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 助けた彼は何とか命だけは助かった。
 
 ただケガがひどかったので騎士としてはやっていくことはできないと言われたようだ。

 その為日がない一日ボーとしていることが多く見ているこっちが痛々しいと思ってしまうぐらいだ。

 俺は彼に話しかけたりしていたが、始めこそ反応がなかったものの今ではどうだろう、一緒に散歩に行ったり、剣の稽古も付き合ってくれるようになったのだ。

 少しずつ打ち解けあい、どうしてあそこにいたのかを聞くことに成功したのだ。

 「俺は主の命でここまで来た。
 でも目を覚ますまでの間一か月もたっていたなんて……」

 「誰の命を受けてきたの?」

 「それは、ここから北に行った山に囲まれた王国だ。
 魔物に襲われて国が亡びる前に王子だけでも助けようとして……」

 「それって、君が獣人なのと関係ある?」

 「……なんで俺が獣人だと……」

 「もしかしてそこの王子さまってフェンリルだったりする?」

 「そうです……俺の守っていたのはフェンリルの王子です!!!!」

 ならと、彼を連れて俺の部屋に行った。

 するとフェンリルを見るなりポロポロ泣き出したのだ。

 「ご無事でしたか……」

 (ここはすごく住み心地がいいんだ)

 「そうですね、ここの人たちはとても暖かいです」

 (彼らに頼めば俺たちの家族も住まわせてくれるよ)

 俺は家族と言う言葉に反応してしまった。

 「家族がいるならここに呼べばいいよ!!!
 ここは辺境の地で魔物討伐を毎年行っているんだ」

 俺は彼らを連れ、父上さまたちのところに行ったのだ。

 「ハルト父上さま、リューン父上さまよろしいですか?」

 彼らのことを話すと、父上様たちと母上さまは少し考えた末に彼らの家族をこの辺境に住まわせてもらえるようになったのだ。

 ただ、生き残りがいればなのだが、ハルト父上様は討伐隊を結成しフェンリルと彼に道案内を頼みすぐさま出かけて行った。

 
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