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1st season 第二章
031 命がけの対価
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新兵器『岩石ブロック』を手に入れた俺はエルベの森の奥で実戦訓練に勤しんでいた。
と、言ってもビッグボアならやる事は変わらない。
小石を投げてブロックを置く簡単なお仕事。
今回の仮想敵はシルバーエイプだ。
やつらは数体で集団行動を取る事が多く、地面を蹴って木の枝に掴まる跳力がある。
これまではなんとかタワーシールドで凌ぎ、『そっと置いてくるシュート』方式の『メテオストライクの悲劇』で仕留めていた。
が、零式と岩石ブロックを手に入れた今、もっと安全にやれると思うわけだ。
まず、地上遭遇の場合。
五体程度の集団が向かってくる。
接触までに零式で一体は屠れるだろう。
残り四体、距離四メートル。
そこで岩石ブロックを並べてで行く手を阻む。
やつらは2mの障害物くらい軽々と飛び越えるのでニヤリとして飛び上がる。
そこで二段目のブロックを積む。
2mを飛び越えるべく地を踏み切っていた奴らは壁にぶつかってべチョリと落ちる。
正面のブロックを収納して、間抜けに転がる奴らにボルトを連射。
うん、想定通り。
しかしこの方法では木の上から一斉に降ってくる群れに対処できない。
えぇ、勿論対策はありますとも。
っていうかむしろこの為にブロックを用意したわけで。
上空から5体のシルバーエイプが降ってくる。
難しいのは最初だけだ。
絶対に直撃を受けないよう、とにかく遠くへ飛び避ける。
自身の8方位にブロックを並べる。
やつらがすり抜けられるほど大きな隙間が無ければ問題ない。
手を真上に掲げ、一枚だけ作った板を乗せればはい出来上がり。
あとは隙間からチクチク射殺すだけ。
I.B.から物を出すには別段詠唱なんて必要ないから、半径1mで一回転する時間があれば要塞は完成する。
「ウキッウキッ」言われても痛くも痒くもない。
死角に入られたらそこだけ収納して射って戻す簡単なお仕事。
だと思うんだけど・・・まだ練習だけで都合よくエイプが降ってこない。
地上戦なら最初の方法より確実安全。
但し、イメージ通り要塞と名付けそうになってどんよりしたので、鉄壁ニートと命名しておいた。
っていうか鉄壁ニートまじ有能。
もしかしたら俺TUEEEEEかも知れない。
普通に一人で野営ができそう。
オークはノロいので考えるまでも無かった。
広いとこなら10mブロック一撃で終わり。
狭かったら鉄壁ニート。
まぁ飛び道具とか魔法持ち、もしくはドラゴンみたいな特大の相手にはダメそうだけどね。
そんなわけで目を回しながら、より速く、より正確に回転する練習をした帰り、オークの集落を見つけてしまった。
訓練に来た野営地より奥とはいえ、ここまで街に近い集落はまずあり得ない。
まだ出来て間が無いのだろう、木の枝を積み上げたテントのような粗末な小屋が40ほど確認できる。
「集落って事はリーダーがいるはずだが・・・」
オークの身長は2.5m程度、集落を形成する場合大抵は、4m近い巨躯のリーダーが統率している。
知能はゴブリンと同程度で、種族的にオスしか存在せず、多種族のメスを攫って交配する。
とりわけ、人や亜人を好んで攫う。
街の近くに集落があっては危険極まりないため、発見時には構成規模を確認してギルドに報告、規模に応じた討伐隊が編成される。
この規模ならD級の3パーティーが妥当なところだ。
「居たな・・・」
村の一角にひときわ大きな個体が確認できる。
攫ってきたばかりなのだろう、亜人種の女を抱きかかえて、周囲のオスに見せびらかしている。
左手一本で女の両腕を釣り上げ、ニヤニヤと衣服を剥ぎ取ってゆく。
最後の抵抗なのか、ぐったりとしていた女がジタバタと暴れるが、オークの腕力、それもリーダーの腕力には何の効果も無い。
ブヒツ ブヒ ブッヒィィィィ
女の胸が露わになるとオーク達の興奮がいっそう大きくなる。
興奮のおかげか、100m程の距離まで接近したカインに気付くものは居ない。
「状況は確認できた。戻って報告・・・すべきだよな~」
今から報告して討伐隊は明日の朝。
生殖目的ゆえ殺される可能性は小さい。
だが・・・こんな森の中、巨大な魔物に代わる代わる犯されて過ごす夜など・・・明日救出されたとしても、あの娘の人生はもはや終わったようなものだ。
そしてカインは接近できたことで、その娘の顔を見てしまった。
「よしっ、まず大前提。村の中には絶対入らない。数で押し切られたらどうにもならない」
「ここからチマチマ射殺して、処理しきれない数が同時に来そうなら全力で逃亡」
「深追いしてくる個体をニートで倒して、倒しきったら釣り再開」
「でも全ては最初にAMRでリーダーが仕留められたらって事で、失敗したらあきらめて助けを呼ぶ。俺が死んだら救出も無理だしね」
声に出すことで自分に言い聞かせ、地に伏せたままAMRを取り出す。
横風が少し、仮に外してもあの娘当たらぬよう狙いをズラす。
ブッヒィィィィ
身を覆う全てを剥かれた女が、高く吊るされた。
「今っ!」
バシュッ・・・ドガッ!
