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第一章:川石男・『将来の夢』編
ロックマンの抱いた夢 4
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⑦、なんでもいいから県外へ
「今年中に金を50万貯めて、俺は県外に出る」
それが、この年のロックマンの口癖でした。
私、普段は自営業を営んでおりまして(スイカ農家をやってます)、初夏に仕事を辞めたロックマンは、この年の夏は私のところにアルバイトに来ていました。そして、この言葉を頻繁に口にしていました。
今回のロックマンの夢は、現実になりえる要素が大いにありました。
・前の仕事の失業保険。
・私が支払うアルバイト代。
・バイトが終わってすぐに、給料週払いの仕事を見つけたこと。
7月から8月の2ヶ月弱の間に、50万ほどの収入があったのです。これなら、目標に十分手が届く……と思っていたんですが……。
10月20日時点で、残金3千円。友人と前々から約束していた旅行もドタキャンする始末です。(9月以降も週払いの仕事は続けていました)
「いったい何にそんなにお金を使ったんだ?」
「分からない。なにも大きな買い物してないけど、気がついたらなくなってたんだ……」
多分……本当の事です。後の話にも出てきますが、ロックマンの変態的な金遣いなら、十分にありえます。
問題なのは、『目標を掲げていたにもかかわらず、自覚がないままに大金を使い切った』という事実です。
しかし、これでさすがに県外と騒ぐのは諦めるだろう……と思ったのですが、さすがのロックマン。ひとあじ違いました。
「俺は、年末までに15万貯めて県外に出る!」
いや、無理でしょ?
使い先も覚えていないままに50万を使い切る男が、なにをどうすれば15万貯められるというのか。
そもそも、50万ならともかく、仕事も、住居も、ツテもない県外へ出るのに、15万じゃ無理でしょう。
みなさんに誤解のないように言っておきますが、ロックマンの言う15万は、引越し準備が全て終わった段階の、『余裕としての15万』ではなく、引越し代、敷金礼金、家財道具一式、仕事が決まって給料が出るまでの生活費、その他諸々、『全部ひっくるめて15万の予算で大丈夫』だと言っているんです。どう考えても無理です。しかし、ロックマンは言います。「大丈夫」と。
ロックマンの理論はこうです。
・欲しいものは全部我慢できるから、15万は貯められる。
・仕事は引越し前に見つかって、さらに、その会社は寮が完備で、なぜか家財道具も全部そろっているから、敷金礼金、家財道具一式の予算はいらない。
・引越しも自分の車で簡単にできるから、引越しに金はかからない。(ちなみに、ロックマンの車は軽自動車)
・15万は、そっくり生活費に使えるから超余裕。
そんなに都合よくいくなら、世の中苦労はありません。いつもそうなんですが、全てが理想通りになって、それでも足りないくらいの計画しか立てられないんですよねロックマンって……。
「そこまで言うなら、やれるものならやってみろ!」
「やってやるよ! 俺もやればできるって所をみせてやる!」
そう息巻いて、ロックマンは帰って行きました。
そして翌月……
お金が払えなくて携帯電話を止められていました。
当然、県外なんか行ける訳ありません。
でも、ロックマンの中では、『お金がなくて(自分の能力がないせいで)県外に出られなかった』わけじゃないらしいんですよ。
田舎だと、地元の若い衆で、自警の『消防団』を結成しています。火事や災害の有事の際に、住民を守るための組織です。地元の若者はほぼ強制的に加入していますが、仕事の都合や本人の性格などで、活動に参加しない団員も多々いるのです。
その『消防団を辞められないから県外に出られない』そう、ロックマンの頭の中で、脳内変換されてました。今までは、『消防団が嫌で嫌で早く辞めたい』と言っていたのに、これを境に、『自分は消防団に命をかけている』といった言動をするようになったのです。
無意識下での思い込み。逃げではなく、本気でそうであったと思い込んでいるのです。そんなロックマンに怖さを感じます。
