136 / 171
番外編
叶えるならきっと今(亮輔side)3
しおりを挟む
「あっ、あのねりょーくん」
共に「いただきます」と手を合わせた直後、朝香は緊張気味な声を出し上目遣いで亮輔を見つめ始めた。
「ん? なぁに? あーちゃん」
ダイニングテーブルだと勃起を誤魔化す事が出来る。亮輔はこの時安堵の息を漏らしながら茶碗を手にし白飯を箸でつまんで口元まで持っていく動作を行っていたのだが……
「さっ、3ヶ月近く……りょーくんに内緒っていうか……隠していたものがあって」
「えっ」
突然彼女から「3ヶ月も隠し事をされていた」と告げられたものだから両手の動作がピタリと停止する。
(えっ……何? 食事中に深刻な内容告白されるの? 今?!)
何が何やら分からない亮輔の頭から汗が吹き出してきた。
「あのね……実は」
(実はって何? まさか黒い髪になったのが気に入らないとか? 傷痕を丸出しにしてるのが怖くて直視出来ないとか??)
朝香のその「申し訳ない」と言わんばかりな表情は亮輔を余計に混乱させる。
(確かに……金髪ウェーブの頭ん時は「向日葵さん♡」ってあーちゃんに呼ばれてて、その時の笑顔がたまらなく可愛かったし「似合ってる」って褒めてくれてたし。
でも今は何の面白みもない黒髪マッシュへと相談無しに髪型変えたから……だからあーちゃんはガッカしているんだろうか。
あー! どうしよう!! 俺の見た目にガッカリして他の金髪男へ目移りしてるなんて事になってたら!!!!! 嫌だ! あーちゃんに嫌われたくない! 他の男を好きになってほしくない! どうしようどうしよう!!)
混乱のあまり、自分のイメチェン姿に対して勝手に後悔し血の気を引く思いに駆られていると……。
「食事の最中にこんなもの出すのはおかしいと思うんだけど、でも今喋っておかないとりょーくんすぐにお湯はりしに行っちゃうから。だから今のうちにって」
朝香は早口にまくしたて、亮輔の目の前にシャンパンボトルのようなものを何本もテーブルの上に並べていく。
「えっ、これが食事中に出すのおかしいもの??」
酒類なら食事中に添えられても違和感ない筈だ。
(あ……俺達20歳の誕生日迎えたけどまだ酒飲んでないからその話? あーちゃんは飲みたかったのに今まで我慢してたとか?)
朝香が20歳を迎えたのは9月末。
そして現在は12月半ば。
アルコール摂取出来る権利を得ているというのに、もう2ヶ月半もノンアルコールだけで過ごしてきているので朝香も「そろそろお酒飲みたい!」と考えていたのかもしれない。
そんな結論に至った亮輔は未だ手の動作を止めたままで「緊張しながら話してくれた内容はお酒飲みたいからであった」と安堵していると
「こっ……これね、シャンパンに見えるけど中身違うの。
俊哉さんが私達に用意してくれてたバブルバス用の入浴剤でっ! 俊哉さんは多分、同棲スタートする私達にふわふわの泡でもっと仲良くなってほしいって願いをこめてこういったサプライズプレゼントをしてくれたんだと思うんだけど」
……と、全く予想もしていない内容を朝香の可愛らしい口から紡がれたので、亮輔の手の力は抜け、茶碗と箸をテーブルの上にガシャガシャと落としてしまった。
「は……っ、え???」
何が何だか分からずまだ混乱している亮輔を見た朝香は「ごめんね」を繰り返し
「本当にごめんねりょーくん! 俊哉さんのご好意なのに私、大量のゴムの時以上にビックリして恥ずかしくなっちゃって。これって多分すごくお高くて使ったら凄くきめ細かい泡になるんだろうけど、一本どころか5本も洗面台の収納に入っていたものだから思わずりょーくんに見られないようにって私の部屋のクローゼットに隠してて」
「……」
「私はお湯に浸かるのが好みだけど、りょーくんはシャワー派でしょ? 俊哉さんが気を利かせてくれたプレゼントとはいえシャワー派のりょーくんにこれを見せて一緒に使おうなんて絶対に言えないし、かといって私1人が使うには申し訳ない気持ちもあるし……だけどだけど、黙ってたらいつのまにか3ヶ月くらい過ぎちゃってて。いつか言おうとは思ってたんだけど日にちがこんなにも過ぎちゃったからもう今のうちに話しておかないとこの先タンスの肥やし状態になっちゃうと思ってそれで」
「…………」
朝香はこの2ヶ月半、亮輔に明かすタイミングをずっと狙っていたのだろうがそれが勇気がなかなか出なかったのであろう。
「ネットで調べてみたら本当にモノが良いみたいだから、寒くなってきたしそろそろ自分で使ってみたくて。それでりょーくんに許可を得ようかなって」
まだまだ早口で喋る朝香の焦り姿に亮輔は正気を取り戻し、ガタッと椅子から立ち上がって
「つ、使おう!! 今日から!! 俺と一緒に泡風呂しよう!!!!」
大きな声を張り上げて大胆に風呂へ誘う。
共に「いただきます」と手を合わせた直後、朝香は緊張気味な声を出し上目遣いで亮輔を見つめ始めた。
「ん? なぁに? あーちゃん」
ダイニングテーブルだと勃起を誤魔化す事が出来る。亮輔はこの時安堵の息を漏らしながら茶碗を手にし白飯を箸でつまんで口元まで持っていく動作を行っていたのだが……
「さっ、3ヶ月近く……りょーくんに内緒っていうか……隠していたものがあって」
「えっ」
突然彼女から「3ヶ月も隠し事をされていた」と告げられたものだから両手の動作がピタリと停止する。
(えっ……何? 食事中に深刻な内容告白されるの? 今?!)
