川石男(ロックマン)伝説

赤沼

文字の大きさ
10 / 22
第二章:川石男・『陸・海・空』三制覇?編

『陸』①、誕生! スネークハンター・ロックマン

しおりを挟む


 事件の発端は、本当に本当に何気ない事だったんです。
 
 近くの国道沿いに、『マムシ屋』って店があります。扱う商品は、名前のとおり、蛇の『マムシ』です。
 マムシをご存じの人も多いでしょうけど、日本を代表する毒蛇です。血清さえあれば死亡することは稀ですが、腕や足を切り落とした。なんて話も聞きます。

 このマムシ屋、私が高校生の時にマムシを1匹5000円で買い取っていたという噂がありました。買い取ったマムシをマムシ酒に加工して売り出しているのです。


 と、そんな話を、若いバイトにしていた時のことでした。
 少し離れた所でうしろを向いて座っていたロックマンが、目をギョロリとギラつかせながら振り向いたのです。

「今の話……本当か?」

 本当だよ。というかロックマン、なんで同世代なのに知らないの?

「そうか。いい情報をありがとう」

 ロックマンは目を輝かせ、実にいい顔をしていました。人間って、なにか目標ができると、こんな顔をするのかもしれませんね。

 この短い会話で、ロックマンはを目指す道を歩み始めたのです。




それからというもの、畑に蛇が出るたびにロックマンは仕事を投げ出し、必死で蛇を追いかけるようになりました。雇い主からしたら本当にいい迷惑です。
 いくら注意しても聞かないので、『ロックマンの心配をして止める』作戦決行です。

「ロックマン、もしマムシに咬まれたら大変じゃないか。だから、もうマムシを追いかけるのはやめたほうがいいよ」

 仕事上の注意を聞かないロックマンも、身を案じる友人は無下にはできないでしょう。
 実際、本当にマムシは危ないので、こんなバカなマネは早くやめるべきです。

 ところが、ロックマンの口からこぼれたのは、意外な言葉でした。

「大丈夫だよ。車にマムシ獲りの武器が積んであるから」

 マムシ獲りの…………!?
 え、なにそれ? すっごく見たいんですけど。

 周囲のバイトを見回してみると、みんな気持ちは同じのようです。
 もう説得なんてどうでもいいです。一刻も早く『武器』が見たかったので、持ってきてもらいました。

 どや顔で持ってきた武器……それは、とても衝撃的なものでした。




 えっと、ってあるじゃないですか。木の棒じゃないですよ。枝です。
 棒はまっすぐだけど、枝ってちょっと曲線になっているの分かりますかね?

 です。


 ……え? 分からないですか?

 だから、そのまんまの木の枝です。先端が二股に別れただけの木の枝です。
 枝を振ると、細い先端がしなるのですよ。しなった二股がマムシの頭を捕まえる、と。
 へー。なるほどー。よく考えてきたなー……。





 などと言えるわけがない。




 そんなものをどや顔で見せ付けられた我々の苦悩を分かっていただけるでしょうか?
 笑いをこらえるのがどれほど大変だったか。


 しかも、ロックマンの用意していた武器はこれだけではありませんでした。


 えっと、ジュースのあるじゃないですか。

 です。

 1,5リットルの、○カリスエットの空ペットです。




 使い方がよく分からない人もいるでしょうから解説します。

1、武器A(木の枝)で、マムシの頭を押さえつけます。
2、武器B(○カリ)を、押さえつけた頭にかざします。
3、すると、マムシが○カリの中へしゅるっと入って捕獲完了。

以上で、ロックマンのマムシ獲り講座を終わります。




 ……ああ、もう。ツッコミどころが多すぎて、どこから手をつければいいのか……。



「実はさ、この武器2つ目なんだ。最初の武器はもっと出来がよかったんだけど……」

 まさかの2代目でした。

「最初の武器(笑)はどうした?」

 ここまできたら、是非とも見てみたい。みんな気持ちは同じです。

「玄関に置いといたら、母ちゃんに捨てられたんだ……」

 そりゃ、玄関に謎の木の枝があったら捨てるでしょう。私も捨てます。
 見られないのは残念ですが、これはしかたがない。

 「だから今度の武器あいぼうは、捨てられないように常に車で持ち歩く事にしたんだ」

 『武器』と書いて『あいぼう』と読む。ロックマンの真剣さが伝わってきます。仕事もそれくらい真剣にやってほしいものです。

 ロックマンには、仕事よりもマムシ(5000円)のほうが大事なのでしょう…………クビにしてやろうかな……。


 ふと、素朴な疑問が浮かんだので聞いてみました。

 「そういえば、ロックマンってマムシ見分けられるの?」

 私も蛇に詳しいわけではないので、マムシと他の蛇の区別がつけられるか分かりません。

 このあたりには、マムシの他にも、シマヘビ、ヤマカガシ、アオダイショウといった、何種類もの蛇がいるのです。ロックマンはこれだけ真剣になっているのだから、見分け方も当然知っているでしょう。

「いや。判らないから、見つけた蛇を全部捕まえる」

 買いかぶりすぎだったようです。

 足りない知識。お粗末な武器。しかし、やる気だけはみなぎっています。
 そんな、スネークハンター・ロックマンの活躍は、次回をご期待ください。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

処理中です...