【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います

りまり

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 入学手続きを済ませてから、大変だった。

 リーフがあることないこと言いふらし、噂を消していくのにかなりの時間を要したのだ。

 学園側も不正はなかったと発表してくれたおかげで何とか収集が着いたのだ。

 入学前からそんなんだから疲れ果て入学式を休もうかとさえ思ったぐらいだ。

 入学式当日もリーフは一緒に行くと言って大騒ぎされ大変だったし、疲れ果てた身には自己紹介だけというのはありがたかった。

 当たり障りのないことを言い、後は全員の紹介が済めば帰るだけだ。

 でもそうは問屋が卸してくれなかった。

 どうやら名前から私がリーフの姉とわかり、王子さまが来たのだ。

 「お前がリーフの言う傲慢な姉か?」

 「?」

 傲慢な姉ですって!!!!

 リーフは王子にまでそんなことを吹き込んだ挙句に王子はそれを信じて要るっぽいのだから質が悪い。

 「殿下、それはリーフ様のご意見です。
 偏見で物事を決めてはいけません。
 きちんと自ら話してみて決めてもよろしいかと思います」

 まともな意見の人がいた。

 「それに、リーフ様の言う傲慢とは彼女には当てはまらないかと思います。
 彼女のつけているアクセサリーはすべて自分を守るための装飾品です。
 何かあった時の為に録画機能付きの物です」

 「……良くご存じですね。
 魔道具師の方にご無理を言って作っていただきました。
 本当にあの時無理を言ってでも頼んだ介がありました」

 「やはりそれなりの効果がありましたか?」

 「どこまでご存じなのですか?」

 「すべてを存じ上げてますので大丈夫ですよ」

 私が入学するにあたり、迷惑をかけてしまう可能性があったため学園側に事情を話て合ったのだ。

 もちろん夢のことも話してある。

 普通であれば夢で見たことを本気にしてと笑われても仕方ないのに親身になり、学園中に防犯カメラの設置などを施してくれたのだ。

 どうやらお母様の家系はそういう夢見の家系で未来に起こることを夢で見てしまうようだ。

 その為私の話を真剣に聞いてくれたのだそうだ。

 こればかりは本当に感謝してもしきれないほどだ。

 「ありがとうございます。
 王子殿下、発言をお許し下さい」

 「ここは学園だ、王族とか関係ない」

 「何をもって傲慢なのかわかりませんが、私は妹を虐めたりなどしてません」

 何がきっかけで虐められたと言われるかわからないので、リーフがあれが欲しいど言われればあげたし、洋服だって妹がいらないと言ったものをメイドと一緒にリメイクして着ている。

 「……」

 私はリーフが家に来てから一枚も洋服を仕立てていない、すべてリーフのお古を着ているのだ。

 一度一緒に洋服を仕立てたらあることないこと言われたのだ、そんなことで言いがかりをつけられたくないから、できる限り物を欲しがらなくなった。

 お父様のねだるのは自分を守るための道具だけだ。

 私はまだ死にたくないですからね!

 「殿下はご存じないかもしれませんが、リーフ様はメイドを影で虐めております」

 「まさか、そんなことまであの子はしているのですか?」

 「伯爵に言われ、城にもありとあらゆるところに防犯カメラを取り付けました。
 メイド達にはあなたがしているピアスを支給しつけてもらっています。
 そこに映し出されたのが、般若の顔でメイドを罵るリーフ様です」

 「私には信じがたいことだ」

 王子殿下は頭を抱え悩みだしたが、私はそんな彼がかわいそうだとは思わなかった。

 だって私夢ではこの人に殺されえしまうんですからね! 

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