前世を思い出した巫女は神のもとに行きたい

だるま

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二人の夢

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カイン様と別れて、すぐに自室にこもった。
限界だった。
もう涙が止まらなかった。嗚咽が外に聞こえないように、枕に顔お埋め泣いた。


始めての友達…初めの恋人……
初めて外の面白さを教えてくれた…
教えてくれた事には驚きをたくさん与えてくれた…
変わらない日々に色を与えてくれた…


そして好きだと言ってくれた…
繋いだ手がこんなにも温かいのだと知った…
抱きしめられ…ドキドキした…
男の人はこんなにも力強いんだ…
とても安心した…
カイン様の心の臓鼓動を知った…私と同じ…鼓動で動いてる…

家族以外でこんなにも愛おしいと思えた…ただ一人の人…










どのくらい時間が経ったのか、ドアが忙しなく叩かれ応答する間もなく開かれた。

入ってきたのは長含めて数人の神官達。
皆険し顔をしている。
ああ…シェリスは無事に逃げれたんだ…






「長?どうしたのですか?私、寝てしまって……もう夜なんですね。」

外を見るともう夜も深くなっていた。
いつの間にか泣き疲れて寝ていたようだ。

「シェリスを知らないか?」

「あの子がどうかしたのですか?この時間だと部屋ではないのですか?」
とぼけるように返答する。

「今日の勤めが終わっても帰ってこないのだ。
こんな時間になってもまだ戻ってきていない。
お前まさか、シェリスを逃したのか。」

私を責めるように長は詰め寄ってくる。

「どうして私が逃すと?」

「唯一の親族だからだ。
お前は祭事の事を調べていた。
大方、妹に嫉妬して唆したのではないのか。」

「それは否こと。
親族だから、妹を唆す?何を言っていってるのです。
随分焦っているようですが?
私がまるでシェリスに嫉妬でもしてるようではないですか。」

「違うというのか!
特別な祭事に妹が選ばれた事に嫉妬していたのではないのか⁈」

「嫉妬……っふ、ふふふ。
何が悲しくて生贄になる妹のことを、不備に思う事はあれ、羨ましく思うと言うのですか?」

「⁈」
もう隠す必要はないから、言ってやった。
私はこの人たちを軽蔑する。私の大切な妹を殺そうなんて、許さない。

長達は目を見開き驚いている。

「何故それを…」

「何故?
そうですね。確かに祭事の事は調べはしましたが、記録にはないですし、皆も教えてくれませんでしたもんのね。」

「では何故知ることができたというのだ。」

私の周りを神官達が取り囲んだ。逃がさないと…威圧してきている。
別に逃も隠れも私はしないのに……

「私の力をお忘れで?
この神殿で誰より長く見守ってきた方がいるではないですか。」

「ミコト様か……」
顔を歪め、私を睨む。
ミコトが見え、会話ができる。それは、周りからすれば変な女にしか見えないが、長と少数の神官達は私の力として分かっていた。今では私だけだか、昔は見えていた人達はいたのだから、それを記録に載ってないわけがない。

「ミコトにとって浄化の助けにもならないのに、人間の自己満足な儀式に付き合わされる神様も大変ですね。」

バシンッ
耐え兼ねた長が怒りのまま、私を殴った。
反動で床に転んでしまった。
血の味がする、口の中が切れたか…

「神聖な儀式を愚弄するな!」
ミコトは迷惑がってるのによく言う。
これは人間の傲慢だ。



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