前世を思い出した巫女は神のもとに行きたい

だるま

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二人の夢

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「今から領主様にも報告、捜索隊を編成しシェリスを探す。それから、サニアには監視をつけ部屋に監禁しろ。」

長が周りに命令をかける。シェリスを探すつもりだ。
そうさせない。

「長、取引しましょう。」

「取引だと⁈」

「はい。シェリスはこのまま何処かに行ったのなら、もう放っておいて下さい。帰ってきたところで、儀式には間に合いませんし、従順に従う事はないでしょう。」

「やはり、シェリスの逃亡を知っていたか。
そして取引の代償がそれか。
で?何を差し出すと?」

「私の命を」

「お前が儀式に出ると言うことか。」

「問題ないでしょう?
それにこの儀式のことを知ってしまった私は邪魔でしょうし、消すならそれが手っ取り早いですよ?このままシェリスがいなければ私には家族はおりませんし、誰も悲しむ者はいません。
私はこの事を死ぬまで持っていくことを約束します。」

「……」

「お願いです。長…」

「後悔はないのだな?」

「はい。」
後悔?今までの生贄には聞かないだろうに私には聞くのか?
おかしな事を言うものだ。

「では、祭事の奉仕者はサニアに変更。シェリスは今日をもって病死とする。」

「お前はこのまま部屋にいなさい。ここまで言って逃げるとは思わないが儀式まで監視をつける。」

「はい。くれぐれも取引は忘れませんように。神は見ておりますので。」

「分かっている。」
そう言って長達は部屋から出ていった。
私は時間までここでいる事になった。
部屋の片付けでもしておくか。



**********


翌日、長が部屋に来た。
今日の流れを話してくれた。

今日はカイン様の婚姻式。それが終わり新月の夜、私はカイン様の前で血を捧げる血の儀式行うという事だった。
その後、祠に行き命をミコトに捧げるということ。

簡単に言われたが、最後に思いもしないことが起きた。
死ぬ前にカイン様と会うのか…

「長、カイン様と顔を合わせるのですか?」

「領主様は、血の儀式の後のこともご存知だ。そして、この儀式のこともいつかカイン様に口伝されるだろう。
後々、奉仕者の顔を思い出すことがあってはいかんからな。頭巾で顔を隠してもらう。」

それを聞いて少しほっとした。
カイン様と面識あるとは言えないし、会ってしまったら絶対止めかねない。騒ぎは起こしたくない。

「本当にいいのだな?」

「いいと言っていますでしょう。これまでの奉仕者にはそんな事を聞いていないでしょうに。」

「お前達には、親が早くに亡くなり不備な思いをさせてきた。特にお前は妹を守るために奉仕者にまで名乗り出たのだ。
なぜだ?自分の命が惜しいとはおもわんのか。」

「シェリスを選んでおいて何を今更……
命が惜しくないかと言われれば惜しいです。
でも、私にそんな選択肢は存在しない。
今回は儀式ができても、いつまでも続くとお思いですか?」

「これは古くからの掟であり、一個人が不服に思っていようと変えられることはあり得ない。
そして、これは絶対だ。」

「変えようとしないの間違いでは?こんなこと続けても、いつかは領主側と綻びが起きるときは来ますよ。」

「ワシは掟に従うだけだ。」

「……ならもういいです。
これ以上は無駄です。」

こんな場所に留めなくて良かった。
シェリスを守れた。私の分も幸せになってくれるに違いない。
それを託せるだけで私はもう十分だ。


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