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彼女と俺の秘めた話
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(友達として凄く仲が良い? ん???
なんか引っかかる言い回しをするなぁ茉莉は)
「え? 夏実と茉莉も仲良いんだろう? 凄く」
夏実の会話から「茉莉も滉も同じく親友だ」みたいな話をずっと聞かされていたから、茉莉のその発言は意外に感じる。
「勿論私とも仲が良いんだけど、先に仲良くなったのはあの2人だから。中学の頃からのバスケ繋がり」
「えっ?!」
だからその事実に余計にビックリした。
(そうだったのか……っていうか、住んでる地域も性別も違うのになんで中学から仲良くなってるんだ?)
「おっさん、地区大会とか知らないの? なつこと離れてるって言っても隣の市だよ?」
そんな俺に茉莉はジト目で見透かしたように答えを教えてくれる。
「ああ……そうか、地区大会か。なるほど」
ちょっとムカつくが、ちゃんと教えてくれるのだから茉莉はまあまあ良いヤツの部類に入るのだろう。
「まぁ、私も又聞きだから正確じゃないかもしれないけど……滉と同じ中学の男子がなつこにちょっかい出そうとして、滉がそれを助けたのが仲良くなるきっかけって言ってたかなぁ」
「えっ!? ちょっかい??」
だから、このタイミングで夏実の口から聞かされた事の無い事実をまあまあ良いヤツの茉莉から聞く事が出来て、「良かった」というべきかなんというか……。
「だってなつこ、中学の時からあんなだったんでしょ?」
更なる驚き発言の中、茉莉が胸の前で「巨乳」を表すハンドサインをする。
「まぁ……中学の頃は今ほどじゃなかったけど」
茉莉にはしれっとそう返してみたものの、内心はめちゃくちゃ動揺していた。
(知らなかった……ぜんっぜん! 知らなかった!! 夏実はいつも女友達しかいないと思っていたし!
男子……しかも住む地域の違う他校生から言い寄られてちょっかい出されていただと!? しかもそれをあのチビガキが助けたとか!!
漫画の世界なら恋愛に発展するパターンのエピソードじゃねーか! っていうか、10年前の俺の肩車エピソードよりもチビガキの方がまさに王子様っぽいだろ!!)
表情に出してないつもりでいたのに急に無言になったのがいけなかったのか、茉莉が俺の背中を叩いて
「過去の話に今更動揺しないでよおっさん」
と嗜められる。
「いや、動揺してないし」
コホン。と軽い咳払いをして気を落ち着かせる俺に、茉莉は信じられない表情を向けている。
「絶対動揺してんじゃん……っていうか、おっさん幼馴染なのになつこから聞かされてない時点でアレな気もするけど」
そして更に俺を貶める発言を繰り出すのだから茉莉は本当に可愛くない。
とはいえそんなエピソードを聞いてしまったら余計に要らぬ妄想をしてしまう。
中学生で、同じスポーツをしてて……そんな少女漫画みたいな展開を経ているのに、純粋な友情を築けるのだろうか?滉は夏実を好きにはならなかったんだろうか?……そう、単純な疑問を抱いてしまう。
「とまぁそんなわけで最初になつこと滉が友達同士でいて、たまたま高校も一緒になって……んで、私がその輪の中に入ったっていうパターンなのよ。
私にとってなつこは、滉を引き合わせてくれたキューピッド? みたいなヤツかな。おっさん世代の言い方でいうと」
最後の方、俺の年代を小馬鹿にしたような表現が混じったのが気に入らないが……取り敢えずこの3人の関係性を知れただけでも、この場で茉莉と会話した甲斐があった。
「知らない話ばかりだから助かったよ」
一応の御礼を言うと、茉莉はまた俺を馬鹿にしたように笑って
「ホント、おっさんが知らないっていう事自体がアレだから」
と至近距離の俺を指差してくるので、流石に苛立ち
「あー! どうせ俺は何も聞かされてなかったよ!! おっさんだからガキの恋愛事情やその云々は蚊帳の外だよ!」
と、女子高生に向かって大人気ない言い返しをしてしまった。
夏実に俺の「おっさん」ワードを聞かれたくなかったから、声のトーンは落としたけど。
「あははははっ! マジウケるねおっさん」
茉莉は尚も俺を馬鹿にしてしばらく笑い続けたが、すぐに
「でもさー、それだけなつこはおっさんの事が大好きで、心配かけたくなかったんじゃないの?他校の生徒からちょっかい出されるとかめちゃくちゃ怖いし、好きな人には余計に話せないもん」
と、真面目なトーンで夏実を思い遣る言葉を呟いた。
「あっ……」
茉莉の言葉に思い当たる節が少しあり、俺は目線をまた夏実に向ける。
なんか引っかかる言い回しをするなぁ茉莉は)
「え? 夏実と茉莉も仲良いんだろう? 凄く」
夏実の会話から「茉莉も滉も同じく親友だ」みたいな話をずっと聞かされていたから、茉莉のその発言は意外に感じる。
「勿論私とも仲が良いんだけど、先に仲良くなったのはあの2人だから。中学の頃からのバスケ繋がり」
「えっ?!」
だからその事実に余計にビックリした。
(そうだったのか……っていうか、住んでる地域も性別も違うのになんで中学から仲良くなってるんだ?)
