前世を思い出した巫女は神のもとに行きたい

だるま

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絡まないでください

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あの夜から、領主のわたしへの接触がひどくなった。
訴えるにしても、マリン様しかいないが、一度それとなく言ったが微妙な顔をして流された。
つまり、マリン様は領主側についたのだ。
このままではどんどん入り込んでくる。それは止めていただきたいところだ。

「ユエ。今日の浄化は俺もついていくよ。」

突然背後から抱きついて来た。

「来なくていいですよ。仕事して下さい。」
抱きつかれた腕も離そうとするもびくともしない。

「そうだ弁当を作ってもらおうか。ミコト様と一緒に外でランチしよう。」

「いえ…だから…領主様「アトス!」……アトス様…今日は1人で行きますので…「じゃあ後で迎えにいくね。」……」

顔を擦り付け去っていった。
こんな感じである。これはもうセクハラだろう。
名前の強制呼び及び人の拒否は一切聞かない。
わたしの意思は無視されまくりである。

あれから、アトス様のわたしを見る目が変わっているのはわかっていた。
わたしに向ける眼差しは、かつてのカイン様に似ていた。まぁ遠いご先祖なんだし似てるのかな…と最初は思ったが、あれは本人カイン様だと今は確信を持っている。
だからといってお互いそのことを話題には出していないけれど、アトス様はわたしがサニアの生まれ変わりである事をわかっている。
でなければ、こんなにくっついて来たりはしないはず…


わたしの知らない所で、ミコトとアトス様と何かがあったのだろう。
ここに来て、2ヶ月が経とうとしている。
そろそろ借りているアパートからここに通いながら、浄化と書庫の仕事を、するくらいの余裕は出て来ている。
始めは浄化が重要事項だったが、ミコトと汚れについては危機的な状況は脱していると聞いてから、自分にも心に余裕ができた。


今日の浄化が終わり、アトス様に連れて行かれるままに外でピクニックをしている。
何気に話すのなら今がいいのかな?
「あの…領…アトス様。」

「ん?なんだい?」
笑顔でこちらに向けてくる。上機嫌だ。
よし、今だ。

「ここに来て2ヶ月になりますし、浄化の目処もついて来ました。そろそろアパートに戻って、そこから通うとかは出来そうなんですが…」

「………」
なんだろう、黙ったまま顔は笑ってるけど。

「…アパートはもう解約してるんだよね。」

「は?」

「いや、ひと月前にあそこはもうこちらで引き払ってるんだよ。アパートにあった荷物は、城の倉庫にいれてるけど。」

「な、なに勝手に引き払ってるんですか!?わたしに黙って⁈」

「あ~怒るとは思ったけど、帰す・・つもりなかったからね。」
さらりと爆弾投下された。

「わたし、帰る所無くなったんですけど!?」

「城が君の家と思っていいんだよ?」

「いやいや、なに言ってんですか。わたしはただの住み込みですから。
役目が終わったら出て行きますからね。」

「えっ出さないよ?」
笑顔で答え出るけど、怖い…
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