引き金が絞られ、直径18mmのボルトがリーダの胸部を爆散させた。
都合5mの高さから女が放り出される。
カインの手には既に零式。
バシュッ・・・バシュッ・・・バシュッ・・・バシュッ
手前側から手当たり次第ボルトを射ち込む。
視認は出来ていないハズだが襲撃者の存在に気づいた。
ブモォー ブモォー
怒りの声をあげオーク達が駆けてくる。
バシュッ・・・バシュッ・・・バシュッ・・・バシュッ
まだ行ける。
バシュッ・・・バシュッ・・・バシュッ・・・バシュッ
そろそろ無理か?
腰を上げ全力逃亡の構えに入ったカインの視界に女が映る。
仰向けに地に引きずり倒され、数体のオークが囲んでいる。
両手を頭上に一体のオークが抑えつけて、足元の一体がカインの腕ほどもあるイチモチを熱り立たせて興奮している。
ボスが消えたのをこれ幸いと、新鮮なメスを頂く算段だ。
「マジかよっ!普通全員で抗戦するとこだろっ!こんなの想定にねぇっ!」
女の脚がこじ開けられる、ジタバタと足掻く娘。
「ちっっっくしょおおおおおお!」
怨嗟の雄叫びをあげ、オークの群れに突進するカイン。
手当たり次第にブロックをバラマキ、越えてくる個体にボルトを射ち込み、振り下ろされる棍棒に肉を削がれ、狂ったように前へと駆ける。
僅か10秒ほどの時間が永遠のように引き伸ばされ、ついにその、いきり立つイチモツの持ち主にボルトが突き刺さる。
眉間からボルトを生やすオークを蹴倒し、周囲にブロックを敷き詰める。
そのブロックの舞台に女を放り投げると、転がるように自分も飛び乗る。
ブロックの高さは2m、オークにとっては胸の高さだ。
鉄壁を張っている余裕は無い。
視界に映る動き全てにボルトを打ち込み、よじ登る頭にブロックを落とす。
ぜぇっ ぜぇっ ぜぇっ ぜぇっ
砂煙が晴れても、自分以外に動くものは居ない。
「あんた、生きてるか?」
返事は無いが、晒された裸体が呼吸の継続を示す、目がこちらを向いたので意識もあるようだ。
娘は銀色の髪が美しいダークエルフだった。
裸の娘を抱きかかえたカイン。
カタカタと娘は震え続けている。
マントか何かを取り出そうかとも思ったが、命をかけたご褒美が少しくらいはあっても良いだろうと思い留まった。
舞台から飛び降りると、足の裏でオークとブロックを回収してゆく。
念の為、小屋の中も確認するが、オークも人も見当たらなかった。
「街へ帰るぞ」
返事は無いが歩き出す。
お荷物を抱えて長居は無用だ。
野営地を越え、林道に入る、ここまでくれば、まぁ安全圏だろう。
「・・・あり・・・がとぅ」
か細い声がようやっと発せられた。
声の主をじっと眺める・・・うん、ユリアほどじゃないけど美人だ。
「なっ・・・なに?」
「いや、キレイだなと思って」
『ボッ』という音が聞こえるほどに褐色肌に赤味が増す。
ピンク色の乳首がとても良い。
腕にあたる感触も素晴らしい。
「あの・・・な、なにか、かけて欲しい・・・」
娘の訴えに、さも今気がついたというような顔をして毛布を眼の前に落とす。
「ごめん。気が昂ぶってて気づかなかった」
「今の?何?」
「?」
「どこから出したの?」
「そういうギフトなんだ」
門番に挨拶し、街の中へ入る。
なんだろう、毛布に包まれた美少女をお姫様だっこって、仄かに事案臭がするのか、周囲の視線が痛い。
「とりあえず治療院でいいか?」
「そうね。ヒールは使えるけど、歩けそうに無いからお願いしていい?」
「おう」
魔法医に少女を託し、ギルドへ向かう。
ホールへ入ると、何やら騒々しかった。
受付へと向かい要件を告げる。
「えーと、オークの集落を発見した場合って、報告必要ですよね?」
