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第三章:川石男・『車』編
1、運転免許を持たせてはいけない男・ロックマン
しおりを挟む作品の舞台となっている、私やロックマンが住んでいる土地は田舎です。
どれくらい田舎かというと。最寄のコンビニまで徒歩1時間。駅まで行くには徒歩2時間はかかります。
しかも、電車は1時間に1本。バスは1日に5本程度。
さらに、日本有数の豪雪地帯で、冬は雪が3メートルも積もるのです。
冬は、徒歩はともかく自転車で出かけるのは困難です。
仕事も自動車通勤が当たり前。車はひとり一台が基本の車社会です。
ほとんどの住民は18歳で免許を取りに自動車学校へと通い始めます。
理由は簡単。車がなければ生活が成り立たないからです。
そんなこの土地で、ロックマンが自動車学校に通い始めたのは22歳の時でした。
自動車学校では一冊の手帳を渡されて、座学を受けたり、運転の実技を受けることでハンコを押してもらいます。ロックマンの手帳には、何枚もの紙がテープで貼られていたそうです(目撃者談)。
それは……実技講習に落ちまくって、ハンコを押すスペースが無くなったため、仕方なく紙を貼って対応したものでした。
自動車学校は、まずは学校の敷地内で運転を学び、ある程度の知識と技術が身に付くと、仮免試験を受けます。
ここで仮免というものを取得して、ようやく路上に出て運転する事ができるんですけど……ロックマン、仮免を紛失しました。
「仮免なくして、自動車学校に通うのを一時期やめてたんだ。めんどうくさいじゃん」
これは、ロックマン自身が語った当時の心境です。
仮免をなくしてから、ずっと自動車学校に行ってなかったらしいのです。
が、通い始めから一定期間以上経過すると、今まで通った全部がパーになり、最初から入学しなおさなければならないと聞いたロックマンは、再び自動車学校に行きはじめたそうです。
そして……校長室に呼ばれて説教をされたそうです。
小中高の校長なら説教された人もいるでしょうが、自動車学校の校長に説教される人間は滅多にいません。この校長も生徒に説教したのは初体験だったらしいです。
そんなこんなで、ロックマンもなんとか免許を取ったんですが……それが間違いでした。
世の中、運転免許を持たせちゃいけない人間が存在すると思いますが、間違いなくロックマンもその中のひとりです。
運転免許を持たせてはならない男・ロックマン。その運転技法は、次回から語り始めます。
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