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第2章 海洋国家オルヴァート編
86限目「海賊襲来」
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ハーピーと十数隻の船団。まぁ歓待されてる感じではないよな。いや待て。もしかすると違う意味で歓待されてるのかもしれない。
ということはあれが噂の海賊ってわけか。ちょうどいい、ちょいと捻ってやろうじゃないか。
俺は船長と前もって打ち合わせた通り、小舟を出してもらった。
船長達とはここで別れ、船はアンバールに引き返してもらう手筈だ。シェステとカーラは大きく手を振り、船員たちはそれに敬礼で返す。
「よし、シェステ、カーラ。あいつらはここで徹底的に懲らしめる。遠慮は要らん。今までの修練の成果を俺に見せてみろ!」
「「はい!師匠!」」二人ともやる気満々だ。いやはや相手に同情するぜ!
「頭、小舟に人が乗ってこっちに向かってきやす。帆船の方は引き返していきやすぜ!」
「どういうことだ?あいつらビビッて逃げ出したのか?小舟は誰が乗ってる?」
「男が一人、若い女が一人、それにガキが一人です!」望遠鏡をのぞいていた手下が人員の詳細を教える。
「よし、小舟をとっとと押さえて、帆船を追いかけるぞ!全船前進!!」
相手が動き出した。よし!
「では、打合せ通りいくぞ!」
「「はい!」」
まずは例によってシェステがアルスを呼び出し、小舟に結界を張る。その後俺は《浮遊(フロート)》で小舟を僅かに浮かせ、風魔法を使い小舟を猛スピードで直進させる。
カーラは前傾姿勢を取り、船団に近づいたところで小舟のスピードの勢いを借りて前方に大きく跳躍する。目指すは最後尾にいる一際大きい帆船。つまり海賊団の母船だ。
母船の船首に華麗に着地すると、刀を抜き海賊へその切っ先を向ける。
「貴様らが海で悪さをしている海賊だな?お前達は今日で店仕舞だ。大人しく店を畳めば悪いようにはしないが、どうする?」
「おうおう、洒落たことを言ってくれるじゃねぇか。女一人で俺達を相手にしようって心意気は買ってやりたいが、この人数でお前の威勢が通用するかどうか。ガキだってわかるってもんだ。
お前こそ投降しろ!そうすりゃ命だけは助けてやる」
「まぁ、そう言うだろうとは思ったさ。では、交渉決裂ってことでいいな?峰打ちにしてやるが、相当痛いぞ?覚悟してかかってこい!」カーラは峰打ちの構えにして、不敵に笑みを浮かべる。
猛スピードで突進してくる小舟を見てさぞ驚いたことだろう。その一瞬を突き、俺は《飛行(フライ)》で飛び上がると、すれ違いで後方にたむろするハーピー達の相手をする。
「お前らの事情は知らんが、あんな海賊の手下にさせられてるなんて、ほんと難儀なこった。だから命までは取らん。しばし無力化させてもらうぞ!
《泡(バブル)》」俺の言葉と共に無数の泡が空中に広がっていく。ハーピー達はただの泡だろうと爪で割ろうと試みるのだが。あぁ、それは悪手だぜ?
爪が触れても泡は割れず、そのままハーピーを取り込んで完全に包み込んでしまった。あちらこちらで同様の状況が発生し、7割ほどが泡に取り込まれてしまった。
この泡は勿論普通の泡ではない。触れたものを取り込んで行動を封じる、俺特製の特殊結界だ。こうなってしまっては諦めるしかない。最初は羽をばたつかせ、外への脱出を試みるが、大人しくなり、恨めしそうにこちらを眺めている。
直接触れなかった残りの3割も迫る泡にどうしようもなく次々と取り込まれ、やがて全てのハーピーが行動不能となってしまった。まさに籠の鳥状態である。
「そんな目で見るんじゃない。悪いようにはしないから、しばらくそこでじっとしてろ」さて、下の様子はどうかな?
シェステは結界の張られた小舟で至極安全な状態である。彼女に課した役割は、勿論周囲の船をすべて撃沈させることである。
船団の中央で停止させると、鉄壁の要塞と化した小舟から発せられるのは、彼女が得意とする《火球(ファイアーボール)》である。
これまでの修練で集中力と魔法のイメージが底上げされたため、今では一度に5個の火球を同時に発射できるようになった。それを人には当てずに船の各所に当て、船員たちを海へ脱出させる作戦だ。
「いっけ~!《火球(ファイアーボール)》!!」拳2個分の大きさの火球が5個、海賊船の帆や胴体などに着弾して炎を上げる。一気に燃え上がる炎に消火する暇がないので、何もできない船員達が船から海へ飛び込んでいく。
うむ、いいコントロールだ。火力もちょうどいい。得意属性ではあるが、合格点をあげましょう。
俺は、ハーピー達を閉じ込めたバブルを海上に飛ばし、救出すると言う体で船員を捕獲していく。
そうしているうちに、シェステは次から次へと海賊船へ火球を放っていく。もう母船以外は全て炎上中だ。バブルを飛ばし、海賊も全員捕獲できそうだな。
よし、こっちもミッションコンプリートだ。残るは……。
カーラは母船で大立ち回りを演じていた。《侍》である彼女に太刀打ちできる海賊がいるはずもなく、次々と峰打ちで無力化させられていく。
前方ではこの短時間で、炎上しながら仲間の船が沈没していく。加えて手下があっという間に無力化されていく。海賊の頭はまるで夢でも見ているように、ただ目の前で起こる光景を眺めることしかできなくなっていた。
ということはあれが噂の海賊ってわけか。ちょうどいい、ちょいと捻ってやろうじゃないか。
俺は船長と前もって打ち合わせた通り、小舟を出してもらった。
船長達とはここで別れ、船はアンバールに引き返してもらう手筈だ。シェステとカーラは大きく手を振り、船員たちはそれに敬礼で返す。
「よし、シェステ、カーラ。あいつらはここで徹底的に懲らしめる。遠慮は要らん。今までの修練の成果を俺に見せてみろ!」
「「はい!師匠!」」二人ともやる気満々だ。いやはや相手に同情するぜ!
