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本編
20歳になったその時に3
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*
9月22日はあっという間にやってきて、現在は帰宅中である。今日の午後は夕紀が焙煎室に籠る中で朝香が1人接客していたのだが、閉店時間ギリギリまで学生客がひっきりなしに訪れて非常にくたびれている。
(学生さんの夏休みが長いってのが恨めしいよ……売り上げ好調なのは店として嬉しいんだけど)
仕事があまりにも忙しかった為、プレゼントは前日の日曜日にようやく買うことが出来た。
(向日葵さんとのデートを夕方に遅らせてもらってプレゼント買いに行くのも恥ずかしかったなぁ……行動がバレバレで向日葵さんにニヤニヤされながら「お買い物行ってらっしゃい」って言われちゃったんだもん)
向日葵さんだって忙しくて時間が取れない筈なのに、彼は朝香へのプレゼントを既に手に入れており「コンビニバイト仲間の川崎さんにプレゼント調達してもらえたから大丈夫」と言っていた。
(川崎さんって人はコンビニだけじゃなくてアクセサリーショップでも働いてるから希望の商品を確保してコンビニまで持ってきてくれただなんて! 向日葵さんズルいよそんなのっ!)
これまで装飾品に興味がなく俊哉にオススメ店を紹介してもらったくらいなのが良くないのかもしれないのだが、やっぱり「解せない」「ズルい」と朝香は思ってしまい、プウッと頬を膨らませながら向日葵さんの待つアパートまで戻る。
2階の自分の部屋のインターフォンを押すと、向日葵さんがすぐに扉を開けてくれて
「あーちゃんおかえりなさい。お誕生日おめでとう」
と、ニコニコ顔で出迎えてくれた。
「んもぅ~『おめでとう』は向日葵さんの方なのに」
大好きな彼の出迎えに朝香の膨らんだ頬は一瞬にして元通りになり、ニヤけた表情になる。
「ふふ♪ 確かに『おめでとう』は俺もだもんね」
「そうだよー♪ 2人で『おめでとう』だよー♡」
玄関でギューッとハグしていると先程までの疲れも吹っ飛んでしまった。
「今日の食事も2人で計画して決めたもんね♪ 前菜とケーキの準備は出来てるから、あーちゃんは手を洗ってきてね♡」
「はぁい♡」
朝香は向日葵さんの言われた通り洗面台へと向かい、メイク直しをしたり手を洗ったりなどをしていく。
前菜もケーキも購入する店を2人であらかじめ決め、向日葵さんに買い物を任せている。ケーキこそ商品を一緒に選んだが前菜はお任せにしたので、テーブルにどんなものが並んでいるのか楽しみでならない。
「わー! オシャレで美味そう!!」
手洗いを済ませた朝香はテーブルに並べられた桃のカルパッチョや色鮮やかなサラダを見た途端喜びの声をあげた。
「俺は買ってきただけだけどね」
向日葵さんは謙遜しているが、何をどれほど購入するかは彼のセンスによるものだ。
「私じゃこんなオシャレな料理選べないもん。素敵な向日葵さんにお任せして大正解だったなって思うよ♪」
そう言って彼に熱烈なハグをし、頬に軽くキスをする。
「そうかなぁ? そう言ってくれると嬉しい♡ しかもあーちゃん、さっきの玄関の時と違ってバッチリメイクしてくれてる。いつものナチュラルメイクも良いけど、華やかなメイクも可愛い♡ 20歳のお祝いになってるよ♡」
互いの顔が接近してる中、向日葵さんは愛おしそうに朝香の頬に触れてメイクを褒めてくれた。
