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154.かりそめの親子
しおりを挟む「うう・・・・・。」李王妃はまだ息があるようだ。
「おい!!しっかりしろ!!」牧坂が彼女を抱き上げる。
「こ、このナイフを抜けば良いのか!?」牧坂が館田に聞いてくる。
「やめろ!!抜けば、出血が酷くなるぞ!!」館田が言う。
「ああ、そうか!!」
「李皇鬼!!これはどういう事だ!!??彼女は、お前の娘だろう!!??」
「フッ、鬼忍を裏切るようなモノは、娘でも何でも無いわ。」
全身ラバータイツのような格好の李皇鬼が言う。
おそらくは隠密行動用の服装なんだろう。
「・・・・!!!!」館田は絶句した。
「親子関係ですら、鬼忍の掟のほうが優先されるのか?」
「そうだな・・・。我にとっては家族などはどうでもいい。」
「お前が育てた娘だろう?」
「・・・育ててはおらぬ。まあ、鬼忍としての訓練はさせたがな。」
「そうだとしても、お前の組織の人間だろう!!??」
「そうだな・・・。組織のコマだな。」
「!!!!!!」
「その日本人の訳のわからぬ幻想に付き合う暇(いとま)は無い。」
李皇鬼はその一言で、館田たちを遮断した。
「お、お父様・・・・・。」李王妃は体を震わせながら、
李皇鬼の方に視線をやる。
「・・・・・。」李皇鬼は黙っている。
「ア、アタシの居る場所が・・・、ど、どうして分かったの?」
「・・・・・ウヌの膣の中に仕込んでいた。」
「!!!!!」館田たちは驚いた。
「な、なるほどねえ?あ、あの時に・・・仕掛けた・・・のね?」
「・・・あの時」館田はその言葉のやり取りだけで
二人の関係が分かった。
「そ、それでも・・・ア、アタシは・・・はあ、はあ、はあ。」
「李王妃、喋るのを止めろ!!出血が酷くなるぞ!!」
「ゴ、ゴフ!!??」李王妃はとうとう口から血を吹き出した。
「言わんこっちゃない!!」
牧坂は、李王妃の血塗られた顔を手で拭き取る。
「ア、アタシは・・・お父様・・・を・・・」
「お慕い申し上げま・・・・・す。」それでも彼女は話し続ける。
「や、止めろ!!李王妃!!」牧坂が必死に訴える。
「フフフ・・・、イケメンの・・・」
「胸元・・・で・・・死ねる・・・なら、本望よ・・・。」
「な、何を言っている!!??喋るな!!」
「ケイイチロウ・・・・あ、ありが・・・・と・・・う・・・。」
「・・・・・・・・・・・。」
李王妃は焦点が定まらなくなっているようだ。
「・・・・・!!」牧坂は、彼女が死んだのを悟った。
牧坂は、彼女の開いていた瞳を、そっと閉じて、
ゆっくりと床に寝かしつけた。
「お前・・・・・、どういうつもりだ?テメエの娘だろうが?」
牧坂は感情を一切出さずに、汚い言葉を吐く。
「ま、牧坂・・・・。(どうやら、サイコパスモードになったのか?)」
館田は、牧坂の変化に気づいた。
「牧坂さん、なんか様子が変ですよ?」足元の才羽さんが聞いていくる。
「ああ、また・・・だ。」
「え?」
「こうなったら、もしかして期待できるかも?」
「どういう事ですか?」才羽さんが館田に聞き直す。
「あ・・・、うん、なんか、牧坂が強くなるんだよねえ・・・・。」
「なんか?・・・強くなる?・・・・んですか?」
才羽はさっぱり分からない様子だ。
「まあ、見ていようよ。どの道、僕らには他に策が無いんだから。」
「はあ・・・・・、そうですねえ。」
「ウヌらの敵が一人死んだ訳だぞ?」
「ウヌらにしてみれば喜ばしい事では無いのか?」
李皇鬼は、娘の死に何の感情も抱かない。
「そういう問題ヂャアねえんだよ?」
牧坂は、李皇鬼をサバイバルナイフで指差す。
「フフフッ、我にはよく分からない感情だが、面白い。」
「そろそろ我々の決着をつけようぞ!」
李皇鬼は、そう言うと太腿にストックしていたナイフを取り出した。
「ああ、やってやるよ!!」牧坂もサバイバルナイフを構えた。
「・・・・ウヌは右手を負傷しているようだな?」
李皇鬼は、これまでの仕草だけで、それを見透かした。
「!!・・・・・・あ、ああ、お前の息子にやられたさ!!」
牧坂は少し感情を取り戻したようだ。
「ならば、我と互角な条件だな?館田とやら?」李皇鬼は、館田を見て笑った。
「グッ!!」
館田がグローバルセンタービルで
李皇鬼に右肩を発砲した事を言っている・・・。
「フハハハ・・・。」
「ここもおいそれと重火器が使えない環境だ。」
「このナイフだけで勝負しようではないか!!」
「望むところだ!!李皇鬼!!」
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