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本編
2度目の恋(亮輔side)2
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「うん。絵梨がカフェテリアで起こした騒動は言い掛かりで、俺も迷惑をかけてしまった」
「ああ……『もりやま青果店』隣に出来た『雨上がり珈琲店』さんの人気商品をカフテリアが仕入れてて、それを無名な珈琲屋だからってエリがいちゃもん付けたんだったよな」
兄はコンビニ経営者でもあるが、あの商店街沿いに位置する幾つかの建物を不動産として所有し管理している。朝香と亮輔が住まうアパートもその一つであるし、『もりやま青果店』向かいの駐車場も兄が管理人となっている。その流れで玄川絵梨の騒動も耳に入っているのだろう。
亮輔が『雨上がり珈琲店』の店舗場所を知ったのは朝香が夕食を作ってくれるようになった後だったのだが、流石は兄である。さも遥か前から知っているといった様子でいる。
「そう……俺や絵梨の所為で、珈琲屋で働いてる同い年の女の子が知恵を働かせて新商品開発してくれて、それが学生達にウケて売り上げ増えたって話を聞いて……それで申し訳ない気持ちになって」
「で、栄養失調で倒れたんだよな。まぁあれは色々立て込んでてお前を監視し切れなかった俺の所為でもあるんだが」
「うん……村川朝香さんは頑張り屋さんなんだ。コーヒーの事にも俺を食わす事にも一生懸命で。なのにいつもニコニコしてくれてて、すごく楽しそうに振る舞ってくれてて……健気な部分に励まされたし明るい表情に癒されたし……好きに、なって」
照れ臭さからか、顔を俯かせながらポツリポツリと話す亮輔。
弟のいじらしい様子を、兄はジッと見つめており
「そっ……かぁ、意外だな」
とだけ呟く。
「え」
(意外……って言った? なんで?)
「意外」の言葉にこっちが意外な気分になったが、すぐに
(あ、そっか……俺が2度目の恋をすると思ってないから)
理由が自分にあるのだと気付き、それ以上詮索しない事にした。
「なるほど。村川朝香さんは同情心でお前を助けてるのかと思ってたし、お前はただそれに甘えてるだけなんだとばっかり……まさかそんな関係になるとか想像付かなかったよ」
兄は賢い頭でもって脳内整理し理解を深めてくれそうだったので、亮輔は少し嬉しくなり
「今はまだ、お互いを『大好き』って認識し合ったばかりなんだ。恋人と呼べるかはまだ微妙で」
「分かったよ、それで1日3時間半でも時間が欲しいわけだ亮輔は」
「うん……彼女はすごくいい子だから、嫌われたくないし大切にしてあげたくて」
「大切……ねぇ」
兄は「大切」のワードに引っ掛かるようだが
「分かったよ。ただし、仮眠はちょっとでも取っておけよ。くれぐれも純真無垢なお嬢さんをお前の変態野獣で散らさないようになっ」
ニヤリと笑って亮輔の要求をのんでくれた。
「サンキュ。あー、あと、散らさないからっ! そこは俺も自重するしそもそも出来ないし!」
「それはどうだろうかねぇ」
「絶対にしない! ってか出来ないっ! 彼女に吐くとか絶対にしたくないしっ!!」
ニヤニヤ顔の兄に対し亮輔は頭の先から首までを熱くして全力否定した。
一応朝香には自分の事情を説明しているのだから、今までの女のように性的接触を求めてこないだろうと亮輔自身思っているし、無理に行動しようとして嘔吐する醜い自分を朝香には見せたくない。そんな事をしたら朝香は亮輔を嫌うだろうし、またそれ以上に多大な精神的負担をかけてしまうだろう。
(あーちゃんは彼氏出来た事ないって言ってたから……)
未経験者が初めて愛の行為を自分と交わすとなったなら……。
恐らく、彼女に大きなトラウマを植え付けてしまうだろう……。
(俺みたいな経験、あーちゃんには絶対させたくない)
亮輔の脳裏に15歳の誕生日の出来事が思い起こされ……フッと霧散する。
(あーちゃんの事は大切にしたい。出来ない事があっても……それでもあーちゃんを笑顔にしてあげたい)
医師からも言われているが、この先自分が出来るようになるかは未知数だ。
彼女の性的欲求が自分では叶えられないとなったらお別れの未来も勿論あるだろう。
「まぁ、頑張れ。亮輔」
いつのまにか兄はニヤニヤ顔から真顔に戻していた。
真に願っているのだろう。亮輔に芽生えた「2度目の恋」がうまく育って成就していく事を。
