44 / 317
俺と彼女の進む路(みち)
8
しおりを挟む
「ちょっと湊人! 耳痛いって!!」
「俺は頭が痛くなるよ! そんな事言われたら!」
耳を押さえる夏実の目線に合わせ、俺も俺で主張する。
「夏実はちゃんと勉強出来る子じゃないか! 小学生の頃から勉強意欲があって、教員資格のない俺の説明にもしっかり理解を示して、吸収も早くて! 高校だって本当はもっと上のレベルにだって行けたのに安全圏狙って今のところ受験したくらいなのに」
俺の言葉に夏実は顔を背けていた。
「だって……湊人が通ってた高校に行きたかったんだもん。だから高校受験も頑張ったんだし。進学校で小テストが毎日あっても、湊人にガッカリされないように……頑張って……」
「小テストは俺があまり手伝わなくても出来てただろう? 記憶力もいいから逆にやりやすいって言ってたし。それに4月から月一でやってる校内模試だって……」
そこまで話して俺はハッとした。
模試で記入する志望校を地域バラバラに分散された場所の大学をいつも選んでいた事に。
学部や学科は統一されていたが、いつもいろんな地域の大学名を書いていてそれが一度も被ってなかった事に。
「今からちょっと話してくる。夜遅いから夏実はここで待っとけ」
苛立ちを隠せないまま、俺は夏実のベッドから降りて着ていたものを整える。
「待って私も行く!」
背中からすぐに夏実の声が追いかけたが
「晴美さんと和明さんに話したい事があるんだよ。だから待っとけ」
そちらを振り向く事なく鞄を手に取り部屋のドアを開けた。
「なんで私抜きで話する事があるの?私の進路でしょ?」
部屋を出ようとする俺の腕を夏実が掴んで引っ張ろうとしてくる。
「っ!!」
そこで俺の怒りが段々と湧き上がって……
つい、言いたくなってしまった言葉を飲み込んで
「勝手にしろ!!」
と、夏実の手を振り切って1人で階段を降りた。
(夏実は部屋着姿だが隣の家へ行くだけだしギリギリ許せるか……本当は何かちゃんとしたの着てほしいけど)
多分夏実はそのままの姿で俺を追いかけるんだろう。
でも俺は彼女を待つ事なく、玄関で靴を履くなり隣の実家へと歩を進めた。
「俺は頭が痛くなるよ! そんな事言われたら!」
耳を押さえる夏実の目線に合わせ、俺も俺で主張する。
「夏実はちゃんと勉強出来る子じゃないか! 小学生の頃から勉強意欲があって、教員資格のない俺の説明にもしっかり理解を示して、吸収も早くて! 高校だって本当はもっと上のレベルにだって行けたのに安全圏狙って今のところ受験したくらいなのに」
俺の言葉に夏実は顔を背けていた。
「だって……湊人が通ってた高校に行きたかったんだもん。だから高校受験も頑張ったんだし。進学校で小テストが毎日あっても、湊人にガッカリされないように……頑張って……」
「小テストは俺があまり手伝わなくても出来てただろう? 記憶力もいいから逆にやりやすいって言ってたし。それに4月から月一でやってる校内模試だって……」
そこまで話して俺はハッとした。
模試で記入する志望校を地域バラバラに分散された場所の大学をいつも選んでいた事に。
学部や学科は統一されていたが、いつもいろんな地域の大学名を書いていてそれが一度も被ってなかった事に。
「今からちょっと話してくる。夜遅いから夏実はここで待っとけ」
苛立ちを隠せないまま、俺は夏実のベッドから降りて着ていたものを整える。
「待って私も行く!」
背中からすぐに夏実の声が追いかけたが
「晴美さんと和明さんに話したい事があるんだよ。だから待っとけ」
そちらを振り向く事なく鞄を手に取り部屋のドアを開けた。
「なんで私抜きで話する事があるの?私の進路でしょ?」
部屋を出ようとする俺の腕を夏実が掴んで引っ張ろうとしてくる。
「っ!!」
そこで俺の怒りが段々と湧き上がって……
つい、言いたくなってしまった言葉を飲み込んで
「勝手にしろ!!」
と、夏実の手を振り切って1人で階段を降りた。
(夏実は部屋着姿だが隣の家へ行くだけだしギリギリ許せるか……本当は何かちゃんとしたの着てほしいけど)
多分夏実はそのままの姿で俺を追いかけるんだろう。
でも俺は彼女を待つ事なく、玄関で靴を履くなり隣の実家へと歩を進めた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
47
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる