勇者召喚に巻き込まれた僕は異世界でのんびり暮らしたい

りまり

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    逃走してから監視という名の護衛がついた……違うな護衛という名の監視が付いた。

    何処に行くにも着いてくる。はっきり言ってウザイ。

    これも彼らの仕事だから仕方ないとは思うけど、彼らの目はイヤイヤだと言うのが見て取れるから余計にウザイのだ。

    最近は階段から押されて転げ落ちたりもしたし、鉢植えが上から落ちてきたこともあった。

    その時も彼らは見て見ぬふりをしたから、犯人と共犯なのだと思う。

    僕がいったい何をしたと言うのだ。

    こうなるのが嫌で出て行こうとしたのに……僕の体は見えないところにいくつも痣が出来ておりはっきり言って限界だった。

 二回目の脱走を試みようと思った時宰相閣下に呼ばれ行ってみると僕に対する苦情が多いと言われ、中をみると僕がされたことがいかにも僕がしたかのように書かれていた。

 「これに覚えは?」

 「ありません」

 護衛をしている奴らはニヤニヤと笑っており、宰相閣下もそれを見て眉をひそめた。

 「君たち外に出ててくれるか?」

 「我々は彼の護衛です。離れるわけにはいきません」

 「……私が席をはずせと言っているのにか……」

 決して声を荒げているわけでもないが、否とは言わせない迫力がある。

 渋々彼らは部屋を出ていくとようやく僕は服を脱ぎ体中の痣を見せた。

 「これは……あいつら怠慢にも程がある」

 宰相閣下は騎士団長を呼ぶと僕の体中の痣を見ると見る見るうちに顔を真っ赤にし怒りだした。

 「あんな戯言を信じたのかあいつらは、勇者はきちんと否定しいるのに騎士が言ったことを鵜呑みにしやがって力のないものに暴力を振るうなどあってはならないことだ」

 騎士団長は護衛の騎士たちを呼び一人ずつ殴りだした。

 鍛え抜かれた彼らが軽々と吹っ飛ばされるほどの威力で僕なら確実に死んでると思う。騎士団長が常識のある人でよかったと今更ながらに思ったよ。

 その後勇者に事の顛末を話すと、僕に対して嫌がらせをしていた人物たちをすべてあぶり出し僕がされていたことを倍にしてやり返してくれたそうだ。酔っ払い君(騎士)にはさらなる鍛錬という名のいびりを勇者自らやっているのだと宰相閣下より聞かされた。

 だからと言って僕の気が晴れることはないのは明確だ。

 宰相閣下は僕に嫌がらせをした奴を炙り出し、勇者に僕の噂は出鱈目だと説明させたのち首になった。

 その後はどうなったかは知らない。ただ言えるのはこの国で雇ってもらえないと言うことだけだ。

 

 
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