前世を思い出した巫女は神のもとに行きたい

だるま

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二人の夢

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この胸の痛みはなんなんだろう?


コンコン
部屋をノックする音で私の意識は戻される。
こんな時間に誰だろ?

「はい」

開けると妹のシェリスがいた。
「姉様…今…いい?」

シェリスを部屋に招き入れ、椅子を進めた。

「どうしたの?こんな夜中に。」

シェリスは何やらそわそわしている。
ああ、と私は
「お手洗いなら先に行ってきたら?」

シェリスは一瞬固まって、はははっと笑い出した。
「もう姉様たら。
ふふふっごめんなさい紛らわしかったね。」

シェリスは緊張していたのか。笑ったおかげか、いつものシェリスになっていた。

「あのね、姉様。私、好きな人ができたの。」
おおっ私の悩みの参考になりそうな話が出てきた。

「そ、そう。どの神官?」

「違うよ。外の人。」
えっ……

「外から祈りに来てる人がいて、たまたま会ったんだけどそれから意気投合しちゃって。
そしたらいつのまにか好きになっててね。」
これは、まずい……
それが、他の神官達に知ることになったらシェリスがどんな目にあわされるかわからない。

「シェリス、あなた今自分が危険な事をしてるのはわかってるのよね。」
姉として心配せずにはいられない。

「わかっているわ。それでもこの気持ちは抑えられないの。」
抑えられない気持ち……冷静に判断もできなくなるものなの?

「あなたが今言う好きとはなに?家族とは違うもの?」

「姉様?」

「私はわからないの好きとは何?」

「姉様…私があの人に抱いてるのは、あの人だけが特別で、大切で、かけがえのない人だということよ。」

「特別…かけがえのない…」

「あの人のこと考えるととても心が温かくなるの。それに元気もくれるわ。側にいたいと思うの。あの人の事を考えると、胸が苦しかったこともあるわ。」

そう聞いて、自分の抱いている気持ちが重なると思った。
そうか……私はカイン様が好きなのか……これが好きという感情…







シェリスは私に、好きな人ができた事を聞いて欲しかったらしい。
でも、それはここでは危険な事。それはあの子もわかってはいるはず。
「ヘマはしない。」とは言っていたが、うまくやってくれればいいのだけど。


そして私も、カイン様に抱いている気持ちの名前はわかった。
しかし、彼も領主の息子ではあるが、神殿の一族ではない。
彼とずっと…とはいかない。
いつかは終わりがあるの事なのだと、自分に釘をさした。

これから彼とどうしていけばいいのだろう……さすがにそれは本を読んでもわからないので、カイン様に聞いてみることにしよう。
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