魔王の部下始めました

綾瀬海斗

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プロローグ

日常の崩壊

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勇者については、皆さん御存知の方が多いだろう。

勇者とは、神が我ら人間に遣わした、聖女と対となる、聖なる印を持つ者のことを指す。

しかし、我ら人間の、神の敵である魔神について知っている者は少なかろう。


これは、とある異世界人が残した日記だと言われている。

歴史を紐解くことで、魔神とはなにか、勇者とはなにかが分かるはずだ。



~~~~~~~~~~



ある日。

ぽかぽか昼寝日和だったので教室で微睡んでいると、廊下の声が聞こえてくるくらい賑やかだった空間が、急に静かになった。

「ん?」

顔を上げると、誰も動いていない。

いや、この教室にいる生徒以外、誰も動いていなかった。

「は?」

思わず、素っ頓狂な声をあげる。

近くの生徒が、『なんだこいつ?』と言わんばかりに俺を見ていた。

小声で言ったつもりだったが、思ったよりも大きな声が出たらしい。

俺がポカンとした顔で廊下を見ていたので、それにつられて廊下を見る。

「え…?」

やっと事態に気付いた。


誰も動いていない。

今にも喋りそうなのに、走りそうなのに、廊下から声も音も何もかもが伝わってこない。


なんだ?何が起こっている?


グラウンドの方を見ようとした、その時。


パァァァァァァァァッ


床が白い光を放ち始める。

「きゃっ!な、何!?」
「なんだよ、これ!」

やっと事態に気付いた奴らが騒ぎだした。


光から意識をそらすために、俺は床に視線を落とした。

「…ん?なんだ、何かある」

目を凝らすと、文字のような、線のようななにかが刻まれているのが見えた。

「おいおい、これってまさかーー」


急に光が強くなり、目があけられなくなる。

思わず腕で顔を隠した、その瞬間。













シュンッ


…再び喧騒が戻ってきた時、その教室にいた生徒の姿を見た者はいなかった。



こうして、俺達はこの世界から姿を消した。

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