違ってヒットアンドアウェイ。

（ズルいっ!!）

　何を思ったにしても裏実瑠と優花に、あの様な積極的な攻め方は到底難しいか、その割には現に展開した状況に気合が入る。

　俺は『天然居士』ながら真胡都の『偶然童子』を観たが、二人には逆に思えたと見えて、フワフワと接近して来るのか。

　『天然』でも『偶然』にしてもこの状況では、誰もが『童子』に『居士』を見て、この現状が許されるなら構わないのか。

　その瞬間に奈津美さんの双峰が割り込んで、弾くどころかクッションの如く、実瑠と優花の顔や真胡都すら吸収して仕舞う。

　そして、すかさず「ちゅ……っ」と俺の口許を攻めては、夕飯の支度が済んだ事を妖しく呈して、迫る何かすら緩衝して引き返した。

　そんな奈津美さんを追って食卓に就けば、先に紫英流が済ましながら茶碗の米を、ただ静かにモグモグする容子は圧を覚えた。

　グリル焼きのサンマは苦味すら美味く、身の柔らかさや脂分も充実して有意義に、大根おろしも辛味は無く軽くさらした醤油。

　米も何時も通りに糖質が充実していて、味噌スープも程よく利いた中にしみた大根と、スベスベにも大豆が大豆に合っている。

　そんな充実した食事も紫英流の圧に泣きながら、俺達に美味しく戴かれては、一体感のある旨味だけは何処までも一貫していた。