「ありがとう……」
亮輔が礼を言うと、兄は目を細めやわらかな微笑を浮かべてくれた。
「ああ……『もりやま青果店』隣に出来た『雨上がり珈琲店』さんの人気商品をカフテリアが仕入れてて、それを無名な珈琲屋だからってエリがいちゃもん付けたんだったよな」
兄はコンビニ経営者でもあるが、あの商店街沿いに位置する幾つかの建物を不動産として所有し管理している。朝香と亮輔が住まうアパートもその一つであるし、『もりやま青果店』向かいの駐車場も兄が管理人となっている。その流れで玄川絵梨の騒動も耳に入っているのだろう。
亮輔が『雨上がり珈琲店』の店舗場所を知ったのは朝香が夕食を作ってくれるようになった後だったのだが、流石は兄である。さも遥か前から知っているといった様子でいる。
「そう……俺や絵梨の所為で、珈琲屋で働いてる同い年の女の子が知恵を働かせて新商品開発してくれて、それが学生達にウケて売り上げ増えたって話を聞いて……それで申し訳ない気持ちになって」
「で、栄養失調で倒れたんだよな。まぁあれは色々立て込んでてお前を監視し切れなかった俺の所為でもあるんだが」
「うん……村川朝香さんは頑張り屋さんなんだ。コーヒーの事にも俺を食わす事にも一生懸命で。なのにいつもニコニコしてくれてて、すごく楽しそうに振る舞ってくれてて……健気な部分に励まされたし明るい表情に癒されたし……好きに、なって」
照れ臭さからか、顔を俯かせながらポツリポツリと話す亮輔。
弟のいじらしい様子を、兄はジッと見つめており
「そっ……かぁ、意外だな」
とだけ呟く。
「え」
(意外……って言った? なんで?)
「意外」の言葉にこっちが意外な気分になったが、すぐに
(あ、そっか……俺が2度目の恋をすると思ってないから)
理由が自分にあるのだと気付き、それ以上詮索しない事にした。
「なるほど。村川朝香さんは同情心でお前を助けてるのかと思ってたし、お前はただそれに甘えてるだけなんだとばっかり……まさかそんな関係になるとか想像付かなかったよ」
兄は賢い頭でもって脳内整理し理解を深めてくれそうだったので、亮輔は少し嬉しくなり
「今はまだ、お互いを『大好き』って認識し合ったばかりなんだ。恋人と呼べるかはまだ微妙で」
「分かったよ、それで1日3時間半でも時間が欲しいわけだ亮輔は」
「うん……彼女はすごくいい子だから、嫌われたくないし大切にしてあげたくて」
「大切……ねぇ」
兄は「大切」のワードに引っ掛かるようだが
「分かったよ。ただし、仮眠はちょっとでも取っておけよ。くれぐれも純真無垢なお嬢さんをお前の変態野獣で散らさないようになっ」
ニヤリと笑って亮輔の要求をのんでくれた。
「サンキュ。あー、あと、散らさないからっ! そこは俺も自重するしそもそも出来ないし!」
「それはどうだろうかねぇ」
「絶対にしない! ってか出来ないっ! 彼女に吐くとか絶対にしたくないしっ!!」
ニヤニヤ顔の兄に対し亮輔は頭の先から首までを熱くして全力否定した。
一応朝香には自分の事情を説明しているのだから、今までの女のように性的接触を求めてこないだろうと亮輔自身思っているし、無理に行動しようとして嘔吐する醜い自分を朝香には見せたくない。そんな事をしたら朝香は亮輔を嫌うだろうし、またそれ以上に多大な精神的負担をかけてしまうだろう。
(あーちゃんは彼氏出来た事ないって言ってたから……)
未経験者が初めて愛の行為を自分と交わすとなったなら……。
恐らく、彼女に大きなトラウマを植え付けてしまうだろう……。
(俺みたいな経験、あーちゃんには絶対させたくない)
亮輔の脳裏に15歳の誕生日の出来事が思い起こされ……フッと霧散する。
(あーちゃんの事は大切にしたい。出来ない事があっても……それでもあーちゃんを笑顔にしてあげたい)
医師からも言われているが、この先自分が出来るようになるかは未知数だ。
彼女の性的欲求が自分では叶えられないとなったらお別れの未来も勿論あるだろう。
「まぁ、頑張れ。亮輔」
いつのまにか兄はニヤニヤ顔から真顔に戻していた。
真に願っているのだろう。亮輔に芽生えた「2度目の恋」がうまく育って成就していく事を。
「ありがとう……」
亮輔が礼を言うと、兄は目を細めやわらかな微笑を浮かべてくれた。
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