当然、今もロックマンは地元にいます。(概ね28歳)
「今年中に金を50万貯めて、俺は県外に出る」
それが、この年のロックマンの口癖でした。
私、普段は自営業を営んでおりまして(スイカ農家をやってます)、初夏に仕事を辞めたロックマンは、この年の夏は私のところにアルバイトに来ていました。そして、この言葉を頻繁に口にしていました。
今回のロックマンの夢は、現実になりえる要素が大いにありました。
・前の仕事の失業保険。
・私が支払うアルバイト代。
・バイトが終わってすぐに、給料週払いの仕事を見つけたこと。
7月から8月の2ヶ月弱の間に、50万ほどの収入があったのです。これなら、目標に十分手が届く……と思っていたんですが……。
10月20日時点で、残金3千円。友人と前々から約束していた旅行もドタキャンする始末です。(9月以降も週払いの仕事は続けていました)
「いったい何にそんなにお金を使ったんだ?」
「分からない。なにも大きな買い物してないけど、気がついたらなくなってたんだ……」
多分……本当の事です。後の話にも出てきますが、ロックマンの変態的な金遣いなら、十分にありえます。
問題なのは、『目標を掲げていたにもかかわらず、自覚がないままに大金を使い切った』という事実です。
しかし、これでさすがに県外と騒ぐのは諦めるだろう……と思ったのですが、さすがのロックマン。ひとあじ違いました。
「俺は、年末までに15万貯めて県外に出る!」
いや、無理でしょ?
使い先も覚えていないままに50万を使い切る男が、なにをどうすれば15万貯められるというのか。
そもそも、50万ならともかく、仕事も、住居も、ツテもない県外へ出るのに、15万じゃ無理でしょう。
みなさんに誤解のないように言っておきますが、ロックマンの言う15万は、引越し準備が全て終わった段階の、『余裕としての15万』ではなく、引越し代、敷金礼金、家財道具一式、仕事が決まって給料が出るまでの生活費、その他諸々、『全部ひっくるめて15万の予算で大丈夫』だと言っているんです。どう考えても無理です。しかし、ロックマンは言います。「大丈夫」と。
ロックマンの理論はこうです。
・欲しいものは全部我慢できるから、15万は貯められる。
・仕事は引越し前に見つかって、さらに、その会社は寮が完備で、なぜか家財道具も全部そろっているから、敷金礼金、家財道具一式の予算はいらない。
・引越しも自分の車で簡単にできるから、引越しに金はかからない。(ちなみに、ロックマンの車は軽自動車)
・15万は、そっくり生活費に使えるから超余裕。
そんなに都合よくいくなら、世の中苦労はありません。いつもそうなんですが、全てが理想通りになって、それでも足りないくらいの計画しか立てられないんですよねロックマンって……。
「そこまで言うなら、やれるものならやってみろ!」
「やってやるよ! 俺もやればできるって所をみせてやる!」
そう息巻いて、ロックマンは帰って行きました。
そして翌月……
お金が払えなくて携帯電話を止められていました。
当然、県外なんか行ける訳ありません。
でも、ロックマンの中では、『お金がなくて(自分の能力がないせいで)県外に出られなかった』わけじゃないらしいんですよ。
田舎だと、地元の若い衆で、自警の『消防団』を結成しています。火事や災害の有事の際に、住民を守るための組織です。地元の若者はほぼ強制的に加入していますが、仕事の都合や本人の性格などで、活動に参加しない団員も多々いるのです。
その『消防団を辞められないから県外に出られない』そう、ロックマンの頭の中で、脳内変換されてました。今までは、『消防団が嫌で嫌で早く辞めたい』と言っていたのに、これを境に、『自分は消防団に命をかけている』といった言動をするようになったのです。
無意識下での思い込み。逃げではなく、本気でそうであったと思い込んでいるのです。そんなロックマンに怖さを感じます。
当然、今もロックマンは地元にいます。(概ね28歳)
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