【完結】碧よりも蒼く

多田莉都

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第3章

かつて住んでいた町で

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 新幹線のドアが開くと熱風が襲い掛かってきた。
 富山だって八月は暑い――、そんなことは知っていたけれど、いざこの風を浴びるとうんざりする。



 駅のホームに足を降ろすことに少し戸惑っていると、後ろからの視線を感じたので慌てて足を降ろした。
 いざ降りてみれば何てことのないただのコンクリートだった。
 三月の終わりに愛知へ向かったのだから、約五カ月ぶりの富山だが、三月と違うのは雪が見当たらないぐらいだった。そんなに何かが突然変わるものではないのかもしれない。

 改札を出て、北口のバスロータリーを出る。最近増えたとかいうショッピングモールが見えたが、混んでいるらしく一階の駐車場へと車が列を成していた。
 笹谷ささたに行きのバス停に並ぶと、すぐにバスがやってきた。
 バスに乗り、富山駅からの町並みをバスの窓から見ていた。駅と同じくたった五ヶ月で変わるものなんてほとんどなく、コンビニがひとつ増えているぐらいだった。その前に建っていたのが何かも思い出せない。僕の記憶なんて適当なものだ。

 三十分近く時間をかけて「栗田南口くりたみなみぐち」で下車すると、そこには大きな陸上競技場があった。
 中学時代は何度もこの場所で行われる大会に出場した。ここで走って負けた記憶なんてほとんどない相性のいい競技場だった。
 今日は高校生向けの大会が行われる日なので、いろんな高校のジャージを着た高校生たちがいた。


 僕の知名度なんていまやどのぐらいのものか想像することもできないが変に僕を知っているという人にも会いたくなかったので、変装、というわけではないけれどキャップを被った。
 芸能人でもないくせにバカみたいだ、と思いつつ深めに被った。


 この競技場に来た目的、それは「相沢碧斗」がここで行われる大会に出てこないかを確かめるためだった。


 もしこの大会に出場したなら一体何者なのかを確認したかった。
 もちろん僕本人が走っていたはずはないが、偽者だとして一体誰だというのか、それがわからない限り、すっきりとしないままの日々を過ごすことになる。そんなのは御免なので僕はバイト代を一部充てて、あとは祖父母に帰省の交通費としてくれたお金を使って、一人で富山にやってきた。


 もし出場していなくとも、無駄足にはしたくない。そのときは所属している高校の陸上部が集まっている場所へ行ってみれば何かわかるかもしれない。

 総体予選のときに「相沢碧斗」の所属しているとされる高校は「青城南高校」だった。


 それは紗季が通う高校でもあった。
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