「え、集落ですか?」
「ええ、エルベの野営地の奥の方で見つけました」
「しょっ、少々待ち下さいっ!」
受付がパタパタと騒ぎの方へ駆けて行く。
何故か騒ぎがこちらに向かってくる。
「オークの集落を見つけたっていうのは本当か?」
「ええ、本当ですよ?」
「規模は?」
「えーと(I.B.で確認する)、オークが48とリーダーが1、確認漏れもあるかも知れません」
「そうか・・・まだ初期だな」
ギルマスが何か思案している。
「おい、お前っ!女は、女が居なかったか?」
知らない小僧に詰め寄られた・・・俺も小僧だけど。
「居たが?」
「そ、そうか、シリアはそこに居るんだな?」
「いや、名前までは知らない」
「銀髪のダークエルフだ」
「あーそれなら治療院に送ってきた」
「???」
「銀髪で、ダークエルフで、美人であってるか?」
「ああ、シリアだ」
「なら治療院に居ると思う」
「カイン、どういう事だ?助け出したのか?」
「えぇ、まぁ・・・やっぱ報告優先せずに勝手にやったから罰金とかあります?」
「やったって・・・殺ったのか?」
「えぇ、講習で、まず帰還して報告とは教わったんですが、あの状況で置いて帰るのはちょっと後味悪すぎだったんで・・・しかもアイツらリーダー殺られてんのに、迎撃しないでおっ始めようとするんですよ?」
「ちょっとまてカイン。まさかお前、一人で掃討してきたってことか?」
「はい。結構ヤバかったです。カーっときて殺っちゃいましたね」
「はぁ・・・なんでEが掃討してんだよ・・・とりあえず最初から全部話せ、会議室行くぞ」
拉致られた。
明日、検証チームが出るので同行することになった。
オークはグチャグチャなのも多かったけど、結構儲かった。
褐色とピンクのコントラストが記憶に新しいうちに、ラティアさんに受け止めて貰った。
と、言ってもビッグボアならやる事は変わらない。
小石を投げてブロックを置く簡単なお仕事。
今回の仮想敵はシルバーエイプだ。
やつらは数体で集団行動を取る事が多く、地面を蹴って木の枝に掴まる跳力がある。
これまではなんとかタワーシールドで凌ぎ、『そっと置いてくるシュート』方式の『メテオストライクの悲劇』で仕留めていた。
が、零式と岩石ブロックを手に入れた今、もっと安全にやれると思うわけだ。
まず、地上遭遇の場合。
五体程度の集団が向かってくる。
接触までに零式で一体は屠れるだろう。
残り四体、距離四メートル。
そこで岩石ブロックを並べてで行く手を阻む。
やつらは2mの障害物くらい軽々と飛び越えるのでニヤリとして飛び上がる。
そこで二段目のブロックを積む。
2mを飛び越えるべく地を踏み切っていた奴らは壁にぶつかってべチョリと落ちる。
正面のブロックを収納して、間抜けに転がる奴らにボルトを連射。
うん、想定通り。
しかしこの方法では木の上から一斉に降ってくる群れに対処できない。
えぇ、勿論対策はありますとも。
っていうかむしろこの為にブロックを用意したわけで。
上空から5体のシルバーエイプが降ってくる。
難しいのは最初だけだ。
絶対に直撃を受けないよう、とにかく遠くへ飛び避ける。
自身の8方位にブロックを並べる。
やつらがすり抜けられるほど大きな隙間が無ければ問題ない。
手を真上に掲げ、一枚だけ作った板を乗せればはい出来上がり。
あとは隙間からチクチク射殺すだけ。
I.B.から物を出すには別段詠唱なんて必要ないから、半径1mで一回転する時間があれば要塞は完成する。
「ウキッウキッ」言われても痛くも痒くもない。
死角に入られたらそこだけ収納して射って戻す簡単なお仕事。