何が何やら分からない亮輔の頭から汗が吹き出してきた。
「あのね……実は」
(実はって何? まさか黒い髪になったのが気に入らないとか? 傷痕を丸出しにしてるのが怖くて直視出来ないとか??)
朝香のその「申し訳ない」と言わんばかりな表情は亮輔を余計に混乱させる。
(確かに……金髪ウェーブの頭ん時は「向日葵さん♡」ってあーちゃんに呼ばれてて、その時の笑顔がたまらなく可愛かったし「似合ってる」って褒めてくれてたし。
でも今は何の面白みもない黒髪マッシュへと相談無しに髪型変えたから……だからあーちゃんはガッカしているんだろうか。
あー! どうしよう!! 俺の見た目にガッカリして他の金髪男へ目移りしてるなんて事になってたら!!!!! 嫌だ! あーちゃんに嫌われたくない! 他の男を好きになってほしくない! どうしようどうしよう!!)
混乱のあまり、自分のイメチェン姿に対して勝手に後悔し血の気を引く思いに駆られていると……。
「食事の最中にこんなもの出すのはおかしいと思うんだけど、でも今喋っておかないとりょーくんすぐにお湯はりしに行っちゃうから。だから今のうちにって」
朝香は早口にまくしたて、亮輔の目の前にシャンパンボトルのようなものを何本もテーブルの上に並べていく。
「えっ、これが食事中に出すのおかしいもの??」
酒類なら食事中に添えられても違和感ない筈だ。
(あ……俺達20歳の誕生日迎えたけどまだ酒飲んでないからその話? あーちゃんは飲みたかったのに今まで我慢してたとか?)
朝香が20歳を迎えたのは9月末。
そして現在は12月半ば。
アルコール摂取出来る権利を得ているというのに、もう2ヶ月半もノンアルコールだけで過ごしてきているので朝香も「そろそろお酒飲みたい!」と考えていたのかもしれない。
そんな結論に至った亮輔は未だ手の動作を止めたままで「緊張しながら話してくれた内容はお酒飲みたいからであった」と安堵していると
「こっ……これね、シャンパンに見えるけど中身違うの。
俊哉さんが私達に用意してくれてたバブルバス用の入浴剤でっ! 俊哉さんは多分、同棲スタートする私達にふわふわの泡でもっと仲良くなってほしいって願いをこめてこういったサプライズプレゼントをしてくれたんだと思うんだけど」
……と、全く予想もしていない内容を朝香の可愛らしい口から紡がれたので、亮輔の手の力は抜け、茶碗と箸をテーブルの上にガシャガシャと落としてしまった。
「は……っ、え???」
何が何だか分からずまだ混乱している亮輔を見た朝香は「ごめんね」を繰り返し
「本当にごめんねりょーくん! 俊哉さんのご好意なのに私、大量のゴムの時以上にビックリして恥ずかしくなっちゃって。これって多分すごくお高くて使ったら凄くきめ細かい泡になるんだろうけど、一本どころか5本も洗面台の収納に入っていたものだから思わずりょーくんに見られないようにって私の部屋のクローゼットに隠してて」
「……」
「私はお湯に浸かるのが好みだけど、りょーくんはシャワー派でしょ? 俊哉さんが気を利かせてくれたプレゼントとはいえシャワー派のりょーくんにこれを見せて一緒に使おうなんて絶対に言えないし、かといって私1人が使うには申し訳ない気持ちもあるし……だけどだけど、黙ってたらいつのまにか3ヶ月くらい過ぎちゃってて。いつか言おうとは思ってたんだけど日にちがこんなにも過ぎちゃったからもう今のうちに話しておかないとこの先タンスの肥やし状態になっちゃうと思ってそれで」
「…………」
朝香はこの2ヶ月半、亮輔に明かすタイミングをずっと狙っていたのだろうがそれが勇気がなかなか出なかったのであろう。
「ネットで調べてみたら本当にモノが良いみたいだから、寒くなってきたしそろそろ自分で使ってみたくて。それでりょーくんに許可を得ようかなって」
まだまだ早口で喋る朝香の焦り姿に亮輔は正気を取り戻し、ガタッと椅子から立ち上がって
「つ、使おう!! 今日から!! 俺と一緒に泡風呂しよう!!!!」
大きな声を張り上げて大胆に風呂へ誘う。
0
あなたにおすすめの小説
愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました
蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。
そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。
どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。
離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない!
夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー
※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。
※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。
婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜
紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。
連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。
コワモテ軍人な旦那様は彼女にゾッコンなのです~新婚若奥様はいきなり大ピンチ~
二階堂まや♡電書「騎士団長との~」発売中
恋愛
政治家の令嬢イリーナは社交界の《白薔薇》と称される程の美貌を持ち、不自由無く華やかな生活を送っていた。
彼女は王立陸軍大尉ディートハルトに一目惚れするものの、国内で政治家と軍人は長年対立していた。加えて軍人は質実剛健を良しとしており、彼女の趣味嗜好とはまるで正反対であった。
そのためイリーナは華やかな生活を手放すことを決め、ディートハルトと無事に夫婦として結ばれる。
幸せな結婚生活を謳歌していたものの、ある日彼女は兄と弟から夜会に参加して欲しいと頼まれる。
そして夜会終了後、ディートハルトに華美な装いをしているところを見られてしまって……?
魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて
アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。
二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる