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【番外編】ネコの彼女

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 彼とそんなやり取りをした朝から10日余りが経ち、のんびりイチャイチャできる土曜日の夜がまたやってきた。

「じゃーん!! あーちゃん見てみて ♪ネットでポチッちゃった♡」

 今日もりょーくんが買ってきてくれた夕食を食べ、コーヒータイムも済ませると、彼は自室へサッと戻り3着の服を持って私の目の前に差し出してきた。

「ネットでポチッたって……これ、もしかして『ネコ彼女』のルームウェア?」
「そうだよ♡ あーちゃんがすぐに着れるように、ちゃんと洗濯済みっ♪」

 ハンガーにかけられているふわふわモコモコの白ネコルームウェアをヒラヒラと揺らしながら、りょーくんは得意げにそう言う。
 彼の手にしているルームウェアは、右から白ネコ、灰色ネコ、茶トラネコのデザインになっていて、猫耳パーカーに猫尻尾のショートパンツは変わらない。だけど、生地は私の持っている黒ネコさんよりも温かそうだ。

「凄い……これ、全部冬用?」
「そうそう♪ 3タイプ出てて、どれを買おうかめちゃくちゃ迷ってさぁ~気付いたら全部カートに入れちゃってた♪」
「3着全部って……送料込で確実に2万近く掛かってるよね?」
「お金の事は気にしなくて良いんだよ♪ あーちゃんは毎日色んな事を頑張っているから、俺からのささやかなご褒美って意味でプレゼントしたかっただけっていうか」
「りょーくんだって毎日頑張ってるのに」
「俺は別にいいんだよ。来週から藤井の紹介で家庭教師のアルバイト始めるけど受験生担当する訳じゃないし、あーちゃんの方が忙しくしてるからね」

(いやいやいやいや、ほぼバイトしてない大学生の2万円は大きいよ! 大金だよ!)

 りょーくんは平気な表情で私にそんな事を言ってるんだけど、本当に金銭面は大丈夫なのかと気にしてしまった。

(うーん……「大企業の御子息」って上原さんに聞かされてるから私と金銭感覚が違うのは百も承知なんだけど、私にお金使い過ぎてないかなぁ)

 少しの間唸ってしまったんだけど「逆に今まで自分自身の事にお金を使ってこなかったみたいだからなんとかなってるのかもしれない」という考えに行き着く。
 2ヶ月前は異常な程コンビニバイトしまくっていたし今は家賃の支払いもしてないし、案外貯金は私以上に蓄えていそうだ。

「本当に貰っちゃっていいの?3着とも」

 おずおずと彼に訊いてみたら、彼は首が取れるんじゃないかってくらいに激しく頷いて
 
「いいよいいよ~♪ 寧ろ毎日着回してほしいし、お風呂から上がったら早速着てほしい♡」

 と、頬をゆるませながら私のネコ彼女姿を楽しみにしているようだった。

(正直ルームウェアをたくさん貰えるのは嬉しいし、大好きなりょーくんがこれだけ「着て着て♡」と要求してるんだもん。着ない訳にはいかないよね……)

 一見するとパワハラみたいな押し付けに感じるりょーくんの行動だけど、ネコ彼女のルームウェアは着心地良いし可愛いから、冬用のバージョンも元々気になっていた商品だった。

「分かった。じゃあ今夜はこの白ネコさんを着させてもらうね」

 私はソファから立ち上がりりょーくんの手から白ネコさんのルームウェアをハンガー毎持ち上げると、りょーくんが嬉しそうにガッツポーズを取っていて、そんな彼も可愛いと感じた。


  
 私が白ネコのルームウェアを着ると決めてからのりょーくんの行動は素早かった。
 私がコーヒーに使ったカップや器具を洗っている隣で、りょーくんは既に洗い終えていた夕食時の食器類をペーパータオルで拭き取って食器棚に戻したらバスルームへ向かってお湯張りを始め、お風呂のお湯が溜まるまでの間にベッドメイキングをほどこしている。

「りょーくん……めちゃくちゃやる気に満ちあふれてる……」

 それくらい私のネコ彼女姿を見たいっていう意味でのやる気なのは理解しているんだけど

「あーちゃんっ、時間余ってるからテーブル綺麗に拭いておくねっ!」
「あっ……ありがとうりょーくん」

 その「やる気」は、別の意味合いでの「ヤル気」も含まれているんじゃないかという考えが頭をよぎり、私の体はカアッと熱くなった。

「テーブル拭き完了っ! 後はあーちゃんが洗ったカップを棚に戻して、ネルの煮沸だね!!」
「煮沸は終わったから、ネルは冷蔵庫に入れれば良くって……」
「オッケー!! タッパーに水入れてネル入れとくんだよね! 俺、ちゃんと分かってるからっ!」
「ありがとうりょーくん」

 まるで私だけスローモーションで行動してるんじゃないかって思うくらいにテキパキと働くりょーくんの姿は、10日前の寝起き時とは別人レベルだ。

(本当に私のネコ彼女姿を見たいんだろうし、濃厚なイチャイチャもたっぷりしたいんだろうなぁ)

 彼の「やる気」と「ヤル気」に伴って、私の体の熱は更に上昇していく。

(だって……土曜日の夜だもん)

 普段りょーくんとは平日寝る前にエッチを1回してるんだけど、土曜日のエッチだけはたっぷり濃厚に3回するし、翌日の日曜日に至ってはイチャイチャの雰囲気のまま朝から2回延長戦までしちゃっている。
 多分、りょーくん本人としては平日の1回だけじゃ足りなくて、休日の土日で帳尻を合わせているつもりなんだろうなって私は解釈しているんだけど、その割には土曜日エッチの内容はエロみが凄い。
 りょーくんはお胸と同じくらいお尻も大好きで、土曜日のお尻チュッチュやペロペロは恥ずかしいながらにゾクゾクきちゃって私もちょっと好きになりかけちゃっていた。
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