だと思うんだけど・・・まだ練習だけで都合よくエイプが降ってこない。
地上戦なら最初の方法より確実安全。
但し、イメージ通り要塞と名付けそうになってどんよりしたので、鉄壁ニートと命名しておいた。
っていうか鉄壁ニートまじ有能。
もしかしたら俺TUEEEEEかも知れない。
普通に一人で野営ができそう。
オークはノロいので考えるまでも無かった。
広いとこなら10mブロック一撃で終わり。
狭かったら鉄壁ニート。
まぁ飛び道具とか魔法持ち、もしくはドラゴンみたいな特大の相手にはダメそうだけどね。
そんなわけで目を回しながら、より速く、より正確に回転する練習をした帰り、オークの集落を見つけてしまった。
訓練に来た野営地より奥とはいえ、ここまで街に近い集落はまずあり得ない。
まだ出来て間が無いのだろう、木の枝を積み上げたテントのような粗末な小屋が40ほど確認できる。
「集落って事はリーダーがいるはずだが・・・」
オークの身長は2.5m程度、集落を形成する場合大抵は、4m近い巨躯のリーダーが統率している。
知能はゴブリンと同程度で、種族的にオスしか存在せず、多種族のメスを攫って交配する。
とりわけ、人や亜人を好んで攫う。
街の近くに集落があっては危険極まりないため、発見時には構成規模を確認してギルドに報告、規模に応じた討伐隊が編成される。
この規模ならD級の3パーティーが妥当なところだ。
「居たな・・・」
村の一角にひときわ大きな個体が確認できる。
攫ってきたばかりなのだろう、亜人種の女を抱きかかえて、周囲のオスに見せびらかしている。
左手一本で女の両腕を釣り上げ、ニヤニヤと衣服を剥ぎ取ってゆく。
最後の抵抗なのか、ぐったりとしていた女がジタバタと暴れるが、オークの腕力、それもリーダーの腕力には何の効果も無い。
ブヒツ ブヒ ブッヒィィィィ
女の胸が露わになるとオーク達の興奮がいっそう大きくなる。
興奮のおかげか、100m程の距離まで接近したカインに気付くものは居ない。
「状況は確認できた。戻って報告・・・すべきだよな~」
今から報告して討伐隊は明日の朝。
生殖目的ゆえ殺される可能性は小さい。
だが・・・こんな森の中、巨大な魔物に代わる代わる犯されて過ごす夜など・・・明日救出されたとしても、あの娘の人生はもはや終わったようなものだ。
そしてカインは接近できたことで、その娘の顔を見てしまった。
「よしっ、まず大前提。村の中には絶対入らない。数で押し切られたらどうにもならない」
「ここからチマチマ射殺して、処理しきれない数が同時に来そうなら全力で逃亡」
「深追いしてくる個体をニートで倒して、倒しきったら釣り再開」
「でも全ては最初にAMRでリーダーが仕留められたらって事で、失敗したらあきらめて助けを呼ぶ。俺が死んだら救出も無理だしね」
声に出すことで自分に言い聞かせ、地に伏せたままAMRを取り出す。
横風が少し、仮に外してもあの娘当たらぬよう狙いをズラす。
ブッヒィィィィ
身を覆う全てを剥かれた女が、高く吊るされた。
「今っ!」
バシュッ・・・ドガッ!
引き金が絞られ、直径18mmのボルトがリーダの胸部を爆散させた。
都合5mの高さから女が放り出される。
カインの手には既に零式。
バシュッ・・・バシュッ・・・バシュッ・・・バシュッ
手前側から手当たり次第ボルトを射ち込む。
視認は出来ていないハズだが襲撃者の存在に気づいた。
ブモォー ブモォー
怒りの声をあげオーク達が駆けてくる。
バシュッ・・・バシュッ・・・バシュッ・・・バシュッ
まだ行ける。
バシュッ・・・バシュッ・・・バシュッ・・・バシュッ
そろそろ無理か?
