太郎と花子

尾津組とザペッティ

太郎は、花子にゲンの寝ぐらを聞いた。

闇市の屋台で働く花子が、何故露天のゲンと通じているのかは、はっきりわからなかったが、今の太郎にはそんなことどうでもよかった。

太郎は花子について、闇市から3町ほど離れた長屋に辿り着いた。

ゲンさーん、ゲンさんおるー？

花子は、長屋の入り口に顔を突っ込んで昼を迎える薄暗くてジメジメした長屋をあとにした。

おらんのか、ゲンさん？

おかしいな、どこ行ったんじゃろ。

花子、店はエエんか？

そやね、行かないかんね。

じゃ、また店に顔を出すけん。

わかった、ほなね。

花子は小走りで、闇市にある屋台に向かった。


どうやら、行き詰まったな、尾津組との約束もあるし、ビール50ダースは、吹っ掛けすぎたかのぅ、、

太郎は、一抹の不安を抱いた。