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二人の夢
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「落ち着けと言われても……なにがどうやら。
今まで、ミコト様のことは見たことがありませんし、こんなこと初めてですよ。」
「だから身体が馴染んだと言っただろう?」
「身体が馴染む?
どう言う事ですか?俺に何かされたのですか?」
俺にも浄化の力が目覚めたとか?
そしたらサニアに会えるだろうか。
「そうだな……最近お前に起きた事があるだろう?」
「最近…まぁ婚姻しましたね。」
「ああ、一つ一つ確認しても仕方がないが、私はお前とサニアの相引きなどは始めから知っているぞ?」
「⁈」
サニアとのことは誰も知らない事。これは…本物と思っていいだろう。
「やっと私が神であると認めたようだな。」
「申し訳ございません。
あなた様を見たのも初めてでしたので。代々領主の血筋であろうと、あなたを視認することはありませんでしたので。」
「まぁ、疑うのも仕方がないが、これからお前を始めとし、領主の血筋は私の姿が見えるようになるだろう。」
「何故そのような事を?」
俺からそんな力を授けられたのかわからない。
「今回の血の儀式……」
血の儀式?ああ、ミコト様も見ていたのか。
「あれは慣例なのでしょう?」
「そうだ、領主が婚姻するたびに、この儀式が執り行われる。まだこの儀式の本当の意味は聞かされていないだろう?」
「はい。まだ教えることはできないと。俺が継ぐ時にと言われています。」
「お前が望むなら今教えてやるが?」
「それは、あなたが見えるようになった事に関係するのですか?」
「そうだな……」
ミコト様は悲しそうな顔をして誰かを見ているようだった。
この儀式はミコト様はよく思ってない?
「教えてください。俺がこれからこの領地を管理する事になります。それに…神殿を変えていくつもりです。」
「お前とサニア…私から見たら結ばれてもよかったと思っていた。元々、神殿の血の伝承なんぞ力を保つ事にもならん。それが今の力が衰弱する原因だ。」
「では、サニアと結ばれる事は禁忌ではなかったのですね。」
「ああ、もう遅いがな……」
「……」
そうだ。俺はもう、妻を娶っている。もう、あの頃に戻ってサニアを寄り添う事は出来ない。
「あの子はもう…この世にはいない。」
「えっ…」
今なにを言った?この世にいない?サニアが?
「ミコト様!サニアがもうこの世にはいないとはどういう事ですか⁈」
俺は無礼を承知でミコト様に喰ってかかった。
しかし、ミコト様は抵抗はせずただ俺を見ていた。
「言葉の通りだ。もうこの世にはいない。死んだのだ。」
言葉が出てこない。死んだ?何故?病気?事故?
彼女になにがあったんだ……
「お前は会っただろう?最後に神殿で、サニアの血を飲んだだろう?」
「あの奉仕者がサニアだった?じゃあ、あの既視感はサニアだったと……思い違いじゃなく、直感で認識していた?」
「そこまで想っていたのならあの子を手放さなければよかったと思うがな。
人は役目だ掟だと縛られ生きたいように出来んのだな…」
「あの儀式の後サニアは死…んだと?」
突然の事で受け入れられない。でも、聞かなければ…
あの儀式の本当の意味……それと関係があるのか…
「儀式の本当の意味…」
「そうだ。あれは、神殿からお前に捧げられた供物……次期領主が領地を納める事を、私、土地神に生贄を捧げる事で繁栄を約束する。そしてそこまでして称えられるとして、領主は神殿には口出しできなくなると言う盟約だ。」
「じゃあ…サニアは生贄に…?」
「ああ…お前が去った後、毒を飲み苦しまずに死んだ。」
足元がぐらぐらする。頭がついていかないが、明確に神殿に対して憎悪を抱いた。
今まで、ミコト様のことは見たことがありませんし、こんなこと初めてですよ。」
「だから身体が馴染んだと言っただろう?」
「身体が馴染む?
どう言う事ですか?俺に何かされたのですか?」
俺にも浄化の力が目覚めたとか?
そしたらサニアに会えるだろうか。
「そうだな……最近お前に起きた事があるだろう?」
「最近…まぁ婚姻しましたね。」
「ああ、一つ一つ確認しても仕方がないが、私はお前とサニアの相引きなどは始めから知っているぞ?」
「⁈」
サニアとのことは誰も知らない事。これは…本物と思っていいだろう。
「やっと私が神であると認めたようだな。」
「申し訳ございません。
あなた様を見たのも初めてでしたので。代々領主の血筋であろうと、あなたを視認することはありませんでしたので。」
「まぁ、疑うのも仕方がないが、これからお前を始めとし、領主の血筋は私の姿が見えるようになるだろう。」
「何故そのような事を?」
俺からそんな力を授けられたのかわからない。
「今回の血の儀式……」
血の儀式?ああ、ミコト様も見ていたのか。
「あれは慣例なのでしょう?」
「そうだ、領主が婚姻するたびに、この儀式が執り行われる。まだこの儀式の本当の意味は聞かされていないだろう?」
「はい。まだ教えることはできないと。俺が継ぐ時にと言われています。」
「お前が望むなら今教えてやるが?」
「それは、あなたが見えるようになった事に関係するのですか?」
「そうだな……」
ミコト様は悲しそうな顔をして誰かを見ているようだった。
この儀式はミコト様はよく思ってない?
「教えてください。俺がこれからこの領地を管理する事になります。それに…神殿を変えていくつもりです。」
「お前とサニア…私から見たら結ばれてもよかったと思っていた。元々、神殿の血の伝承なんぞ力を保つ事にもならん。それが今の力が衰弱する原因だ。」
「では、サニアと結ばれる事は禁忌ではなかったのですね。」
「ああ、もう遅いがな……」
「……」
そうだ。俺はもう、妻を娶っている。もう、あの頃に戻ってサニアを寄り添う事は出来ない。
「あの子はもう…この世にはいない。」
「えっ…」
今なにを言った?この世にいない?サニアが?
「ミコト様!サニアがもうこの世にはいないとはどういう事ですか⁈」
俺は無礼を承知でミコト様に喰ってかかった。
しかし、ミコト様は抵抗はせずただ俺を見ていた。
「言葉の通りだ。もうこの世にはいない。死んだのだ。」
言葉が出てこない。死んだ?何故?病気?事故?
彼女になにがあったんだ……
「お前は会っただろう?最後に神殿で、サニアの血を飲んだだろう?」
「あの奉仕者がサニアだった?じゃあ、あの既視感はサニアだったと……思い違いじゃなく、直感で認識していた?」
「そこまで想っていたのならあの子を手放さなければよかったと思うがな。
人は役目だ掟だと縛られ生きたいように出来んのだな…」
「あの儀式の後サニアは死…んだと?」
突然の事で受け入れられない。でも、聞かなければ…
あの儀式の本当の意味……それと関係があるのか…
「儀式の本当の意味…」
「そうだ。あれは、神殿からお前に捧げられた供物……次期領主が領地を納める事を、私、土地神に生贄を捧げる事で繁栄を約束する。そしてそこまでして称えられるとして、領主は神殿には口出しできなくなると言う盟約だ。」
「じゃあ…サニアは生贄に…?」
「ああ…お前が去った後、毒を飲み苦しまずに死んだ。」
足元がぐらぐらする。頭がついていかないが、明確に神殿に対して憎悪を抱いた。
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