「頭、小舟に人が乗ってこっちに向かってきやす。帆船の方は引き返していきやすぜ!」
「どういうことだ?あいつらビビッて逃げ出したのか?小舟は誰が乗ってる?」
「男が一人、若い女が一人、それにガキが一人です!」望遠鏡をのぞいていた手下が人員の詳細を教える。
「よし、小舟をとっとと押さえて、帆船を追いかけるぞ!全船前進!!」
相手が動き出した。よし!
「では、打合せ通りいくぞ!」
「「はい!」」
まずは例によってシェステがアルスを呼び出し、小舟に結界を張る。その後俺は《浮遊(フロート)》で小舟を僅かに浮かせ、風魔法を使い小舟を猛スピードで直進させる。
カーラは前傾姿勢を取り、船団に近づいたところで小舟のスピードの勢いを借りて前方に大きく跳躍する。目指すは最後尾にいる一際大きい帆船。つまり海賊団の母船だ。
母船の船首に華麗に着地すると、刀を抜き海賊へその切っ先を向ける。
「貴様らが海で悪さをしている海賊だな?お前達は今日で店仕舞だ。大人しく店を畳めば悪いようにはしないが、どうする?」
「おうおう、洒落たことを言ってくれるじゃねぇか。女一人で俺達を相手にしようって心意気は買ってやりたいが、この人数でお前の威勢が通用するかどうか。ガキだってわかるってもんだ。
お前こそ投降しろ!そうすりゃ命だけは助けてやる」
「まぁ、そう言うだろうとは思ったさ。では、交渉決裂ってことでいいな?峰打ちにしてやるが、相当痛いぞ?覚悟してかかってこい!」カーラは峰打ちの構えにして、不敵に笑みを浮かべる。
猛スピードで突進してくる小舟を見てさぞ驚いたことだろう。その一瞬を突き、俺は《飛行(フライ)》で飛び上がると、すれ違いで後方にたむろするハーピー達の相手をする。
「お前らの事情は知らんが、あんな海賊の手下にさせられてるなんて、ほんと難儀なこった。だから命までは取らん。しばし無力化させてもらうぞ!
《泡(バブル)》」俺の言葉と共に無数の泡が空中に広がっていく。ハーピー達はただの泡だろうと爪で割ろうと試みるのだが。あぁ、それは悪手だぜ?
爪が触れても泡は割れず、そのままハーピーを取り込んで完全に包み込んでしまった。あちらこちらで同様の状況が発生し、7割ほどが泡に取り込まれてしまった。
この泡は勿論普通の泡ではない。触れたものを取り込んで行動を封じる、俺特製の特殊結界だ。こうなってしまっては諦めるしかない。最初は羽をばたつかせ、外への脱出を試みるが、大人しくなり、恨めしそうにこちらを眺めている。
直接触れなかった残りの3割も迫る泡にどうしようもなく次々と取り込まれ、やがて全てのハーピーが行動不能となってしまった。まさに籠の鳥状態である。
「そんな目で見るんじゃない。悪いようにはしないから、しばらくそこでじっとしてろ」さて、下の様子はどうかな?
シェステは結界の張られた小舟で至極安全な状態である。彼女に課した役割は、勿論周囲の船をすべて撃沈させることである。
船団の中央で停止させると、鉄壁の要塞と化した小舟から発せられるのは、彼女が得意とする《火球(ファイアーボール)》である。
これまでの修練で集中力と魔法のイメージが底上げされたため、今では一度に5個の火球を同時に発射できるようになった。それを人には当てずに船の各所に当て、船員たちを海へ脱出させる作戦だ。
「いっけ~!《火球(ファイアーボール)》!!」拳2個分の大きさの火球が5個、海賊船の帆や胴体などに着弾して炎を上げる。一気に燃え上がる炎に消火する暇がないので、何もできない船員達が船から海へ飛び込んでいく。
うむ、いいコントロールだ。火力もちょうどいい。得意属性ではあるが、合格点をあげましょう。
俺は、ハーピー達を閉じ込めたバブルを海上に飛ばし、救出すると言う体で船員を捕獲していく。
そうしているうちに、シェステは次から次へと海賊船へ火球を放っていく。もう母船以外は全て炎上中だ。バブルを飛ばし、海賊も全員捕獲できそうだな。
よし、こっちもミッションコンプリートだ。残るは……。
カーラは母船で大立ち回りを演じていた。《侍》である彼女に太刀打ちできる海賊がいるはずもなく、次々と峰打ちで無力化させられていく。
前方ではこの短時間で、炎上しながら仲間の船が沈没していく。加えて手下があっという間に無力化されていく。海賊の頭はまるで夢でも見ているように、ただ目の前で起こる光景を眺めることしかできなくなっていた。
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