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2nd season 第三章
149 シリア暗殺計画(12)
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「あの・・・手枷は後ろ手に着けて下さい」
「なんだ、もうそこまで堪えきれぬのか・・・まったく、世話のかかる奴隷だ。それで、どこへ行けばよいのだ?」
「えと・・・地名がわかりません。地図があれば・・・わかるはずです・・・なるべく大きな、広範囲のものが必要です」
あたまの中に浮かぶ転移門の地図・・・そこには地名が無い。
転移門のある位置が点々と表示されて、カインが付けた神殿名が表示されるだけ。
ちゃんとした転移門には神殿の名前がついてるけど、携帯転移門には番号しか無い。
自分が何処にいるかも表示されれば地図として使えるのだけど、人間には魔法陣が刻まれてないから無理なんだって、カインが言ってた。
「まったく・・・セバスチャン!地図を手に入れてこい!一番広範囲のものだ!」
貴族が使う小さな馬車。
その中でこの男と二人なんて・・・気が重い・・・でも、贅沢は言えないよ、もう少しでカインにあえる!
そうしたらたくさん愛してもらうんだ・・・たくさん、たくさん、注いでもらう・・・。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
「おい。妙な声を出すな」
「・・・子爵は・・・なぜ、こんなところに居るのです。気が紛れますから、話して下さい」
「・・・お前に関わったせいで、グラム王国は居心地が悪くなった。出世が望めぬ以上、あの国に居続ける理由もない」
「そうですか・・・でも何故救けるのです?むしろ恨みに思うはず」
「今やあの男は世界を統べる権力者。やがてこの国にも影響力を持つようになる。小さな恨みを晴らすよりも、恩を売っておいたほうがマシであろう?別に何か要求する気も無い。ただの保険だ」
「そう・・・ですか・・・」
コンコン
「旦那様、地図をご用意いたしました」
「お望みの地図だ。どこへ行けば良い?」
「えと・・・ここに広げて下さい」
「まったく・・・私に使用人のような真似をさせるとは・・・」
えーと、聖都の神殿がココで、ガザル村はココ、これがきっとマドリナ神殿よね・・・そうすると・・・ココが一番近い・・・地名は・・・。
「この、ニスリラ村という所です」
「そこにあの男が居るのか?」
「旦那様が何処に居るかはわかりません。でもそこに行けば、わたしが使える転移門があります。それで聖都に戻って、旦那様を呼んでもらいます」
「ふむ・・・よくわからぬがまぁよい。聞いたな!セバスチャン!ニスリラ村だ!」
~~~~~
「なぜだっ!なんで見つからないっ!」
捜索開始から六日、タイムリミットまで三日しかないのに、なんの手掛かりも見つかって無い。
ユリアほどの美人、連れ回せば嫌でも目立つ。
人目を避けて移動しているのか、何処かにじっと潜伏しているのか・・・それとももうとっくに・・・いや、ダメだ、最後まで諦めない。
「猊下、申し訳ありません。ホンジュラス軍を探らせていた配下から連絡が途絶えました。事を急ぎ過ぎました」
「くっ・・・」
「代わりの者を送り込んでいますが、ガードが固く、有用な情報は未だ・・・」
ちくしょう!役に立たないっ!
聖都を空にして、六百人も動かしてこれかっ!
・・・いや、違う。
俺がユリアを必死に探すように、その暗部にも必死になってくれる家族が居るはずだ。
彼らだって人間なんだ。
「俺が出向く、どこの軍団だ?」
「げっ、猊下!なりませぬ!」
「ヤザン。その配下にも心配してくれる家族が居るだろ?俺とその家族は同じ立場だ。そして生きているなら、その部下は取り戻せる」
「猊下・・・ありがとうございます」
~~~~~
ヒヒーンッ! ガタガタガタガタ
街道を駆ける馬車が止まる。
「セバスチャン何事だ!」
「だっ、旦那様っ!野盗ですっ!野党が道を塞いでいますっ!」
「ちっ、引き返せっ!」
「ダメですっ!」
「あいにく今は護衛が居ない。諦めろ」
「不要です。この、封魔の首輪を外して下さい」
「お前が戦うというのか?」
「氷結姫が野盗如きに道を譲ると?」
「だがっ・・・よかろう。やって見せるがいい。だが信用はせん。私は少し下がらせてもらう」
「構いません」
枷と首輪を外され、馬車を降りる。
100メートルほど先。
7~8人の人影が道を塞いでいる。
間違いない、野盗だ。
時間が惜しい。
トンッ
軽く地を蹴って真っ直ぐに駆け出す。
ロックハウス家は野盗相手に誰何などしない。
ただ粛々と殲滅するだけだ。
「あんだぁ?女が一人で」 ザスッ ザスザスッ ザスザスザスザスッ!
