大精霊に愛されて

鬼灯

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再び躰を重ねて、サーシャは指を動かすのも億劫だった。



「可愛いな、サーシャは」




ふふと笑い、イザヤは愛おしそうにサーシャを見つめる。その視線から逃れるように、イザヤの胸に顔を埋める。
サーシャの頭を撫でながら、イザヤは後頭部に口吻る。




「どうやら、実ったらしい」



嬉しそうに、イザヤは言う。



「な、何が、ですか」



掠れた声をサーシャはあげる。



「ここに」



と、イザヤはサーシャのお腹に手を当てる。
それにサーシャは、はっと目を見開く。




「そうだ、子が出来たのだ」




嬉しそうに、イザヤは言う。それにサーシャは、驚いていた。




「サーシャ、吾ら精霊は望み交われば、子が出来たのだ」




「そう、ですの………」



呆然としていたサーシャは、次第に顔に笑みが広がる。



「イザヤ様とのお子が、いますのね」



ふふふとサーシャは幸せそうに笑う。


そして、一年後。
サーシャは元気な男女の赤子を生んだ。



「よくやった。サーシャ」



イザヤがサーシャを労るように、肩を抱く。赤子を抱きながら、サーシャは微笑む。



「可愛いですわ」



「ああ、サーシャに似た子で、嬉しい」



そう言うと、双子を覗き込む。
顔かたちはサーシャに似ている。だが、髪は金糸のようで、眼は湖畔のような青い色をしている。
色合いはイザヤに似ている。
そうは思っても、言わず、微笑む。
幸せで、嬉しくて、かけがえのない大切な者を手にし、サーシャは微笑む。



「幸せですわ」



そう言うと、サーシャは見とれるほど綺麗な笑顔を見せたのである。







   おわり
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