「やぁん♡ 嬉しい♡」
お家デートとはいえ互いを祝うお誕生日だからと、メイク直しとはいえないくらい一からメイクし直していたのだ。
(メイク動画見ながら練習した甲斐があった♪)
「ふふっ♡ あーちゃん可愛い♡」
「えへへ♡」
このままずっと見つめ合い微笑み続けていたかったのだが、そんな事をしていたらせっかくの料理が温くなってしまう。
「あっ、ケーキを食べる時は私がアレンジコーヒーを用意するつもりでいたけど今から作っちゃう? 何か別の飲み物がいいかなぁ?」
イチャイチャしたくなるのを我慢して朝香が飲み物の心配をすると、向日葵さんも朝香と似た顔つきになりながらも
「あーちゃんのアレンジコーヒーも良いと思ったんだけど、オシャレ前菜にはワインかなぁって思ってノンアルコールワインとワイングラスを買ってみたんだ。今から開けて乾杯しよう♪」
冷蔵庫から冷えたボトルを出してワイングラスも持ってきてくれた。
「わざわざノンアルコールにしたの?」
「あーちゃんの本当の誕生日は1週間先だし、俺もいきなりアルコール入れると暴走してあーちゃんに何するか分かんないからね」
まだ誕生日まで日数がある朝香を配慮したチョイスや準備が完璧である向日葵さんに感心するものの、ノンアルコールにした理由を聞かされて朝香は赤面してしまう。
(暴走して何するかわかんないって……一体私何されちゃうんだろうっ)
「んも~♡ 向日葵さんスケベすぎるよぅ♡」
出来る触れ合いは限られているものの、向日葵さんの触れ方や舐め方は変態性を孕んでいるので物凄く興奮してしまうのだ。セックスの経験はまだないにしても向日葵さんとのイチャイチャは「絶対にセックスよりも恥ずかしくていやらしい」と思っている。
「あーちゃんも本当はイチャイチャしたいくせにぃ♡」
きっと向日葵さんも同じ事を考えているのだろう、朝香同様彼も頬を赤らめている。揶揄いのセリフを吐いていてもやはり照れてしまうようだ。
「でも今は純粋にお祝いだよねっ」
「うん、そうだよね。あーちゃんと2人で誕生日を祝うって決めたんだもんね」
今日はプレゼント交換をして前菜とケーキを食べ、レンタルした映画を2人で観たら朝香がオムライスを作り0時になった瞬間向日葵さんの20歳を改めて祝う流れになっている。
向日葵さんの心を和ませる為の計画はバッチリの筈だ。
9月22日はあっという間にやってきて、現在は帰宅中である。今日の午後は夕紀が焙煎室に籠る中で朝香が1人接客していたのだが、閉店時間ギリギリまで学生客がひっきりなしに訪れて非常にくたびれている。
(学生さんの夏休みが長いってのが恨めしいよ……売り上げ好調なのは店として嬉しいんだけど)
仕事があまりにも忙しかった為、プレゼントは前日の日曜日にようやく買うことが出来た。
(向日葵さんとのデートを夕方に遅らせてもらってプレゼント買いに行くのも恥ずかしかったなぁ……行動がバレバレで向日葵さんにニヤニヤされながら「お買い物行ってらっしゃい」って言われちゃったんだもん)
向日葵さんだって忙しくて時間が取れない筈なのに、彼は朝香へのプレゼントを既に手に入れており「コンビニバイト仲間の川崎さんにプレゼント調達してもらえたから大丈夫」と言っていた。
(川崎さんって人はコンビニだけじゃなくてアクセサリーショップでも働いてるから希望の商品を確保してコンビニまで持ってきてくれただなんて! 向日葵さんズルいよそんなのっ!)