「おっさん、地区大会とか知らないの? なつこと離れてるって言っても隣の市だよ?」
そんな俺に茉莉はジト目で見透かしたように答えを教えてくれる。
「ああ……そうか、地区大会か。なるほど」
ちょっとムカつくが、ちゃんと教えてくれるのだから茉莉はまあまあ良いヤツの部類に入るのだろう。
「まぁ、私も又聞きだから正確じゃないかもしれないけど……滉と同じ中学の男子がなつこにちょっかい出そうとして、滉がそれを助けたのが仲良くなるきっかけって言ってたかなぁ」
「えっ!? ちょっかい??」
だから、このタイミングで夏実の口から聞かされた事の無い事実をまあまあ良いヤツの茉莉から聞く事が出来て、「良かった」というべきかなんというか……。
「だってなつこ、中学の時からあんなだったんでしょ?」
更なる驚き発言の中、茉莉が胸の前で「巨乳」を表すハンドサインをする。
「まぁ……中学の頃は今ほどじゃなかったけど」
茉莉にはしれっとそう返してみたものの、内心はめちゃくちゃ動揺していた。
(知らなかった……ぜんっぜん! 知らなかった!! 夏実はいつも女友達しかいないと思っていたし!
男子……しかも住む地域の違う他校生から言い寄られてちょっかい出されていただと!? しかもそれをあのチビガキが助けたとか!!
漫画の世界なら恋愛に発展するパターンのエピソードじゃねーか! っていうか、10年前の俺の肩車エピソードよりもチビガキの方がまさに王子様っぽいだろ!!)
表情に出してないつもりでいたのに急に無言になったのがいけなかったのか、茉莉が俺の背中を叩いて
「過去の話に今更動揺しないでよおっさん」
と嗜められる。
「いや、動揺してないし」
コホン。と軽い咳払いをして気を落ち着かせる俺に、茉莉は信じられない表情を向けている。
「絶対動揺してんじゃん……っていうか、おっさん幼馴染なのになつこから聞かされてない時点でアレな気もするけど」
そして更に俺を貶める発言を繰り出すのだから茉莉は本当に可愛くない。
とはいえそんなエピソードを聞いてしまったら余計に要らぬ妄想をしてしまう。
中学生で、同じスポーツをしてて……そんな少女漫画みたいな展開を経ているのに、純粋な友情を築けるのだろうか?滉は夏実を好きにはならなかったんだろうか?……そう、単純な疑問を抱いてしまう。
「とまぁそんなわけで最初になつこと滉が友達同士でいて、たまたま高校も一緒になって……んで、私がその輪の中に入ったっていうパターンなのよ。
私にとってなつこは、滉を引き合わせてくれたキューピッド? みたいなヤツかな。おっさん世代の言い方でいうと」
最後の方、俺の年代を小馬鹿にしたような表現が混じったのが気に入らないが……取り敢えずこの3人の関係性を知れただけでも、この場で茉莉と会話した甲斐があった。
「知らない話ばかりだから助かったよ」
一応の御礼を言うと、茉莉はまた俺を馬鹿にしたように笑って
「ホント、おっさんが知らないっていう事自体がアレだから」
と至近距離の俺を指差してくるので、流石に苛立ち
「あー! どうせ俺は何も聞かされてなかったよ!! おっさんだからガキの恋愛事情やその云々は蚊帳の外だよ!」
と、女子高生に向かって大人気ない言い返しをしてしまった。
夏実に俺の「おっさん」ワードを聞かれたくなかったから、声のトーンは落としたけど。
「あははははっ! マジウケるねおっさん」
茉莉は尚も俺を馬鹿にしてしばらく笑い続けたが、すぐに
「でもさー、それだけなつこはおっさんの事が大好きで、心配かけたくなかったんじゃないの?他校の生徒からちょっかい出されるとかめちゃくちゃ怖いし、好きな人には余計に話せないもん」
と、真面目なトーンで夏実を思い遣る言葉を呟いた。
「あっ……」
茉莉の言葉に思い当たる節が少しあり、俺は目線をまた夏実に向ける。
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