魔法名を唱えないと連射が速い。
射程に入ると同時に氷の槍を放ち、命を刈り取る。
「終わりました」
馬車に戻ると子爵が愕然としてる。
少し気分がいい。
「あっ、首輪と枷とお願いします。朦朧として恩人を殺しちゃうと、ちょっとバツが悪いので」
心なしか、子爵が隅に腰掛ける。
狭い馬車も、随分居心地が良くなった。
~~~~~
「我が名はカイン・ロックハウス!聖教国国主である!ここに部下が滞在していると聞く!お引き渡し願おう!」
ガゼル村から約250km南西にある国境の軍事拠点。
その城門前で声を張り上げる。
「ふざけた事を抜かすなっ!国主が護衛も付けずノコノコ一人で出歩くわけがあるかっ!」
門兵が怒鳴り返す。
まぁ普通そう思うわな。
「信じる信じないはそちらの勝手だ。だが、こちらは既にガザルの荘園を焼き払われ、開戦を検討している段階だ。五分やる。五分で部下が出てこなければ、聖教国とホンジュラスの先端は、今日この場で開かれると思えっ!」
「なっ!何を抜かすかっ!」
「上司に聞きに行かなくていいのか?俺は待たんぞ?」
しぶしぶと門兵が中に消える。
だがこの世界に腕時計は無い。
うん、たぶん五分たった。
証拠は無いっ!
「五分だな。時間切れだ。勝手に入らせてもらう。門の影に居る奴がいたらっ!逃げた方がいいぞーっ!俺は忠告したからなーっ!」
言いながら新型攻城兵器を取り出す。
幅5メートル、厚み5メートル、高さ30メートルの角柱だ。
なんの捻りも無い。
これをちょっと傾けて地に立てるだけで・・・
「たーおれーるぞーーー!」
ドゴンッ! バギバギバギバギッ!
「敵襲ーっ!敵襲ーっ!」
ふむ。
捕虜ってだいたい地下に居るよな?
地下っぽい方を探そう。
ん?
地下っぽい方ってどっちだ?
寝てないからイマイチわからん?
「きっ、貴様っ!五分待つと言ったろ!」
「たぶん五分たった。ちょうどいい、地下はどっちだ?」
ワラワラと兵士が湧き出てくる。
これだけの拠点だ、千や二千はいるだろう。
「あー、最終勧告。これは開戦の意思ありって事でいいんだな?」
「ちょっ、待て!少し待て!今っ!司令官が見えられる、しばしっ!しばし待たれよっ!」
そうしてる間にも兵士は増え続ける。
兵に罪は無い。
が、千の敵兵と一人の自国民なら、自国民を優先する。
「キサマがっ教皇を騙る不届き者かっ!」
あー、ダメな感じの奴が来た。
想像力の欠片もない頭でっかち。
たった一人で正面から、軍事拠点に殴り込みをかけられる人間はそう多くないと、なんで気づかないかなー?
