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4、白濁パッションの妖精さん☆
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801穴。
☆☆☆☆☆
「キミは私やムチオのことをどう思う?」
「ええと、ものすごいガチムチな人だなあって思います」
「概ね間違ってはいないが、ひとつだけ大きな勘違いがあるな。我々は人ではない。801穴の妖精なのだ」
「……妖精……?」
「な、なんですって!?」
「なんでムチオさんが驚いてるんですか?」
「ムチオが驚くのも無理はない。なぜなら、ムチオはまだ生後3日なのだから。世界について知らないことも多々あるのだよ」
待って。待って待って待って待って!?
え? なに? どういうこと??
生後3日? このガチムチが??
「人は赤ん坊の姿で生まれ年月と共に成長するが、我々は生まれたときからガチムチなのだ」
なにその生物……。いや、てかさ、妖精って、もっと小さくて羽とか生えてるファンタジーな生物じゃないの……?
「我々は年老いることもなく、生まれて死ぬまでガチムチだ。老衰もない。我々の主な死因は腹上死だな」
「そういえば、昨日も向かいの家のムチ太郎さんが、ハッテンしすぎで亡くなってしまいましたね」
この流れでそんな情報いらないよ……。ガチムチしかいない世界で腹上死って……。
「惜しい人材を亡くしてしまったな。しかし、ムチ太郎の魂は、溢れるパッションと白濁液に包まれ、今日にでも新たに生誕するのだよ。それがこの世界。ガッチムーチカントリーだ」
「ごめんなさい。ちょっと整理させてください」
頭に入りたがらない言葉をなんとか飲み込み、整理する。
簡単に言えば、この世界の住人は妖精で、死んでも翌日には村中に溢れる栗の花臭い白濁液の中からにょきっとガチムチが生れ落ちる、と。
なるほどなるほど……。
いや、意味分からんって。
もういいや。無理に理解するのはやめよう。早く801穴の場所を聞いて帰ろう。それがいい。
「だ、だいたい分かりました。それで、801穴ってのはどこにあるんですか?」
「今は無い。バラバラになって、この世界に散らばっているのだ」
「そんな!? じゃ、俺はどうやって帰れば……」
「そのバラバラのカケラを全て集めれば時空の穴が開かれる。長い道のりだが、他に方法はないのだ」
「……分かりました。で、そのカケラはどこに? せめてヒントとか無いんですか?」
「心配するな。在り処は全て分かっている」
その答えに、ほっと胸を撫で下ろした。
場所さえ分かっていれば、時間がかかっても集めることは可能だろう。
「カケラは我々妖精の体内に存在するのだ」
……あれ? なんか……すっごくいや~な予感が……。
「我々全員を掘るか、逆に我々全員に掘られることによって、801穴は集約され元の世界に帰れるのだよ」
……あーー……あーー……。
「ん? モヤシくん、急に白目なんて剥いてどうしたんだい?」
「ふむ。どうやら脳の整理が追い付かないらしいな。少しそっとしておこうか」
「仕方ありませんね」
「それじゃ、待ってる間にイッパツどう?」
「うほっ。いいですね。それじゃ、モヤシくんも……」
「慌てるな。参加させるのは、彼が掘るか掘られるか決めてからのお楽しみにしようではないか」
「私としたことが、先走るとはジェントル失格ですな。それでは……」
すぐ横から聞こえる野太い嬌声を右から左に受け流し、白目のまま天を仰いでいた。
あーーーーーあーーーーーーーーあーーーーーーーーーーー…………。
続く
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