腰を上げ全力逃亡の構えに入ったカインの視界に女が映る。
仰向けに地に引きずり倒され、数体のオークが囲んでいる。
両手を頭上に一体のオークが抑えつけて、足元の一体がカインの腕ほどもあるイチモチを熱り立たせて興奮している。
ボスが消えたのをこれ幸いと、新鮮なメスを頂く算段だ。
「マジかよっ!普通全員で抗戦するとこだろっ!こんなの想定にねぇっ!」
女の脚がこじ開けられる、ジタバタと足掻く娘。
「ちっっっくしょおおおおおお!」
怨嗟の雄叫びをあげ、オークの群れに突進するカイン。
手当たり次第にブロックをバラマキ、越えてくる個体にボルトを射ち込み、振り下ろされる棍棒に肉を削がれ、狂ったように前へと駆ける。
僅か10秒ほどの時間が永遠のように引き伸ばされ、ついにその、いきり立つイチモツの持ち主にボルトが突き刺さる。
眉間からボルトを生やすオークを蹴倒し、周囲にブロックを敷き詰める。
そのブロックの舞台に女を放り投げると、転がるように自分も飛び乗る。
ブロックの高さは2m、オークにとっては胸の高さだ。
鉄壁を張っている余裕は無い。
視界に映る動き全てにボルトを打ち込み、よじ登る頭にブロックを落とす。
ぜぇっ ぜぇっ ぜぇっ ぜぇっ
砂煙が晴れても、自分以外に動くものは居ない。
「あんた、生きてるか?」
返事は無いが、晒された裸体が呼吸の継続を示す、目がこちらを向いたので意識もあるようだ。
娘は銀色の髪が美しいダークエルフだった。
裸の娘を抱きかかえたカイン。
カタカタと娘は震え続けている。
マントか何かを取り出そうかとも思ったが、命をかけたご褒美が少しくらいはあっても良いだろうと思い留まった。
舞台から飛び降りると、足の裏でオークとブロックを回収してゆく。
念の為、小屋の中も確認するが、オークも人も見当たらなかった。
「街へ帰るぞ」
返事は無いが歩き出す。
お荷物を抱えて長居は無用だ。
野営地を越え、林道に入る、ここまでくれば、まぁ安全圏だろう。
「・・・あり・・・がとぅ」
か細い声がようやっと発せられた。
声の主をじっと眺める・・・うん、ユリアほどじゃないけど美人だ。
「なっ・・・なに?」
「いや、キレイだなと思って」
『ボッ』という音が聞こえるほどに褐色肌に赤味が増す。
ピンク色の乳首がとても良い。
腕にあたる感触も素晴らしい。
「あの・・・な、なにか、かけて欲しい・・・」
娘の訴えに、さも今気がついたというような顔をして毛布を眼の前に落とす。
「ごめん。気が昂ぶってて気づかなかった」
「今の?何?」
「?」
「どこから出したの?」
「そういうギフトなんだ」
門番に挨拶し、街の中へ入る。
なんだろう、毛布に包まれた美少女をお姫様だっこって、仄かに事案臭がするのか、周囲の視線が痛い。
「とりあえず治療院でいいか?」
「そうね。ヒールは使えるけど、歩けそうに無いからお願いしていい?」
「おう」
魔法医に少女を託し、ギルドへ向かう。
ホールへ入ると、何やら騒々しかった。
受付へと向かい要件を告げる。
「えーと、オークの集落を発見した場合って、報告必要ですよね?」
「え、集落ですか?」
「ええ、エルベの野営地の奥の方で見つけました」
「しょっ、少々待ち下さいっ!」
受付がパタパタと騒ぎの方へ駆けて行く。
何故か騒ぎがこちらに向かってくる。
「オークの集落を見つけたっていうのは本当か?」
「ええ、本当ですよ?」
「規模は?」
「えーと(I.B.で確認する)、オークが48とリーダーが1、確認漏れもあるかも知れません」
「そうか・・・まだ初期だな」
ギルマスが何か思案している。
「おい、お前っ!女は、女が居なかったか?」
知らない小僧に詰め寄られた・・・俺も小僧だけど。
「居たが?」
「そ、そうか、シリアはそこに居るんだな?」
「いや、名前までは知らない」
「銀髪のダークエルフだ」
「あーそれなら治療院に送ってきた」
「???」
「銀髪で、ダークエルフで、美人であってるか?」
「ああ、シリアだ」
「なら治療院に居ると思う」
「カイン、どういう事だ?助け出したのか?」
「えぇ、まぁ・・・やっぱ報告優先せずに勝手にやったから罰金とかあります?」
「やったって・・・殺ったのか?」
「えぇ、講習で、まず帰還して報告とは教わったんですが、あの状況で置いて帰るのはちょっと後味悪すぎだったんで・・・しかもアイツらリーダー殺られてんのに、迎撃しないでおっ始めようとするんですよ?」
「ちょっとまてカイン。まさかお前、一人で掃討してきたってことか?」
「はい。結構ヤバかったです。カーっときて殺っちゃいましたね」
「はぁ・・・なんでEが掃討してんだよ・・・とりあえず最初から全部話せ、会議室行くぞ」
拉致られた。
明日、検証チームが出るので同行することになった。
オークはグチャグチャなのも多かったけど、結構儲かった。
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