前世を思い出した巫女は神のもとに行きたい

だるま

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絡まないでください

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アトス様のスキンシップはこの日も一方的に行われていた。

抵抗すれど、流石に男と女では力の差は歴然。わたしはそんな筋肉質でもないので、抵抗虚しくもう終わるまで明後日の方向を見て意識しないように努めることにしている。
そう、意識してはいけない。例えカイン様の生まれ変わりだろうとも。
元々サニアの記憶があって育ってきたならともかく、わたしはユエとして生きてきた。最近思い出されたサニアの記憶でわたしというものが変わることはない。
かつてカイン様とサニアは恋仲だった。だからといってわたしがアトス様を慕うということは違うと思う。
わたしはユエ。ユエを見てくれる人でなければ、わたしの心は動かしてはいけない。

「アトス様、そろそろくっつくのホントやめてください。」

「機嫌が悪いね。アパートを引き払った事まだ怒ってるの?」

「怒ってはいます。けど、それだけではないです。
どうしてそんなにわたしに触ってくるんですか?」

「それは……君がいなくなりそうと……不安になるからつい触ってしまうのかな……」

「不安?いつかはわたしはいなくなりますよ。それは当然です。
役目が終わって日常に帰っていくかもしれない。
もしかしたら事故や病気で死ぬかもしれない。」

「……君は手放さない。どこにもやらない!!考えうる危機は回避して見せる…君はここで、ここに居ていいんだ。」
真顔で答えている。
でもこの言い聞かすような物言いが気に入らない。

「わたしをサニアのままで接しているなら、やめて下さい。
わたしはユエです。サニアではありません。」

「!?…そんなつもりは…」
それ以上は言葉にできず、言いにくそうにしている。

「答えられないでしょう?
サニアと思って接してる証拠です。
サニアの記憶があっても、わたしはわたしの人生があって生きてきたんです。
わたしを見てないのに、執着とか理解できません。」

「……」
何も答えなくなった。腹が立っていたのでついつい言ってしまう。

「…しばらくそばに来ないでください。」

距離を置きたかった。
とにかくわたしには落ち着いて考える時間が欲しいから。
あなたは心を乱す。
やめてよ、わたしを見てないくせに…



**********

「……何か言ってくれませんかミコト様…」

執務室で、うじうじとしているアトスを尻目に、出された茶菓子をミコトはモリモリ食べていた。

「今日の菓子は、スポンジが硬いな。」

「いや…そうじゃなくて…」

「…お前達2人のことは知らん。自分でどうにかしろ。」

「ユエには子供のように甘えているのに、俺の前では辛辣なお言葉で…」

「ユエは友達だからな。それにこの子供の容姿は母性本能?とやらがくすぐられるのか、特に甘やかしてくれる。意外に便利なので私はしばらくこのままで過ごそうと思う。」

「その容姿確信犯ですか。」

「それより、いつまでうじうじしているのだ?
弁解しに行くなら早いほうがいいと思うが?」

「しばらくそばに来るなと言われまして…これでも俺も傷ついてるんですよ。」

「ふん。何を言ってる。そんな事を言ってまた手遅れになっても知らんぞ。」

ガバッと顔を上げる。
そうだ…後悔は十分した。
もう…失うのは嫌だ!?
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