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番外編
叶えるならきっと今(亮輔side)1
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「姉ちゃんに『クリスマスプレゼント何がいい?』って聞いたらさぁ、バブルバスが良いって返事きたんだよ。彼氏と楽しみたいからって。
上原のオススメとかぁ、使い勝手良さそうなヤツとかさぁ~なんか知らない?」
12月中頃。
いつものように大学カフェテリアで藤井智樹と昼食をとっていたら突然そのような質問が飛んできた。
「!!!!!!!!」
(バッ……バブルバス?!)
さも当たり前のような軽いノリで智樹は訊いているのだろうが、答えられるわけがない。
(しかも彼氏と楽しみたいだと???????泡風呂を????)
黙り込んでしまった亮輔を智樹は眉をへの字に曲げながら
「えっ、バブルバスは泡風呂って意味は通じてるよな?」
「まさか自分の言い方が間違っていたのでは?」と不安になっている様子を醸す。
「いやいやいや……それは通じてんだけど」
亮輔だってそのくらいは分かる……けれど
「通じてんなら教えてよ。村川さんお気に入りの商品とか知らない?」
「……」
「商品名知らないなら、何色のボトルとか香りの特徴でも教えてくれると助かるんだけど」
「…………」
亮輔はだんまりを決め込むしかなかった。
「えっ……まさか、泡風呂しない派?! バスタブがデカいとかこの前言ってたのに」
「……」
「入浴剤もまさか…………入れ、ない? 透明な湯の中2人で浸かるの? それはそれで変態チックっつーか、上級者っつーか……まぁ、上原らしいっちゃらしいんだけど」
「…………」
(答えらんねぇ……ってか、答えられるわけがねぇ)
「えっ、なんで黙ってんの?」
亮輔の沈黙が意味不明で困っているのだろう。智樹は眉を曲げたままこちらへ顔を近付けてきて
「まさかシャワー派?! こんなに寒いのに? 自慢のバスタブ使わねーの???」
と、更に詰め寄った。
「………………そ、れは」
上原亮輔は野獣……いや、その誤解がとけたとしても珈琲豆の配達に来る村川さんとラブラブで秋から同棲を始めている事は周知の事実なのだから当然当たり前にしていると智樹は思っているのだ。
(言えない!! まだ一緒に風呂入った事がないだなんて!!!!)
……初手の段階で正直に答えておけば良かったと亮輔は後悔した。沈黙の時間を設けてしまったので余計に言い出せなくなっている。
「それは…………えっと………………ひ、秘密」
赤面しながらそう答えるのが精一杯。
いたたまれなくなった亮輔は食べ物を急いで掻き込みその場から逃げるしか手立てがなかった。
「姉ちゃんに『クリスマスプレゼント何がいい?』って聞いたらさぁ、バブルバスが良いって返事きたんだよ。彼氏と楽しみたいからって。
上原のオススメとかぁ、使い勝手良さそうなヤツとかさぁ~なんか知らない?」
12月中頃。
いつものように大学カフェテリアで藤井智樹と昼食をとっていたら突然そのような質問が飛んできた。
「!!!!!!!!」
(バッ……バブルバス?!)
さも当たり前のような軽いノリで智樹は訊いているのだろうが、答えられるわけがない。
(しかも彼氏と楽しみたいだと???????泡風呂を????)
黙り込んでしまった亮輔を智樹は眉をへの字に曲げながら
「えっ、バブルバスは泡風呂って意味は通じてるよな?」
「まさか自分の言い方が間違っていたのでは?」と不安になっている様子を醸す。
「いやいやいや……それは通じてんだけど」
亮輔だってそのくらいは分かる……けれど
「通じてんなら教えてよ。村川さんお気に入りの商品とか知らない?」
「……」
「商品名知らないなら、何色のボトルとか香りの特徴でも教えてくれると助かるんだけど」
「…………」
亮輔はだんまりを決め込むしかなかった。
「えっ……まさか、泡風呂しない派?! バスタブがデカいとかこの前言ってたのに」
「……」
「入浴剤もまさか…………入れ、ない? 透明な湯の中2人で浸かるの? それはそれで変態チックっつーか、上級者っつーか……まぁ、上原らしいっちゃらしいんだけど」
「…………」
(答えらんねぇ……ってか、答えられるわけがねぇ)
「えっ、なんで黙ってんの?」
亮輔の沈黙が意味不明で困っているのだろう。智樹は眉を曲げたままこちらへ顔を近付けてきて
「まさかシャワー派?! こんなに寒いのに? 自慢のバスタブ使わねーの???」
と、更に詰め寄った。
「………………そ、れは」
上原亮輔は野獣……いや、その誤解がとけたとしても珈琲豆の配達に来る村川さんとラブラブで秋から同棲を始めている事は周知の事実なのだから当然当たり前にしていると智樹は思っているのだ。
(言えない!! まだ一緒に風呂入った事がないだなんて!!!!)
……初手の段階で正直に答えておけば良かったと亮輔は後悔した。沈黙の時間を設けてしまったので余計に言い出せなくなっている。
「それは…………えっと………………ひ、秘密」
赤面しながらそう答えるのが精一杯。
いたたまれなくなった亮輔は食べ物を急いで掻き込みその場から逃げるしか手立てがなかった。
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