「違うな。騙っている奴など知らん。俺がカイン・ロックハウスだ。回答を聞こう。開戦か!部下を返すのか!」
「周りを見て物を言えっ!何をしているっ!お前たち、この不届き者を捉えよっ!殺しても構わんっ!」
兵たちが一斉に武器を構える。
うん、時間を無駄にした。
どうせこうなるんだ。
最初からやれば良かった。
五分と掛からず、群がる兵は挽き肉と化した。
「さて、いい加減理解したか?この世界に、これだけの事が出来る人間がどれほどいる?もう一度だけ聞こう。部下を返す気はあるか?」
残る兵は100人もいない。
司令官とやらは真っ先に殺した。
「わかった!降伏する!いま連れてくるから、もう、暴れないでくれっ!」
「よかろう。五分待つ。その間に少し聞きたい事がある。七日前、わが国の荘園、ガザル村が焼き払われた!そして女が一人行方不明になっている!何か知っているものはいるかっ!」
兵たちが互いに顔を見合わせる。
神殿のない国では情報伝達速度が著しく遅い。
「あっ、あのっ!傭兵たちが、魔女が出たと噂してましたっ!」
一人の兵がおずおずと告げる。
「その魔女がどうなったかは言っていたか?」
「弓使いが倒したと・・・傭兵たちも半数が殺られたと言っていました」
・・・新しい情報は無しか・・・ユリア・・・俺はまだ諦めない!
「げっ、猊下っ!」
敵兵に連れられ、捕虜が出てきた。
「おっ、なんだ、苦虫君だったのか。ヤザンが心配してる。帰るぞ」
「・・・私の為に・・・ありがとう・・・ございますっ!」
「・・・礼を言うのはこっちの方だ。ユリアを探して、無理をしてくれたんだろ?ありがとう」
不法侵入の犯罪者を一人奪還する為に、また大勢殺した。
だが、後悔などしない。
善悪を論じれば、その間に味方が死ぬ。
敵の心配をするのは、敵国の王がすればいい事だ。
「ヤザン、苦虫君を取り返して来たぞ。少し壊したが、最後は話し合いで解決した」
「猊下・・・あれは話し合いの跡には見えませんでしたが・・・」
「あー、苦虫君。どうやら疲労で幻覚を見たようだな。少し休むといい」
「いえ、すぐにユリア様の捜索に復帰します。皆、休むのは、ユリア様がお戻りになられてからと決めております」
「・・・そうか・・・本当に、ありがとう」
「なんだ、もうそこまで堪えきれぬのか・・・まったく、世話のかかる奴隷だ。それで、どこへ行けばよいのだ?」
「えと・・・地名がわかりません。地図があれば・・・わかるはずです・・・なるべく大きな、広範囲のものが必要です」
あたまの中に浮かぶ転移門の地図・・・そこには地名が無い。
転移門のある位置が点々と表示されて、カインが付けた神殿名が表示されるだけ。
ちゃんとした転移門には神殿の名前がついてるけど、携帯転移門には番号しか無い。
自分が何処にいるかも表示されれば地図として使えるのだけど、人間には魔法陣が刻まれてないから無理なんだって、カインが言ってた。
「まったく・・・セバスチャン!地図を手に入れてこい!一番広範囲のものだ!」
貴族が使う小さな馬車。
その中でこの男と二人なんて・・・気が重い・・・でも、贅沢は言えないよ、もう少しでカインにあえる!
