前世を思い出した巫女は神のもとに行きたい

だるま

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二人の夢

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神殿あいつらはサニアを何故生贄に?」
怒りが漏れ出る…でも、まだ確認する事はある。俺は手を握りしめ理性を働かせ、先を促した。

「元々、生贄はサニアの妹が選ばれていた。しかし、儀式のことを知ったサニアは、妹を神殿から逃がし、自分が代わりになると名乗り出た。」

「妹を庇って…」

「それだけではない。ちょうどお前の婚姻が決まったのが今回のきっかけだ。それを聞いてサニアは、お前とはもう別れなければいけないのは悟っていた。
自分が犠牲になる事に躊躇いはなかった。」

「そんなバカな事……言ってくれれば!」

「言えると思うなら、それはおごりだぞ?
あの子の方がある意味現実を見ていた。夢を見るには、あの子は聡すぎた。」

俺はその場に立つこともできず、座り込んでしまった。
脱力……
握っていた手から血が出ていた…

「失意の中悪いが、話を続けるぞ。」

言葉は出なかったが、うなずき聞く事にした。

「そして、サニアとは儀式の前に話た事がある。
死後神徒として、私に仕えると言う事だ。」

「……」

「神徒、私のそばでこれからも浄化を、することになるだろう。神殿の連中の力の衰弱具合から100年も力は続かないだろう。
だから私はサニアに提案した。そしてサニアは選んだんだ。神徒となって、今後もお前をそして子孫を守ると決めた。」

そんな未来の事まで……

「私がお前に姿を見えるようにしたのは、サニアの血に私が見えるようにを力を与えたからだ。」

「力ですか……それとあなた様が見えるようになる事に何があるんですか。」

「今お前の身体にはサニアの血が入っている。それは、お前がこれから先子孫へ受け継ぐため、神殿の者たちへの牽制になるだろう?」

「……今回のこと、お怒りなのですね。」

「サニアは大事な友達だった…それをこんな形で死なすなんてことはあってはならない。
罰を与えることも考えたが、人の世界は人がなんとかすること。
でなければ神に依存した世界になってしまう。そんな世界では、人は成長も発展も止まってしまう。」

「あなた様が、罰を下さないと言うなら俺が神殿あいつらを変えます。」

「お前の父親でもできないことだぞ?」

「それでも、サニアの死を無駄にしないためにも、神殿を変えます。」
心とは裏腹にもう一つの誓い…
俺は…あいつらを絶対許さない。時間がかかったとしても絶対に粛清する。

「では、賭をしよう。」

「賭ですか?」

「サニアが神徒となっても永劫というわけにもいかない。魂の磨耗がある。だから神徒としても期限は決まっている。
お前が神殿を変えたと、私が判断したとき再びお前たちを合わせてやる。」

「⁈」
サニアに未来で会える…
突然の提案に驚くが、人間からすれば奇跡だ。

「しかし、お前が間に合わなければサニアには会えない。そしてその時には浄化も滞りこの領地の終わりだ。」

「賭けにしては負けのリスクの方が大きくないですか?」
俺と、その子孫にかなり重くないか…

「仕方あるまい。それだけのことを神殿がやらかしておるのだ。ならばそのしわ寄せは、領主であるお前にいくのも仕方なかろう。」

「……賭けというよりも、もうそこまで定まった未来なのですね。」

「まぁ、全て領主にかかるのだ褒美はあってもいいだろう?」

「俺限定ですけどね。」

サニアに未来で会える可能性ができた。
俺がこれからすることも決まった。
古の時代から神殿がある以上信仰のあつい領民もいる。
一概にあいつらを追い出せばいいということではないのだ。
時間をかけて、神殿の力を削ぎ落とすことを俺は選んだ。
いつか会える君のために…
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