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力にだって限界があるんです
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「うん。その前に……
母上、ユエと二人で話をしたいので席を外してもらえますか?」
「女性と二人になんて…と普段なら言うところですが、後で理由を話すと言うことなら今はそれで外しましょう。」
わたしは二人のやりとりに口出しできなかった…
何やら二人で話を進めるが、領主と二人にしないでもらいたいのだが…
そうこう考えてるうちに、マリン様は出て行ってしまった……
マリン様が出ていくのを見送って領主はそばの椅子に腰かけた。
「さて、ユエ。
君には聞きたいと言わないといけことあるんだけど。
まず、どうしてそんなに無理をするの?」
「無理などしてません。
こうなってしまうのは私の力不足だからです。」
「君のことはこの1ヶ月見させてもらったけど、記録に書いていた以上に君は浄化をしてる。
50年分の穢れを少しでもと言うのはわかるけど、このペースでしていくと君が疲弊し、壊れてしまう方が先に来るのはわかっていただろう?」
「………もし、そうなったとしてもいいとわたしは思ってました。…」
「まさかとは思うけど、再び神徒になるとか言わないよね?」
「⁈
どうして神徒のこと…」
「ミコト様から教えてもらったんだ。
君があまりに無理をするからミコト様も見兼ねて、俺に話したんだと思う。」
「……どの辺までお聞きになったんですか?」
ミコトが話した?それほどこの領主…信用しているの?
「君が前世の記憶があってここの巫女だったこと。
巫女だった時に禁忌の儀式で生贄にされたこと。そのあと神徒としてミコト様の側にいたこと、かな。
君がなぜ生贄にされたのか詳細は教えてくれなかったけど、昔のあの悪習の犠牲者に酷なことをさせていたと……身が詰まる思いだよ。」
そういい、領主は頭を項垂れている。
本当に申し訳ないと思ってくれてるのだろう。それが今ではなく、昔に起きたことなのに…
「いえ…
あなたが謝るのはお門違いです。あの儀式を率先していたのは領主ではなく、神殿の一族なのですから。」
そう、領主は悪くはないのだ。当時もあの人は知らされてなかった…
「領主様、わたしのことは放っておいて下さい……
これからどんな事になろうともわたしは構いませんので…」
「それは死ぬかもしれないのも含んでるの?」
「死ねばまた…ミコトのそばにいることができますから…」
「ふざけるな!
何故死に急ぐ、そんな事ミコト様も望んでいないだろう!
ここに来る前は、神殿とは関係ない普通に過ごしていたじゃないか。」
「思い出してしまったからです!
思い出してしまったから、わたしは……」
こんな話領主にはしたくない。
でも、自分をさらけ出さないといけない気がしてくる。
この人にわたしは何を反応しているのだろう…
「……君は、なぜそこまでミコト様に尽くすの?」
「………誓いの為です…」
「誓い?」
「昔に前世でした誓いです。
わたしは当時この地を存続させるために、自分の夢を諦めました。そのかわり、誓いをしたのです。」
ヴェーヌス家の存続をー
母上、ユエと二人で話をしたいので席を外してもらえますか?」
「女性と二人になんて…と普段なら言うところですが、後で理由を話すと言うことなら今はそれで外しましょう。」
わたしは二人のやりとりに口出しできなかった…
何やら二人で話を進めるが、領主と二人にしないでもらいたいのだが…
そうこう考えてるうちに、マリン様は出て行ってしまった……
マリン様が出ていくのを見送って領主はそばの椅子に腰かけた。
「さて、ユエ。
君には聞きたいと言わないといけことあるんだけど。
まず、どうしてそんなに無理をするの?」
「無理などしてません。
こうなってしまうのは私の力不足だからです。」
「君のことはこの1ヶ月見させてもらったけど、記録に書いていた以上に君は浄化をしてる。
50年分の穢れを少しでもと言うのはわかるけど、このペースでしていくと君が疲弊し、壊れてしまう方が先に来るのはわかっていただろう?」
「………もし、そうなったとしてもいいとわたしは思ってました。…」
「まさかとは思うけど、再び神徒になるとか言わないよね?」
「⁈
どうして神徒のこと…」
「ミコト様から教えてもらったんだ。
君があまりに無理をするからミコト様も見兼ねて、俺に話したんだと思う。」
「……どの辺までお聞きになったんですか?」
ミコトが話した?それほどこの領主…信用しているの?
「君が前世の記憶があってここの巫女だったこと。
巫女だった時に禁忌の儀式で生贄にされたこと。そのあと神徒としてミコト様の側にいたこと、かな。
君がなぜ生贄にされたのか詳細は教えてくれなかったけど、昔のあの悪習の犠牲者に酷なことをさせていたと……身が詰まる思いだよ。」
そういい、領主は頭を項垂れている。
本当に申し訳ないと思ってくれてるのだろう。それが今ではなく、昔に起きたことなのに…
「いえ…
あなたが謝るのはお門違いです。あの儀式を率先していたのは領主ではなく、神殿の一族なのですから。」
そう、領主は悪くはないのだ。当時もあの人は知らされてなかった…
「領主様、わたしのことは放っておいて下さい……
これからどんな事になろうともわたしは構いませんので…」
「それは死ぬかもしれないのも含んでるの?」
「死ねばまた…ミコトのそばにいることができますから…」
「ふざけるな!
何故死に急ぐ、そんな事ミコト様も望んでいないだろう!
ここに来る前は、神殿とは関係ない普通に過ごしていたじゃないか。」
「思い出してしまったからです!
思い出してしまったから、わたしは……」
こんな話領主にはしたくない。
でも、自分をさらけ出さないといけない気がしてくる。
この人にわたしは何を反応しているのだろう…
「……君は、なぜそこまでミコト様に尽くすの?」
「………誓いの為です…」
「誓い?」
「昔に前世でした誓いです。
わたしは当時この地を存続させるために、自分の夢を諦めました。そのかわり、誓いをしたのです。」
ヴェーヌス家の存続をー
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