そうしたらたくさん愛してもらうんだ・・・たくさん、たくさん、注いでもらう・・・。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
「おい。妙な声を出すな」
「・・・子爵は・・・なぜ、こんなところに居るのです。気が紛れますから、話して下さい」
「・・・お前に関わったせいで、グラム王国は居心地が悪くなった。出世が望めぬ以上、あの国に居続ける理由もない」
「そうですか・・・でも何故救けるのです?むしろ恨みに思うはず」
「今やあの男は世界を統べる権力者。やがてこの国にも影響力を持つようになる。小さな恨みを晴らすよりも、恩を売っておいたほうがマシであろう?別に何か要求する気も無い。ただの保険だ」
「そう・・・ですか・・・」
コンコン
「旦那様、地図をご用意いたしました」
「お望みの地図だ。どこへ行けば良い?」
「えと・・・ここに広げて下さい」
「まったく・・・私に使用人のような真似をさせるとは・・・」
えーと、聖都の神殿がココで、ガザル村はココ、これがきっとマドリナ神殿よね・・・そうすると・・・ココが一番近い・・・地名は・・・。
「この、ニスリラ村という所です」
「そこにあの男が居るのか?」
「旦那様が何処に居るかはわかりません。でもそこに行けば、わたしが使える転移門があります。それで聖都に戻って、旦那様を呼んでもらいます」
「ふむ・・・よくわからぬがまぁよい。聞いたな!セバスチャン!ニスリラ村だ!」
~~~~~
「なぜだっ!なんで見つからないっ!」
捜索開始から六日、タイムリミットまで三日しかないのに、なんの手掛かりも見つかって無い。
ユリアほどの美人、連れ回せば嫌でも目立つ。
人目を避けて移動しているのか、何処かにじっと潜伏しているのか・・・それとももうとっくに・・・いや、ダメだ、最後まで諦めない。
「猊下、申し訳ありません。ホンジュラス軍を探らせていた配下から連絡が途絶えました。事を急ぎ過ぎました」
「くっ・・・」
「代わりの者を送り込んでいますが、ガードが固く、有用な情報は未だ・・・」
ちくしょう!役に立たないっ!
聖都を空にして、六百人も動かしてこれかっ!
・・・いや、違う。
俺がユリアを必死に探すように、その暗部にも必死になってくれる家族が居るはずだ。
彼らだって人間なんだ。
「俺が出向く、どこの軍団だ?」
「げっ、猊下!なりませぬ!」
「ヤザン。その配下にも心配してくれる家族が居るだろ?俺とその家族は同じ立場だ。そして生きているなら、その部下は取り戻せる」
「猊下・・・ありがとうございます」
~~~~~
ヒヒーンッ! ガタガタガタガタ
街道を駆ける馬車が止まる。
「セバスチャン何事だ!」
「だっ、旦那様っ!野盗ですっ!野党が道を塞いでいますっ!」
「ちっ、引き返せっ!」
「ダメですっ!」
「あいにく今は護衛が居ない。諦めろ」
「不要です。この、封魔の首輪を外して下さい」
「お前が戦うというのか?」
「氷結姫が野盗如きに道を譲ると?」
「だがっ・・・よかろう。やって見せるがいい。だが信用はせん。私は少し下がらせてもらう」
「構いません」
枷と首輪を外され、馬車を降りる。
100メートルほど先。
7~8人の人影が道を塞いでいる。
間違いない、野盗だ。
時間が惜しい。
トンッ
軽く地を蹴って真っ直ぐに駆け出す。
ロックハウス家は野盗相手に誰何などしない。
ただ粛々と殲滅するだけだ。
「あんだぁ?女が一人で」 ザスッ ザスザスッ ザスザスザスザスッ!
魔法名を唱えないと連射が速い。
射程に入ると同時に氷の槍を放ち、命を刈り取る。
「終わりました」
馬車に戻ると子爵が愕然としてる。
少し気分がいい。
「あっ、首輪と枷とお願いします。朦朧として恩人を殺しちゃうと、ちょっとバツが悪いので」
心なしか、子爵が隅に腰掛ける。
狭い馬車も、随分居心地が良くなった。
~~~~~
「我が名はカイン・ロックハウス!聖教国国主である!ここに部下が滞在していると聞く!お引き渡し願おう!」
ガゼル村から約250km南西にある国境の軍事拠点。
その城門前で声を張り上げる。
「ふざけた事を抜かすなっ!国主が護衛も付けずノコノコ一人で出歩くわけがあるかっ!」
門兵が怒鳴り返す。
まぁ普通そう思うわな。
「信じる信じないはそちらの勝手だ。だが、こちらは既にガザルの荘園を焼き払われ、開戦を検討している段階だ。五分やる。五分で部下が出てこなければ、聖教国とホンジュラスの先端は、今日この場で開かれると思えっ!」
「なっ!何を抜かすかっ!」
「上司に聞きに行かなくていいのか?俺は待たんぞ?」
しぶしぶと門兵が中に消える。
だがこの世界に腕時計は無い。
うん、たぶん五分たった。
証拠は無いっ!
