勘弁してください、僕はあなたの婚約者ではありません

10 長兄side2

　学園に再度通うようになったリューシャは友達が出来たのか楽しそうに帰ってくるようになった。

　だから俺はそうかと言って一緒に三男と喜んだんだ。

　放課後寄り道して帰ってきたりと学生生活を楽しんでるなと思ったのもつかの間、ある日ケガをして帰ってくるようになり、理由を聞いてもあいまいに答えるだけだ。

　放課後の寄り道もしなくなったのか真っすぐ帰ってくるようになったし、流石に心配になり学園に問い合わせるとここぞとばかりに最近起きた学園での出来事を話してくれた。

　「殿下の我儘がまた始まったのですね」

　「そうなのです。
　確かにリューシャ君が殿下の側近候補たちと仲良くするのもどうかなと思いますが……だからってあからさまにあれはないと思います」

　「そうですか、家のリューシャをそんな理由でケガさせたんですね」

　「はい、怪我をしたリューシャ君を宮殿に連れて行ってしまいこちらもどうすることも出来ないんです」

　「わかりました。ありがとうございます」

　俺はそれだけ言うとそのまま宮殿に向かった。

　あのバカ王子は一体何を考えているんだ。

　宮殿に着くと慌てふためくように何かを隠そうとしている。

　「どういうことか説明できるよな」

　俺は王子の教育係を捕まえると吐かせた。

　「申し訳ございません。
　我々では殿下の暴走は止められません」

　泣き言ばかり言い始めたこいつらをもう一度教育しなおさなければと思う一方で、これ以上酷いことにならなければいいなと思った。