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高校時代
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晴れて中学を卒業した私は、高校入学までの、春休みの間、長かった義務教育の疲れを癒すため、寝て過ごした。
食っては、寝て。食っては寝るの生活を何日過ごしたのかも、把握していなかった。
ある朝、友達が来たよ。
と、母が私を起こした。
誰だろう、女の子だといいな。
と思いながら玄関の扉を開けると。
あれっ、おまえ太った?
と、今は懐かしき戦友の姿が。
身長190cm以上の中学時代の親友であった。
私は、食って寝てばかりいたおかげで、随分と太ってしまったようだった。
久しぶり、どうした?
私は、親友を懐かしく見上げて聞いた。
あのさ、今から京都行かん?
えっ?なんで?
卒業旅行!
いいね、わかった。
私は、母におねだりして、いくらかこずかいを貰い、自分の貯金箱のお金も全部、財布に詰めこんだ。
じゃあ、行ってくるわ!
母にそう告げ、いつ帰ってくるのかと聞かれたので、とりあえず1週間ぐらいと言った。
よし、行くぞ!
私は適当な服に着替え、手ぶらで親友と家を出た。
親友も手ぶらだった。
中学を卒業したばかりの少年たちは、大体そんなものだ。
私は、地理に弱かったので、十分下調べをしたであろう親友に、京都までの道のりは任せた。
親友は、私よりもしっかりしていた。
そこから先の事は、40年近く経った今では覚えていない。
たしか、京都までの道中に酒を飲んで酔っ払い。
なんとなく覚えているのは、京都での夜に女子大生に声をかけられ、そのあとの記憶がない。
その人たちと、なにがあったかは記憶から抹消されている。
さて、長かったような短かったような春休みも終わり。
何週間ぶりか、朝母に叩き起こされ。
私は、新調したばかりの28インチのママチャリにまたがり。(因みに、28インチはちょっとサイズが大きすぎた。まるで北斗の拳のラオウが乗っている馬のようだった。)
約40分ぐらいかけて、名古屋市外にある県立高校の入学式に向かった。
因みに、バスでも通学出来るのだが、料金が名古屋市を過ぎた途端に、一気に上がる仕組みで、学校の近くまで片道500円~600円もかかるので、全校生徒の9割以上が自転車通学であった。
そういう訳で校内の自転車置き場は、いつもパンク状態で、毎朝場所取り合戦だった。
学校が近づくと、一面の田園風景で、かろうじて舗装してあるあぜ道を、さほど遠くない牧場をみながら、せっせと自転車の行列が、ところせましと競争していたのであった。
そのなかで、1人群を抜く1人の漢がいた。
名は、大迫。
私の高校初めてのクラスで、出席番号順のすぐ私の後ろだったことは、後で判明した。
何が私に一目置かせたのかというと、私は誤って買った28インチのママチャリが恥ずかしくも誇らしくもあった。
1年先輩であろう人も、ハンドルを逆さまにしたドロップ車もお洒落だと思った。
大迫は、なんと私が小学3,4年生に大阪で愛用していた、12段式のサイドに折り畳みカゴを装着した、私の子供時代と同じ、ナイスなマシンで、何人もごぼう抜きで疾走していたのだった。
私は、感動し、嫉妬した。
悔しかった。
こんなマイウェイな漢は、見たことがなかった。
人には、バカにされるような自転車だが、わたしには大迫に漢を感じた。
流行や時代の変化に惑わされず、物の大切さを知っている野郎だと思った。
世の中広いな。
私は思った。
そして、入学式の行う体育館に行くと、中学時代の親友は居なかった。
たしか、同じ高校に行く話だったが、どうりで入学初日は、別行動で行くという意味がわかった。
後から聞いた話では、親友は私とは同じ高校に行くなと、親に言われたらしい。
まあ、しょうがないな。
いよいよ、高校初日の教室。
どんな、クラスメイトがいるのか、担任は男か女か。
因みに、1年間何故か席替えがなかった私のクラスは、うしろの席は1年間、大迫であった。
食っては、寝て。食っては寝るの生活を何日過ごしたのかも、把握していなかった。
ある朝、友達が来たよ。
と、母が私を起こした。
誰だろう、女の子だといいな。
と思いながら玄関の扉を開けると。
あれっ、おまえ太った?
と、今は懐かしき戦友の姿が。
身長190cm以上の中学時代の親友であった。
私は、食って寝てばかりいたおかげで、随分と太ってしまったようだった。
久しぶり、どうした?
私は、親友を懐かしく見上げて聞いた。
あのさ、今から京都行かん?
えっ?なんで?
卒業旅行!
いいね、わかった。
私は、母におねだりして、いくらかこずかいを貰い、自分の貯金箱のお金も全部、財布に詰めこんだ。
じゃあ、行ってくるわ!
母にそう告げ、いつ帰ってくるのかと聞かれたので、とりあえず1週間ぐらいと言った。
よし、行くぞ!
私は適当な服に着替え、手ぶらで親友と家を出た。
親友も手ぶらだった。
中学を卒業したばかりの少年たちは、大体そんなものだ。
私は、地理に弱かったので、十分下調べをしたであろう親友に、京都までの道のりは任せた。
親友は、私よりもしっかりしていた。
そこから先の事は、40年近く経った今では覚えていない。
たしか、京都までの道中に酒を飲んで酔っ払い。
なんとなく覚えているのは、京都での夜に女子大生に声をかけられ、そのあとの記憶がない。
その人たちと、なにがあったかは記憶から抹消されている。
さて、長かったような短かったような春休みも終わり。
何週間ぶりか、朝母に叩き起こされ。
私は、新調したばかりの28インチのママチャリにまたがり。(因みに、28インチはちょっとサイズが大きすぎた。まるで北斗の拳のラオウが乗っている馬のようだった。)
約40分ぐらいかけて、名古屋市外にある県立高校の入学式に向かった。
因みに、バスでも通学出来るのだが、料金が名古屋市を過ぎた途端に、一気に上がる仕組みで、学校の近くまで片道500円~600円もかかるので、全校生徒の9割以上が自転車通学であった。
そういう訳で校内の自転車置き場は、いつもパンク状態で、毎朝場所取り合戦だった。
学校が近づくと、一面の田園風景で、かろうじて舗装してあるあぜ道を、さほど遠くない牧場をみながら、せっせと自転車の行列が、ところせましと競争していたのであった。
そのなかで、1人群を抜く1人の漢がいた。
名は、大迫。
私の高校初めてのクラスで、出席番号順のすぐ私の後ろだったことは、後で判明した。
何が私に一目置かせたのかというと、私は誤って買った28インチのママチャリが恥ずかしくも誇らしくもあった。
1年先輩であろう人も、ハンドルを逆さまにしたドロップ車もお洒落だと思った。
大迫は、なんと私が小学3,4年生に大阪で愛用していた、12段式のサイドに折り畳みカゴを装着した、私の子供時代と同じ、ナイスなマシンで、何人もごぼう抜きで疾走していたのだった。
私は、感動し、嫉妬した。
悔しかった。
こんなマイウェイな漢は、見たことがなかった。
人には、バカにされるような自転車だが、わたしには大迫に漢を感じた。
流行や時代の変化に惑わされず、物の大切さを知っている野郎だと思った。
世の中広いな。
私は思った。
そして、入学式の行う体育館に行くと、中学時代の親友は居なかった。
たしか、同じ高校に行く話だったが、どうりで入学初日は、別行動で行くという意味がわかった。
後から聞いた話では、親友は私とは同じ高校に行くなと、親に言われたらしい。
まあ、しょうがないな。
いよいよ、高校初日の教室。
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