これまで装飾品に興味がなく俊哉にオススメ店を紹介してもらったくらいなのが良くないのかもしれないのだが、やっぱり「解せない」「ズルい」と朝香は思ってしまい、プウッと頬を膨らませながら向日葵さんの待つアパートまで戻る。
2階の自分の部屋のインターフォンを押すと、向日葵さんがすぐに扉を開けてくれて
「あーちゃんおかえりなさい。お誕生日おめでとう」
と、ニコニコ顔で出迎えてくれた。
「んもぅ~『おめでとう』は向日葵さんの方なのに」
大好きな彼の出迎えに朝香の膨らんだ頬は一瞬にして元通りになり、ニヤけた表情になる。
「ふふ♪ 確かに『おめでとう』は俺もだもんね」
「そうだよー♪ 2人で『おめでとう』だよー♡」
玄関でギューッとハグしていると先程までの疲れも吹っ飛んでしまった。
「今日の食事も2人で計画して決めたもんね♪ 前菜とケーキの準備は出来てるから、あーちゃんは手を洗ってきてね♡」
「はぁい♡」
朝香は向日葵さんの言われた通り洗面台へと向かい、メイク直しをしたり手を洗ったりなどをしていく。
前菜もケーキも購入する店を2人であらかじめ決め、向日葵さんに買い物を任せている。ケーキこそ商品を一緒に選んだが前菜はお任せにしたので、テーブルにどんなものが並んでいるのか楽しみでならない。
「わー! オシャレで美味そう!!」
手洗いを済ませた朝香はテーブルに並べられた桃のカルパッチョや色鮮やかなサラダを見た途端喜びの声をあげた。
「俺は買ってきただけだけどね」
向日葵さんは謙遜しているが、何をどれほど購入するかは彼のセンスによるものだ。
「私じゃこんなオシャレな料理選べないもん。素敵な向日葵さんにお任せして大正解だったなって思うよ♪」
そう言って彼に熱烈なハグをし、頬に軽くキスをする。
「そうかなぁ? そう言ってくれると嬉しい♡ しかもあーちゃん、さっきの玄関の時と違ってバッチリメイクしてくれてる。いつものナチュラルメイクも良いけど、華やかなメイクも可愛い♡ 20歳のお祝いになってるよ♡」
互いの顔が接近してる中、向日葵さんは愛おしそうに朝香の頬に触れてメイクを褒めてくれた。
「やぁん♡ 嬉しい♡」
お家デートとはいえ互いを祝うお誕生日だからと、メイク直しとはいえないくらい一からメイクし直していたのだ。
(メイク動画見ながら練習した甲斐があった♪)
「ふふっ♡ あーちゃん可愛い♡」
「えへへ♡」
このままずっと見つめ合い微笑み続けていたかったのだが、そんな事をしていたらせっかくの料理が温くなってしまう。
「あっ、ケーキを食べる時は私がアレンジコーヒーを用意するつもりでいたけど今から作っちゃう? 何か別の飲み物がいいかなぁ?」
イチャイチャしたくなるのを我慢して朝香が飲み物の心配をすると、向日葵さんも朝香と似た顔つきになりながらも
「あーちゃんのアレンジコーヒーも良いと思ったんだけど、オシャレ前菜にはワインかなぁって思ってノンアルコールワインとワイングラスを買ってみたんだ。今から開けて乾杯しよう♪」
冷蔵庫から冷えたボトルを出してワイングラスも持ってきてくれた。
「わざわざノンアルコールにしたの?」
「あーちゃんの本当の誕生日は1週間先だし、俺もいきなりアルコール入れると暴走してあーちゃんに何するか分かんないからね」
まだ誕生日まで日数がある朝香を配慮したチョイスや準備が完璧である向日葵さんに感心するものの、ノンアルコールにした理由を聞かされて朝香は赤面してしまう。
(暴走して何するかわかんないって……一体私何されちゃうんだろうっ)
「んも~♡ 向日葵さんスケベすぎるよぅ♡」
出来る触れ合いは限られているものの、向日葵さんの触れ方や舐め方は変態性を孕んでいるので物凄く興奮してしまうのだ。セックスの経験はまだないにしても向日葵さんとのイチャイチャは「絶対にセックスよりも恥ずかしくていやらしい」と思っている。
「あーちゃんも本当はイチャイチャしたいくせにぃ♡」
きっと向日葵さんも同じ事を考えているのだろう、朝香同様彼も頬を赤らめている。揶揄いのセリフを吐いていてもやはり照れてしまうようだ。
「でも今は純粋にお祝いだよねっ」
「うん、そうだよね。あーちゃんと2人で誕生日を祝うって決めたんだもんね」
今日はプレゼント交換をして前菜とケーキを食べ、レンタルした映画を2人で観たら朝香がオムライスを作り0時になった瞬間向日葵さんの20歳を改めて祝う流れになっている。
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