「五分だな。時間切れだ。勝手に入らせてもらう。門の影に居る奴がいたらっ!逃げた方がいいぞーっ!俺は忠告したからなーっ!」
言いながら新型攻城兵器を取り出す。
幅5メートル、厚み5メートル、高さ30メートルの角柱だ。
なんの捻りも無い。
これをちょっと傾けて地に立てるだけで・・・
「たーおれーるぞーーー!」
ドゴンッ! バギバギバギバギッ!
「敵襲ーっ!敵襲ーっ!」
ふむ。
捕虜ってだいたい地下に居るよな?
地下っぽい方を探そう。
ん?
地下っぽい方ってどっちだ?
寝てないからイマイチわからん?
「きっ、貴様っ!五分待つと言ったろ!」
「たぶん五分たった。ちょうどいい、地下はどっちだ?」
ワラワラと兵士が湧き出てくる。
これだけの拠点だ、千や二千はいるだろう。
「あー、最終勧告。これは開戦の意思ありって事でいいんだな?」
「ちょっ、待て!少し待て!今っ!司令官が見えられる、しばしっ!しばし待たれよっ!」
そうしてる間にも兵士は増え続ける。
兵に罪は無い。
が、千の敵兵と一人の自国民なら、自国民を優先する。
「キサマがっ教皇を騙る不届き者かっ!」
あー、ダメな感じの奴が来た。
想像力の欠片もない頭でっかち。
たった一人で正面から、軍事拠点に殴り込みをかけられる人間はそう多くないと、なんで気づかないかなー?
「違うな。騙っている奴など知らん。俺がカイン・ロックハウスだ。回答を聞こう。開戦か!部下を返すのか!」
「周りを見て物を言えっ!何をしているっ!お前たち、この不届き者を捉えよっ!殺しても構わんっ!」
兵たちが一斉に武器を構える。
うん、時間を無駄にした。
どうせこうなるんだ。
最初からやれば良かった。
五分と掛からず、群がる兵は挽き肉と化した。
「さて、いい加減理解したか?この世界に、これだけの事が出来る人間がどれほどいる?もう一度だけ聞こう。部下を返す気はあるか?」
残る兵は100人もいない。
司令官とやらは真っ先に殺した。
「わかった!降伏する!いま連れてくるから、もう、暴れないでくれっ!」
「よかろう。五分待つ。その間に少し聞きたい事がある。七日前、わが国の荘園、ガザル村が焼き払われた!そして女が一人行方不明になっている!何か知っているものはいるかっ!」
兵たちが互いに顔を見合わせる。
神殿のない国では情報伝達速度が著しく遅い。
「あっ、あのっ!傭兵たちが、魔女が出たと噂してましたっ!」
一人の兵がおずおずと告げる。
「その魔女がどうなったかは言っていたか?」
「弓使いが倒したと・・・傭兵たちも半数が殺られたと言っていました」
・・・新しい情報は無しか・・・ユリア・・・俺はまだ諦めない!
「げっ、猊下っ!」
敵兵に連れられ、捕虜が出てきた。
「おっ、なんだ、苦虫君だったのか。ヤザンが心配してる。帰るぞ」
「・・・私の為に・・・ありがとう・・・ございますっ!」
「・・・礼を言うのはこっちの方だ。ユリアを探して、無理をしてくれたんだろ?ありがとう」
不法侵入の犯罪者を一人奪還する為に、また大勢殺した。
だが、後悔などしない。
善悪を論じれば、その間に味方が死ぬ。
敵の心配をするのは、敵国の王がすればいい事だ。
「ヤザン、苦虫君を取り返して来たぞ。少し壊したが、最後は話し合いで解決した」
「猊下・・・あれは話し合いの跡には見えませんでしたが・・・」
「あー、苦虫君。どうやら疲労で幻覚を見たようだな。少し休むといい」
「いえ、すぐにユリア様の捜索に復帰します。皆、休むのは、ユリア様がお戻りになられてからと決めております」
「・・・そうか・・・本当に、ありがとう」
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